ALL NIPPON PRODUCERS ASSOCIATON
プロデューサーへの手紙 女優  吹石 一恵
拝啓、 プロデューサー様
 俳優としてまだまだひよっこの吹石一恵と申します。
 しかし、 デビューしたての頃、 全然解っていませんでした…… 「プロデューサー」。 どんな立場の人で、 どういう仕事をしていらっしゃるのか。
 当時は、 メイクさん・衣装さん、 監督さんくらいしか解ってなかったんです。 当然教えていただくのですが、 自分の立ち位置を覚えるのに精一杯で、 解ったふりをしていました。 制作さんや助監督さんの違いも解らずお願いごとをしたりとかもしていましたね。
 プロデューサーはとてもたくさんの人やお金・その他諸々を動かす立場の人、 言いかえると、 とてもたくさんの人やお金・その他諸々をその両肩や背中にしょっている人。 (かなり言い切っているので間違っていたら今度お会いした時に指摘して下さい)
 プロデューサー様、 そんな大変なお立場の方に私は数々の無礼を働いて来ました。 思い当たる方……若気の至りとお許し下さい。
 さて、 無礼ついでにここでお願いがあります。
 プロデューサー様、 貴方は時々現場にお顔を出して下さいますよね。 その時、 差し入れよりもっと欲しいものがあります。 それはほんの1〜2本でいいのです。 目尻に笑いじわを作ってきてくださいませんか。
 やわらかいチョコレートややわらかいプリンなんていりません (注:私は時々あまのじゃくです) やわらかい空気がほしいのです。
 ただでさえ緊張感に包まれた現場。 進行状況や雰囲気が好調なときはいいのですが、 それがあまり芳しくない……そんな時に 「プロデューサー」 が来られて、 笑顔のない顔で 「ジーッ」 と凝視されると、 なんだかもうとても落ち着かなくなってしまうのです。
 そんなの全然気にならない大物……を目指しますが、 何とぞ今しばらくはこの若輩吹石に愛の 「笑いじわ」 を。
 では、 お会いできる日を楽しみに。
敬 具
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