
「俺は、 君のためにこそ死ににいく」 2007年初夏の公開を目指し撮影中。
太平洋戦争の末期、 鹿児島県知覧町の食堂で、 特攻隊員たちから慕われた鳥浜トメさん。 彼女から石原慎太郎氏が聞きとったエピソードを元に、 オリジナルで脚本を書き上げ、 製作総指揮も担当しています。 鳥浜トメさん役に岸惠子さんを迎え、 特攻隊員役に、 徳重聡さん、 窪塚洋介さん、 筒井道隆さんらが扮しています。 ある人は迷わず、 ある人は迷いつつ、 苦しみつつ、 自ら操縦桿を握り敵艦を求めて逝った若者たち。 彼らの無惨にも美しい青春群像を、 現代の観客に伝えたいと考えています。
今は亡き鳥浜トメさんになり変わり、 この事実を語り継がなければならないと意気込む石原氏。 日本とアメリカが戦争した事すら知らない若者がいる今だからこそ、 伝えなければいけない。 そう語る石原氏は、 一人の作家として、 この作品に只ならぬ情熱をそそいでいます。
クランクインは、 3月27日。 まさに特攻基地の滑走路のあった場所、 知覧の特攻平和会館前の桜並木での撮影。 衣裳を身にまとった現代の特攻隊員役の若者たちが、 今は公園になっている草地で、 隊列行進をしながら気持ちを作っていく。

わずか60年前には、 ここから何百人の若者たちが、 実際に飛び立って帰ってこなかったのだ…。 そう思うと、 この映画を作る事への畏れにも似た感慨を覚える。 折しも吹き荒れた強風に煽られながら、 この風は英霊たちがロケ隊を試しているのだ、 などと柄にもなく神妙な思いに取り憑かれました。
圧倒的な 「事実」 に真摯に向き合いながら、 尚かつ上映時間2時間前後という限られた時間の中に、 我々なりの 「真実」 を描き切ろうと奮闘しています。 当たり前の事ですが、 戦争はいけない事です。 が、 「戦争=悪」 という単純なレッテル貼りでは伝わらない、 その中にあった方々の哀しみや様々な思いをきちっと伝えられたら…。 特攻隊員とトメさんに、 正に直球勝負を挑む映画です。
芝居部分のクランクアップは、 6月末。 特攻隊員が海上で見た最後の光景をも再現すべくSFXも駆使し、 今年の晩秋には完成の予定です。 乞うご期待!