345 2006年 10月号
「プロデューサーズ・フェスタ2006〜映像(つく)る!!
最初の一歩のために あと一歩のために」 開催!! ・・・ 小寺 尚(フジテレビ)

フィルムコミッションは国際化を目指す         
・・・ 全国フィルム・コミッション連絡協議会 専務理事 前澤哲爾

只今撮影中 ・・・ 東宝映画 大浦俊将

私の新人時代 ・・・ 大映グループ 小野克己

事務局だより
          
 
 つ く

「プロデューサーズ・フェスタ2006〜

映像る!!
    最初の一歩のために あと一歩のために」 開催!!
プロデューサーズ・フェスタ担当 小寺 尚(フジテレビ)
  (社) 日本映画プロデューサー協会が主催する、 映像制作の第一線で活躍するプロデューサーたちによる年に一度のビッグイベント 「プロデューサーズ・フェスタ2006」 がいよいよ11月18日 (土) に開催されます。
  「次世代の映像人の発掘・育成」 を目的として2000年に 「ネオ・プロデューサーズ・フェスタ」 として始まり今回で6回目となる本イベント、 初めてレインボーブリッジを越えたお台場フジテレビで行われます。
  今年のキャッチフレーズは 「映像(つく)る!!最初の一歩のために あと一歩のために」。
  映像ドラマの世界を目指す方、 映像ドラマの中で更なる飛躍を目指す方に向けて、 現場の雰囲気・ものを 「映像(つく)る」 ことの秘訣がダイレクトに伝わるよう、 トップクリエーターたちによる充実した内容の実践的なセミナーを企画しております。 今年は、 「ドラマセミナー」 「映画セミナー」 「出会いの広場」 「ザ・ヒットメーカー」 の4つを柱としました。 開始時刻も午後スタートにし、 コンパクトながらも濃密な時間を体験できるように構成しております。 (13:00スタートの18:30終了予定です)  そんな 「プロデューサーズ・フェスタ2006」 の概要ですが
「ドラマセミナー」 の“映像(つく)る”は“ヒットコミックスの映像化”。 (このテーマは 「映画セミナー」とも統一されています。) 人気ドラマ 「医龍」 を取り上げて、 プロデュース側と原作 (コミックス) 側とのせめぎあいを示し、 一般的に伝わりづらい 「プロデューサー像」 を浮き彫りにします。 番組プロデューサー・ディレクター・原作出版関係者を招いてのディスカッションになります。
「映画セミナー」 の“映像(つく)る”は、 ヒット作 「デスノート」 を取り上げてのメイキングセミナーになります。 講師には金子修介監督・佐藤貴博プロデューサー他を予定しております。
「出会いの広場」 例年どおり協会員と参加者との自由な交流の場を設けます。 皆様にも是非参加して頂き、 来場された方々が 「映像(つく)る」 ための架け橋となって頂けるよう御協力をお願いします。
「ザ・ヒットメーカー2006」
今年顕著なエンターテインメントを創り出したヒットメーカーを 「映画」 「テレビ」 「出版」 「時の人」 から選出して表彰、 皆様でディスカッションして“映像(つく)る”ことの極意を語って頂きます。
 「プロデューサーズ・フェスタ2006」 は協会員の皆様の協力なしには成り立たないイベントでもあります。 今回だけではなく、 今後のフェスタのためにも出来るだけ多くの協会員に参加して頂き (特に 「出会いの広場」)、 出来るだけ多くの方に当フェスタを認知してもらえるよう宣伝・参加の呼びかけ等外部へ働きかける必要があります。
開催まで約一か月と迫っておりますが、 皆様のご理解の上御協力頂けますよう宜しくお願い致します。
「プロデューサーズ・フェスタ2006」
11月18日 (土) 13:00〜18:30
会場 フジテレビ 22階 フォーラム
募集定員 400名
フィルムコミッションは国際化を目指す
全国フィルム・コミッション連絡協議会 専務理事 前澤哲爾
 2000年、 日本に初めてフィルムコミッション(以下、 FC)が設立され、 翌年には全国協議会が発足した。 現在、 北海道から沖縄まで94FCが協議会に加盟して、 ほぼ全国を網羅している。 地域の行政や市民が映像撮影に対して協力体制を取ることで、 映像制作者は様々な恩恵を得ていると思う。 昨年35mmフィルムで公開された実写作品の70%、 全国配給作品の実に90%がどこかのFCの支援を受けている。 それでもまだまだ、 FCの機能は不十分で、 今後も時間をかけて取り組んでいかねばならない。
  実は私がFCを日本に導入したいと思った最も大きな理由は、 「日本映画をもっと元気にしたい」 ことだった。 確かに、 日本全国で撮影環境が整備されることは重要で、 それなしには何も進めないのだが、 さらに 「世界標準であるFCが日本に定着することで、 海外からの製作者が多く来日し、 日本の製作者との交流が深まり、 結果的に国際化していく」 と思ったからである。 かつて本協会の国際委員会委員として 「国際共同製作セミナー」 などを実施した経験からそう考えた。
  FCの協議会では、 海外向けパンフやCD−ROMなどを持ち、 ベルリン、 香港、 サンタモニカ、 カンヌ、 トロント、 プサン、 AFM (アメリカン フィルム マーケット) などで、 資料提供やブース展開をしてきた。 しかし、 FCの力だけでは海外からの誘致は非常に困難であることがよく分ってきた。 私は本年もカンヌ映画祭に行き、 資料を日本ブースに置き、 興味をもった海外製作者と多くのミーティングをした。 彼らは、 異口同音に言う。 「日本の素晴らしさはすでに分っている。 日本を舞台とした作品を企画しているが、 私たちに最も適任の優秀な共同プロデューサーを紹介してほしい」。 そう言われて、 いつも困る。 ユニ・ジャパンが出している 「ジャパニーズ・フィルム」 には、 会社名は載っているが、 個人リストはない。 公開しているプロデューサーのデータはどこにもない。 結局、 相手の真剣さと信頼度を勘案しながら、 迷惑のかからない範囲で少しだけ私の持っている情報を出すことになる。
  本当に日本で映画を撮りたいと思い、 コンタクト先を探している場合に、 その情報が日本にはないのだ。 この共同プロデューサーがいないと、 財務、 保険、 機材、 スタッフなどの便宜が図れず、 実質的に海外からの撮影は困難になる。 今までは、 どこかでつながった人の紹介で細々と行われてきた。 「ロスト・イン・トランスレーション」 を契機としてここ1年、 ハリウッド・メジャーからの問い合わせも増えている。
  日本でのFC活動の充実のためにも、 海外製作者と仕事ができる共同プロデューサーの存在が必須なのである。 FC協議会は5年を迎え、 当初予定の通り、 再編の時期に来ている。 その中で、 日本側共同プロデューサーの情報窓口を今年度中に作りたいと考えている。 本協会の会員で、 賛同される方がいれば、 是非一度ご相談させていただきたいと切に願う。
* * * 只 今 撮 影 中 * * *
東宝映画 大浦 俊将
 かつてない衝撃的な大人のラブストーリーを描く、 映画 『愛の流刑地』。 通称 「愛ルケ」、 である。
  原作は、 言わずと知れた渡辺淳一氏のベストセラー (幻冬舎・刊)。 日本経済新聞連載当初から、 その過激な内容から読者であるビジネスマン・OL層を中心に話題沸騰、 「愛ルケ」 ブームを創出した。
  渡辺文学の映画化作品といえば、 多くの方が 『失楽園』 を思い出されることだろう。 名匠・森田芳光監督による映画は、 興収四〇億円を超える大ヒット、 その後のテレビドラマとあいまって社会現象にまでなった。 是非ともあやかりたいものだ。
  しかし、 今回の映画 『愛の流刑地』 を、 「『失楽園』 の二番煎じ」 とタカを括っていただくと、 ド肝を抜かれることになるだろう。
  その理由は、 監督にアリ、 である。 今回メガホンを取るのは、 本作が映画初監督となる鶴橋康夫監督。 自らを 「オールドルーキー」 と評されているが、 ドラマ演出歴四〇年以上のキャリアを誇り、 数々の名作ドラマの演出で、 数多の賞に輝く、 まさにテレビドラマ界の巨匠である。
  最初に私が監督とお会いした
のは昨年の暮れ。 その佇まいは、 まさに私のイメージする映画監督そのもの、 であった。
  その後の脚本作業も、 様々な試行錯誤の末、 最終的に監督ご自身に執筆していただくことになった。 この脚本が、 とにかく濃密で奥深い。 長編原作を見事に改編・凝縮して、 それを映像的に進化させた内容は、 渡辺先生のお墨付きを頂戴することができた。
  今回の作品では、 監督独特の演出法を最大限に活かすため、 HD24Pキャメラを採用、 常時2キャメ体制で臨んでいる。 さらにフィルムでは考えられないような長回しの連続。 日々の撮影は驚異的なペースで進んでいくが、 本番時、 その刹那の緊張感は相当なもので、 スタッフ・キャストの重圧を考えると痛み入る。
  出演は、 主人公の作家・村尾菊治に豊川悦司、 菊治と恋に落ちる人妻・入江冬香に寺島しのぶ。 監督をして 「寺島しのぶを道連れに、 豊川悦司と心中するつもり」 と言わしめるほど、 この二人の演技が素晴らしい。 そして、 菊治を糾弾する美貌の女検事・織部に長谷川京子、 弁護士・北岡に陣内孝則、 冬香の夫・徹に仲村トオル、 さらに、 佐藤浩市、 浅田美代子、 佐々木蔵之介、 貫地谷しほり、 松重豊、 本田博太郎、 余貴美子、 寺島とは親子役での初競演となる富司純子、 そして監督・原作者ともに知己の津川雅彦と、 鶴橋組ならではの、 これ以上ない豪華かつ多彩な顔ぶれが揃った。
  鶴橋監督作品 『愛の流刑地』 は、 映画・テレビの枠を越え、 一本の映像作品として、 必ずや傑作となるだろう。 また、 良い意味で、 近年の東宝映画らしからぬ作品が誕生することになるだろう。
 11月下旬完成予定、 来年1月13日に全国東宝邦画系にて公開されます。 是非ともご期待下さい。

私の新人時代
大映グループ  小野 克己
 ある資料による1970年代中頃から後半の映画業界は、 五年前と比べてみると、 劇場館数は800館も減り2、 400〜500館程度、 観客動員数は8、 000万人も減り1億7、 500万人、 また邦画製作本数も100本近く減り330本と全体を通して映画業界は長年の斜陽から抜け出せない状況にありました。 当時、 地方から上京し大学を卒業した私は、 これからどうしようか?と思案していた折、 好きだった映画で食べて生ければいいかなという安易な想いのみで就職活動を続けてみても、 各映画会社は助監督他のスタッフの採用は手控えていました。 そんな折知人の紹介で運良く新生大映に入る事ができました。 旧永田大映が倒産し、 組合の労働争議を経て再生された徳間大映映画へと体制が変わっていました。 大学では映画の専門的な基礎知識は勉強しましたが、 具体的な実地訓練など皆無の私にとって、 毎日が新鮮でした。 職場の諸先輩方は、 「映画の灯を消すな」 を合言葉に1000日の労働争議で映画の職場を勝ち取った人達でした。 映画に対する情熱を持ち、 一生懸命仕事に励んでいる姿を見るにつけ、 こんな俺みたいな甘い考えじゃだめだと奮起努力しました。
  メジャー系配給委託映画・自社製作映画、 90分・120分のテレビドラマなどの現場に、 ある時は制作助手またある時は助監督として派遣され、 朝から深夜もしくは翌朝までと遮二無二働いていました。 駈けずり回っていた10年程度で色々な経験をして、 念願のプロデューサーになりましたが、 独立系映画会社なりの味わいのある映画人生が歩めたと思っています。 その後、 徳間康快社長が亡くなり、 大映が営業譲渡され、 旧大映設立から60年後の還暦の歳に大映の看板も無くなりましたが、 過去の作品の中に携わったスタッフの情熱はいつまでも消えずに残っているはずです。
◎正会員入会 ・・・ 遠藤理史 (NHK)   内山聖子 (EX)  中込卓也 (EX)  西河喜美子 (EX)
              浅野 太 (TX) 只野研治 (TX)
◎賛助会員入会 ・・・ 株式会社 NHKオフィス企画
◎退会 ・・・ 有重陽一 (角川)   金沢宏次 (NHK)   村上 慧 (NHK)   稲垣健司 (EX)
          川田方寿
(EX)  松本 健 (EX)  大田哲夫 (TX)  松本篤信 (TX)  酒井 政利 (E)
 ○会議の記録と予定

9月11日 (月)

会報委員会
(事務局)
9月11日 (月) セミナー委員会
(事務局)
9月20日 (水)
第3回定例理事会
(NHKエンタープライズ)
10月5日 (木) エランドール賞委員会
(事務局)
10月18日 (水) 第4回定例理事会
(東映本社)
10月19日 (木) 親睦委員会
(事務局)
「東京国際映画祭」 のお知らせ
 第19回東京国際映画祭は10月21日 (土) から10月29日 (日) までの間、 東京・渋谷と、 六本木ヒルズを中心に開催されますが、 今年は、 IDカードの発行方法の変更につき、 団体名で発行していたIDカードの発行は見送られましたので、 ご了承下さいとの映画祭事務局から連絡がありました。
編 集 後 記
 秋も次第に深まってきました。 10月、 11月はアクターズ・セミナー、 プロデューサーズ・フェスタと協会の大きな行事が続きます。 会報もこのイベントへの参加の呼びかけと報告が中心となります。 実りの秋にしたいものです。
(香)
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