世界に向けて、 日本のコンテンツ、 ソフトをより積極的に紹介し、 発信していくべきだとは、 長い間、 各界から要請され、 業界内部でも、 事あるごとに提唱されてきたことです。 しかし、 その為の様々な試みは行なわれ、 各種のイベントも数多く存在するようには成りましたが、 それぞれの連携や協力関係は、 まだまだ希薄で、 本来の日本のソフト制作能力を十分に海外にアピールできているかといえば、 疑問符をつけられても仕方ありません。
本当に、 「日本のソフトパワー」 を世界に理解して貰う為には、 世界の多様なジャンルの関係者や、 バイヤーたちが、 ある時期に日本に行けば、 その期間に、 日本のあらゆる分野のコンテンツに目を触れる事が出来て、 クリエーターとも交流、 会話そして商談まで出来る環境と場が出来ている必要があります。
その期待に応えられる構想がこの秋、 やっと実現の運びと成りました。 映像産業振興機構 (VIPO) が運営の中心となり開催される、 「JAPAN 国際コンテンツフェスティバル」 (コ・フェスタ) というイベントです。 この祭典は、 これまでバラバラに実施されていた、 「東京国際映画際」 や 「東京ゲームショー」、 「CEATEC JAPAN」 「秋葉原エンタまつり、 MANGAフェスティバル」 「NHK日本賞、 教育番組国際コンクール」 などを首都圏を中心に、 9月19日から10月28日まで、 集中的に開催し、 相互に連関性を持たせるとともに、 フェスティバル全体の規模の拡大を計ろうという狙いで、 今年初めて行われます。
ところが、 日本のテレビ文化の重要な担い手として、 世界でも有数のテレビ大国の形成に大きな貢献をしてきた、 テレビドラマに限定した祭典やコンテストは、 不思議な事に、 これまで、 わが国には存在しませんでした。 海外でのコンクールやコンテストでの表彰実績を言うまでもなく、 欧米やアジアの作品に比べても、 個々の作品が持つクオリティ、 あるいはエンターテイメント性において日本のドラマ作品は、 海外において、 もっと高い評価を受けるべきであり、 更に言うならソフト商品としての競争力、 商業性があってよいはずです。
この背景には、 著作権問題をはじめ、 様々な要因が考えられますが、 最も重要なことは、 テレビ業界、 ドラマ制作会社、 そして、 権利団体が、 一丸となって結集し、 海外に向けて、 開かれたマーケットを作る努力が、 これまでは掛け声ばかりで、 具体的に行なわれてこなかった事です。 確かに、 各テレビ局などは、 海外の大きなイベントにはブースを出し、 自社の作品のPRや売り込みに努力しているのは事実です。 しかし、 日本ブランドのドラマ価値を高めるためには、 まず海外のバイヤーが一堂に集まって、 数々の日本のドラマを見てもらう場を作り出さねばなりません。 すなわち、 日本に、 国内外の優秀作品が集まる環境を作るとともに、 恒久的なシンジケーションマーケットを作りだす努力が必要です。
その様な、 大きな目標に向かう第一歩のイベントとして、 この 「国際ドラマフェスティバル in TOKYO 2007」 は企画されました。 但し、 今年は、 準備の期間も短く、 キックオフ的なイベントとなります。 10月12、 13日の2日間に渡り、 アジアのコンテストでグランプリを獲得したり、 高い評価を受けた作品を招待し、 その作品を上映するとともに監督、 主演俳優、 などに来日していただき、 パーティーを開催し、 上映会、 シンポジウムを行ないます。
また日本からは、 昨年度に放送され、 高い評価を受けるとともに、 海外でも十分、 商業的価値を持つと思われる作品を招待。 その関係者、 出演者に参加してもらいます。 日本とアジアのドラマ制作者同士が、 このイベントでの交流を通じて、 いかに世界に通用するドラマ作りに挑戦するかを話し合い、 共同制作を含め、 更なる、 ドラマの発展の礎となる場を演出したいと考えています。
また、 シンポジウムでは、 各国のドラマ制作事情の違いや、 海外進出への国内制度上の問題点、 などについて忌憚の無い建設的な議論を行なう予定です。 このシンポジウムには、 韓国、 中国、 タイなどで、 ドラマの国際イベントを主宰している方々が参加、 その経験や今取り組まねばならない課題についても話し合う事になっています。
このフェスティバルは、 来年度以降、 欧米を含めた、 世界のテレビ関係者が集まり、 連携する、 ドラマ制作者の交流の場へと枠を広げるとともに、 日本の作品への理解を深めて貰う場としての存在価値を高める役割を持ちたいと考えています。 そして、 ただ単なる、 コンテストや祭典に終わらせるのではなく、 そこから、 新しいビジネス、 商取引が生まれ、 日本のドラマが映像産業として世界にこれまで以上に認められるための一助としたいと考えています。
→国際ドラマフェスティバル in TOKYO 2007