今日も地方、 明日も地方…撮影は続く。
TBS開局55周年特別企画 『華麗なる一族』 が日曜よる9時に放送されています。 皆さん御覧になって頂けてますか?見て欲しいです。 何と言っても力が入っているので…。 この企画は本当にTBSのドラマの威信を懸け、 挑んでいるつもりです。 それは全スタッフ共通の思いであります。
と、 言うことで気合が入りすぎてしまっている撮影チーム。 ここでプロデューサーとしてはあまりの気合の入れ様に困った問題が発生しています。 『華麗なる一族』 の時代設定が昭和40年前半と言うこともありロケ場所に苦労し、 当時を再現したものにこだわると、 どうしても東京では撮影場所が見つからず、 自然と地方へ地方へとなってしまうのです。
その範囲は、 北は北海道・富良野から西は大阪、 そして南は中国・上海にまで及んでいます。 しかし、 本当に大変なのはロケ場所探しでも移動でもなく、 昭和40年代前半という物語の舞台設定の時代をスタッフの多くが経験していない、 ということです。 (僕自身昭和49年生まれです) 昭和40年と言えば、 スポーツの世界では長島選手と王選手が活躍し、 現・楽天監督の野村さんも現役選手。 世界中でビートルズが人気を集め、 今は3つの大手メガバンクに集約された都市銀行が10以上ある、 そんな時代ですから…。
原作者の山崎豊子先生や、 我が美術スタッフの中でも重鎮の大先輩 (あまりに先輩過ぎてちょっと怖いんですけれど…) など、 当時の空気を実際に知る人を捕まえては、 それを再現するにはどうしたらいいのか教えていただきながら、 コツコツと一歩一歩進んでいる日々なのです。

ただ、 ドラマを作る上で最も気をつけていることは、 「時代は変わっても、 人の心は変わらない」 ということ。 そして 「今の時代以上に、 パワフルに生きていた日本人像を描く」 ということ。
つまり、 どれだけ世相が違っても、 この作品ならば、 今の視聴者のニーズに応えることができるに違いないし、 また高度経済成長という、 異なる時代背景があるからこそ、 今の日本にない“激しく力強く、 前に向かって生きる人間像”を描けるのだという確信を持ちつづけることを、 肝に銘じていなければいけないと思うのです。
山崎文学の最高峰のひとつであるこの原作と、 ドラマ史上に残る豪華キャスト。
その魅力で、 時代を越えるような作品を作りたい。
とにかく、 多くの皆さんに見ていただき、 様々な御意見を頂きたいと思います。