プロデューサーへの手紙 |
脚本家
那須真知子 |
ライターという仕事を始めて、気が付いたらもう二十年以上が、すぎてしまいました。映画、テレビも含めて、一緒に仕事をさせていただいたプロデューサーの方々も沢山の数になります。一人の人間と人間が出会って一つの作品を作る仕事ですから、その時々で幸福な出会いだったり、又、不幸な出会いだったり、色々だったなあと今、一人一人の顔を思い浮かべて、しみじみ思います。 |
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デビューしたて、また、二十代前半で、プロデューサーがなんの仕事をするのかも分かっていなかった頃、何人かの諸先輩プロデューサーの方々に、脚本家に対してプロデューサーはこう接するべきだということを教わりました。それを書いてみようかと思います。(断っておきますが、以下は私が教わった事で、私が言った事ではありません。本当に。念のため)
まず、ライターが作品を仕上げてきたら、出来はどうあれ、お疲れ様と言うこと。次に、どんなところでもいい、褒め上げること。一回、褒めればあとは全否定でもいい。自分が代案を持たない限り、直しを命じてはいけない。「なんか違うんだよね」という類の具体性にかけることは言わない。自分で直接、原稿に手を入れることはしてはいけない。口述筆記でもいいから何としてもライター自身に書かせること。不幸にして、仕事がうまくいかず、断る場合、必ず、自ら赴き、脚本家にフェイスツーフェイスで、その旨をできるだけ誠意を持って述べること。等々。 |
成る程。書いてみて納得です。脚本家なんて所詮、プロデューサーの手の内にあるものなんですねぇ。のせて、なんぼ。のせられて、なんぼ、です。だったら、誰でもいい。嘘でもいい。私をのせまくって仕事をさせてくれーというのが脚本家のわがままな本音じゃないでしょうか。かしこ。 |