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第12回国際交流セミナー」 国際交流委員会 委員長
を終えて 小野克己
 10月30日、渋谷の第三共同ビルにて、フランスを代表する女性プロデューサー、カトリーヌ・デュサールさんを囲んで、最新のヨーロッパ映画事情や日仏共同製作の可能性についてのセミナーが開かれました。
 デュサールさんは、開催中の第14回東京国際映画祭の審査員として多忙の中、日々の疲れを全く感じさせないにこやかな笑顔で、ほぼ満員の会場に定刻通り来られました。
 冒頭、遠藤会長より流暢なフランス語での挨拶が有り、協会員や外部参加者を驚かせ和ます雰囲気作りをして頂きました。
 セミナーは、二部構成で行なわれ、各コーナー報告後、質疑応答をするという形式で行なわれました。
 第一部では、彼女と映画の係りやフランスを含むヨーロッパの映画事情についての報告を、第二部では、彼女と日本映画の係りについてなどの報告をして頂きました。
 また、セミナー終了後場所を移し、彼女を囲んでささやかな懇親会が開かれ、来場者達の会話が弾み、若干予定の時間をオーバーしてセミナーは無事終了しました。
 以下ポイントとなる情報だけを整理しておきますと、フランス政府の映画産業への助成の現状について、国立映画センター(CNC)が、@映画館への入場料収入の11%Aテレビ局(国営、民間)の総売上における5.5%Bビデオ販売会社における利益の2%を、助成金として再投資します。この助成金の内訳としては、映画産業へ30%、映像産業へ(テレビ局、ビデオ会社)70%投資されます。昨年度の予算は55億フラン(約1,000億円)程度で、映画製作会社へ40%、映画配給会社へ20%、映画興業会社へ30〜35%が映画支援として利用されています。映画製作では年間140作品、制作費の25〜30%に投資されます。さらに、テレビ局(国営、民間)は映画製作のために、地上波は3%をケーブル局のカナル・プリュスは20%を、投資しなければいけなくて、映画産業をテレビ産業が支えているという現状があります。
 日本とフランスの映画共同製作の可能性については、現段階では両国政府での正式な合作協定が成立していないので難しく、たとえば今村昌平監督作品『カンゾー先生』『赤い橋の下のぬるい水』などの場合は、彼女が日仏の間に入りプリセールスという形でしか映画製作は成立していませんでした。しかし、最近フランスの独立系の劇場では、日本の若手監督の作品が注目されて、黒沢清、青山真治などに興味をもっているプロデューサーがいるなど、共同製作の環境は出来つつあります。
 セミナーを終えて、あまりにも日仏間の文化支援への差がありすぎる事を改めて痛感しました。現在国会で与野党が法案作りを進めている「芸術文化振興基本法」や現行にある芸術文化振興基金など官主導の更なる芸術文化支援の充実を期待すると共に、当委員会としても日仏合作協定が成立するよう努力したいと思いました。
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