ALL NIPPON PRODUCERS ASSOCIATON
プロデューサーへの手紙 キネマ旬報編集長
関口 裕子
 一本の映画が、企画され、劇場にかけられるまでの間には、映画本編に勝るとも劣らない様々なドラマが存在すると思う。「プロジェクトX」のように、困難を乗り越えた勝利に快哉を叫ぶこともあれば、反対に、手の施しようのない事態を、歯痒くも見守らねばいけないこともあるだろう。
 一作ごとにスタッフ・キャストが異なり、その成り立ちまでもが違う現在の映画作りの現場においては、どれを取り上げたとしても、必ずそうしたドラマを見ることができるのではないか。プロデューサーはそれらを把握し、すべてと立ち合う。いまはベテランと称されるプロデューサーの方でも、その面白さが本編を超える幾多の現場を経験し、右顧左眄しながら、自分の許容量を広げていったはずだ。
 2001年、公開された日本映画には手ごたえのある、興味深い作品が多かった。小誌2月下旬号の2001年ベスト・テン選考理由のページでも、「質の高い映画が多く、選ぶのに嬉しい悲鳴」という意味の文章が列挙され、編集をする立場としては非常に幸福な気持ちになった。
 だが、2001年度の日本映画全般の成績は、格段によくなったとは言い難い。 一昨年より143.8パーセント増分の興収約240億も、300億円の興収をあげた「千と千尋の神隠し」が一作で生み出したと言って過言ではないだろう。
 なぜ自国の映画はダサいのか?
 なぜ日本映画は作家の内面を描くものが多いのか?なぜ海外での高評価が興行に結び付かないのか?それなのになぜまた同種の映画が作られるのか?とはいえ、今年も作り手が勝負をかけているだろう意欲の伝わる作品が既に数本あるのも事実。日本映画製作の現状をプロデューサーの方々にうかがいたい。この現状を皆様はどうご覧になっているのだろう。近々ご連絡させていただきたく。
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