ALL NIPPON PRODUCERS ASSOCIATON
特集 BSデジタル放送の行方〜各社に聞く〜
NHK衛星ハイビジョン局 担当局長 鬼頭春樹

 多くの耐久消費財が世帯普及率%を越えると、 スピードが加速するという。 ある水準になると、 口コミで宣伝効果が生じ、 多くの消費者の購買意欲が刺激され、 売れる。 その結果更に製品が安くなり、 もっと売れる……カラーテレビも家庭用VTRも過去のデータが、 %を境にこうした好循環が起きることを立証している。
 FIFAワールドカップサッカーを目前にBSデジタル放送の普及の伸びは順調だ。 NHKの調査では、 4月末現在でのデジタル放送の普及状況は全国でおよそ280万世帯。 あと170万台で%の大台、 すなわち450万台普及に達する。 このままでいけば確実に1年ちょっとで達成できよう。 2003年の夏には普及は第2ステージを迎えることになる。 これを1日でも早く実現することが当面の目標となる。
 そのあとは倍々ゲームで普及が進もう。 なぜなら全国でテレビの買い替え需要はざっと年間で1000万台弱。 このうち半分の消費者がデジタル受信機を手にしてくれるだけで年間500万の普及が見込める。 つまり2004年の夏には1000万普及の大台に近づこう。 あと一息。 スポーツソフトを起爆剤にBSデジタル放送の普及に進みたい。




BS日本 編成局長 中村良男

 2000年月からBSデジタル放送がスタートして、 まもなく1年半になります。 視聴世帯も順調に増加し、 2002年3月時点で約280万世帯まで普及してきました。
 BSデジタル放送の民放5局は広告放送ですから、 視聴世帯は増えることはあっても減少することはありません。 しかもネットワークを組んで日本全国に放送を送りとどけている地上波放送局とちがって、 BS放送は衛星から日本全国をカバーできる非常に効率的な放送を行っています。 近い将来BSデジタル放送の普及が進むにしたがって、 コスト面で優位に立つのは明らかです。
 また:9の高画質の画面と高音質の音声、 それがBSデジタル放送の特徴です。 こうした特徴はスポーツ番組や映画などに大きな効果を発揮します。 やがて地上波もデジタル化され、 テレビの価格も急速に安くなると考えられ、 それとともにBSデジタル放送も急速に普及し、 地上波につぐ準基幹放送に発展して行くのは時間の問題だと思われます。




BS朝日 編成業務部長 梅澤道彦

 約300万世帯!。 2002年3月現在のBSデジタル放送の視聴可能世帯である。 新しいメディアが誕生し、 開局以来1年数ヶ月で270万世帯に達していることは、 過去のCS放送の引き合いを出すまでもなく、 驚異的な普及と云えるでしょう。 また、 昨年月、 民放連では2005年時点世帯普及が・4% (1,178万世帯) に達すると予測している。 しかし、 現状のBSデジタル放送のポジショニングを真摯に受け止めるなら、 なぜ、 これだけのスピードの普及ながらマイナー感が浮遊しているのか。 その要因は、 当初BSデジタル放送が、 1日1万台、 放送開始から1,000日で1,000万台普及という高い目標を掲げスタートをしたことと、 その期待感の割にコンテンツに新鮮味がなかったことに起因するのではないか。 堅調に推移すれば、 BSデジタル放送はいずれ地上波に限りなく近い普及が期待できるメディアである。 現時点で重要なことは視聴者、 スポンサーに対してBSデジタル放送のメリットを明確にすることにあり、 デジタルの特性を活かした高画質コンテンツの開発や、 新たな双方向サービスの拡充に注力していくことと考えている。




BS−i 編成部長 菅井龍夫

 今春の地上波期首特番のバラエティーでこんなシーンがありました。 設定は地上波の編成にプロデューサーが新しい企画を持っていくというシチュエーションです。 このシーンで企画内容が地上波編成にとって興味の無い物で在った時、 編成マンがプロデューサーに対して 「こんな企画だとBS行かすぞ!」 と怒鳴ります。 これに対してプロデューサーは、 「それだけは勘弁してください」 といった返答そして一同爆笑といったものでした。 つまり地上波にとってBSはまだ鬼っ子で笑い話の対象です、 そうここが私たちにとって重要なことなんです。 地上波と同じ物を作って放送をしていても視聴者は見てくれません。 また地上波のソフトだけでは満足できない視聴者も増えてきています。
  「地上波では出来ないこと」 こそBSにとってのキーワードと信じています。 BS−iにとっての新しいツールである高画質・高音質そして双方向機能を最大限に活かせる番組を作ってきました。 HDTVによる大型ドラマ・双方向機能を利用した連続ドラマ。 高画質のドキュメンタリー。 完全中継を基本としたスポーツ中継。 そして月に万アクセス以上ある双方向番組。 これらのソフトのより一層の充実こそが時間はかかるかも知れませんが普及促進につながると信じています。 番組を見ていただいた視聴者の方々に、 地上波とは違った満足感、 充足感をいかに多く届けられるかがキーワードです。
  「BS行かすぞ!」 この言葉が、 何年かして 「喜んで」 と答えられ、 そして魅力的に映るようになるべく放送を続けていきます。



BSジャパン 編成部長 小池正夫

 BSデジタル放送を開始して早くも一年半。 この間、 CS一一○度放送の開始、 ブロードバンドの広がり、 地上波デジタル化に向けた大詰め調整など放送と通信のデジタル化が急速に進展し、 我々BSデジタル放送局もいよいよ正念場を迎えた。
 不況の影響もあって経営環境は厳しいが、 BSジャパンでは高画質やデータ放送・双方向機能といったメディア特性を活かした番組作りを精力的に進めている。 編成面では 「経済と幅広い文化」 をコンセプトに、 経済番組とドキュメンタリー、 映画、 ミステリードラマなどで特色を発揮、 視聴者から高い評価を得つつある。
 今後も 「経済と幅広い文化」 路線をさらに進めていく。 特に地上波では物足りない人やBSという新しいメディアに期待している視聴者に応えられるよう高画質・高音質を活かした 「良質でじっくり楽しめる番組」、 データ放送を活用した 「視聴者参加型の双方向番組」 など、 視聴者の視点に立ったBSジャパンならではの番組開発に取り組んでいく。 加えてブロードバンドやDVDなどを意識したコンテンツの開発も重要だ。 こうした努力こそが、 近い将来にBSデジタル放送が基幹メディアとなるための必須条件だと思っている。



BSフジ 編成局長 金光 修

 BSデジタルの普及状況は直接受信とCATV経由を併せて、 もうすぐ300万世帯に手が届くところまで来た。 これまでのアナログBSやCS放送の普及推移に比べれば、 極めて順調な伸びを示している。 でもBSデジタル局の経営状況はどこも苦しい。 新設のBS放送局の経営にとって300万世帯という数では、 広告放送として商売ベースにのせるには少なすぎるということだ。 従って各局はBSデジタル市場を拡げるために、 血を流しつつコンテンツを充実させ、 呉越同舟で手を組みながら連合プロモーション活動を開局以来続けている。
 今年のBSデジタル放送は、 世紀のスポーツイベント<冬季五輪>と<W杯サッカー>、 日本人選手大活躍の<メジャーリーグ>を前面に押し出し、 共同プロモーション活動を行っている。 更にBSデジタル各局の<映画>のラインナップは地上波に比べて圧倒的に充実している。 そしてデジタル化された綺麗な映像である。 これも夏以降キャンペーンをはっていく。 また各局には、 BSオリジナルの骨太で見ごたえのある<独自制作番組>も数多く揃っている。 このようにBSデジタル放送には魅力あるコンテンツが十分に揃っていて、 尚かつハイビジョン映像を楽しむことが出来る。 今後とも自信を持ってBSデジタルの価値を世間に知らしめていきたい。

 
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