ALL NIPPON PRODUCERS ASSOCIATON
プロデューサーへの手紙 日本映画・テレビ録音協会理事
映画監督
橋本 文雄
 私は、 昭和年に録音助手として映画界に入って以来、 現在まで270本以上の映画に録音技師として携わり、 さまざまなプロデューサーとも一緒に仕事をしてきましたが、 最近、 特に感じていることがあるんです。
 それは、 こと映画製作に限っていえば、 プロデューサーの存在というものが、 何かハッキリとしなくなってきているなということなんです。
 例えば、 私が技師として一本立ちした昭和三十年代の映画界では、 プロデューサーというのは、 それが自分の立てた企画であろうと、 会社からのお仕着せ企画であろうと、 とにかく原作交渉から脚本作りを経て、 監督をはじめとするメインスタッフの編成とキャスティング、 そして撮影から仕上げ完成に至るまで、 もちろん予算編成と管理も含めてですが、 製作責任者としての役割がはっきりしていたし、 現実にその役割を果たしていましたよね。 また、 スタッフや俳優との個人的繋がりも、 今より強かったように思います。
 ところが、 最近の映画の現場では、 エグゼクティブだとかラインだとか、 プロデューサーと名のつく人がやたら多いですよね。 出資者代表として名前だけ出しているような人は別にいいんですけど、 何か現場に顔を出しているけど、 何をやっているのかわからないようなプロデューサーがいるんですよ。 それから、 キャスティングについても、 一切を専門の会社とかに任せている場合があるんですが、 これはやはりプロデューサーが、 監督の意向を汲むにせよ、 メインどころぐらいは自ら決めて欲しいと思いますよね。
  まあ、 そんなことを言うのも、 プロデューサーとは我々スタッフにとって、 常に頼りになる存在であって欲しいと願うからであって、 これからも、 威厳を持って作品に取り組んでいただきたいし、 私もそういった現場にどんどん参加していければいいなと思っています。
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