ALL NIPPON PRODUCERS ASSOCIATON
プロデューサーへの手紙 松竹(株)映画部  宣伝プロデューサー  
高石 真美
 最近、 仕事の関係で、 海外のフィルム・マーケットに参加することが増えました。 そこで驚いたことは、 プロデューサー自ら、 完成した作品ではなく、 まだ自分の頭の中にしかない企画を売りに続々と集まってきていたこと。 映画の海外配給権を企画の段階で売り、 それを製作資金にあてるという方法がもはや当たり前であるという認識はあったものの、 その交渉プロセスを目のあたりにすることで、 大きな変化が起こっているなと改めて実感したものでした。
 今ある洋画の宣伝を担当しているのですが、 その映画も30年前から構想があったものの莫大な製作費を要する内容のため、 すべての映画会社が二の足を踏み続けてきた作品でした。 ところが、 たった一人の男がこの作品の製作を可能にしてしまいました。 海外セールス担当として、 規格段階に留まっていたこの作品の配給権を世界中で売りさばき、 映画製作費の大半を集めてしまったのです。 この男性は、 プロデューサーとしてクレジットこそされていませんが、 彼こそが真のプロデューサーであることは誰にも疑いのないことです。
   そんな話を聞くにつけ実感するのは映画作りのボーダーレス化です。 単に国境が無くなったというだけでなく、 資金の出所や集める方法が多様化することで、 プロデューサー業の間口がどんどん拡がってきているように思います。 プロデューサーにとってもビジネスチャンスが増えたということでしょうか?とはいえ、 海外のマーケットで、 顔見知りの香港や韓国の映画プロデューサーたちが資金集めに精力的に動き回っている姿は見ても、 日本人プロデューサーの姿を見ることはありません。 それはとても寂しいことです。 世界の映画業界で起こっている地殻変動に日本だけが取り残されているという印象を受けます。 プロデューサーの方々には、 もっともっと声高になって、 世界に飛び出しチャンスを獲得して欲しい!僭越ながらそんなことを感じております。
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