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プロデューサーへの手紙 東京テアトル株式会社  榎本 憲男
   今のプロデューサー、 特に若い世代のプロデューサーに望むことはあるといえばあるし、 ないといえばない。 妙な答えだけれど、 実は駆け出しながら僕もプロデューサーの一人なので (あんまり若くもないけれど)、 他のプロデューサーに望むことは自分でやってしまおうと思っているからです。 自分がこうやればいいのにと思うことを、 自分よりもうまくやる人がたくさんいると、 やっかいだ。 じゃあ、 何をどうしたらいいのにと思っているのかというと、 まあ単純な話なのですが、 シナリオをもっと大事にした方がいいんじゃないかということです。
 よく映画にとってシナリオは設計図のようなもので、 非常に大切ですというようなことはあちこちで書いてあるし、 よく聞く。 まあ、 映画作りの常識と言ってもいいだろう。 けれど、 現在のプロデューサーのシナリオに関する対話の能力が非常に低いんじゃないかと僕は思っています。
 例えば、 シナリオを読んで 「なんかちがうよね」 「もうちょいがんばれないの」 なんぞという感想をいうプロデューサーがいますが、 これはまったくなにも語っていないのと一緒で、 こんな人の下で書いているシナリオライターは本当にかわいそうだと同情を禁じ得ない。 「もうちょいはじけて欲しい」 というようなものですよね。
 先日ロッテルダム映画祭に行って、 アムステルダムにあるオランダの公立の映画学校を取材したんですが、 ここにはシナリオを論議する講座というのがある。 ライターと一緒にシナリオをどうやって良くしていくかという話し合いの技術やトレーニングの授業があって興味深かったです。
 私自身もそれほどシナリオについて詳しい訳ではないのですが、 その理論や技法については一生懸命学ぼうとは思っています。 今の若いプロデューサーは映画作家の才能に依存しすぎているような気がしてなりません。
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