ALL NIPPON PRODUCERS ASSOCIATON
今、問われていること 会長 遠藤 利男
〜臨時総会を終えて〜
 
議長 遠藤会長
 すでにご存知のように、去る三月二十四日、臨時総会が開催され、平成十五年度事業計画と予算案、また定款の一部改定案が可決承認されました。また五月の総会にむけて、功労会員の通信費を値上げする予備報告されました。会員の皆様のご協力に感謝いたします。
 ちょうどその頃、世界的規模での戦争反対の意思表示にもかかわらず、また国連安保理の決議を獲得できなかったにもかかわらず、米英軍はイラクへの進攻をはじめました。と同時に圧倒的物量とハイテク武器を誇る連合軍に従軍している六百人を超えるジャーナリストのレポートと、七十パーセント以上の支持率を背景とするアメリカ大統領の顔とホワイトハウスは発の言論が世界のメディアを覆いつくしました。
 一方同じころ、アメリカ・アカデミー賞の授賞式では、「千と千尋の神隠し」が長編アニメ部門でグランプリを受賞、「戦場のピアニスト」でポランスキーが監督賞を受賞し、またドキュメンタリー映画部門では、アメリカ銃社会とその根底にあるアメリカ文化を批判した、マイケル・ムーアの「ボウリング・フォー・コロンバイン」がグランプリを獲得しました。ムーアは授賞式の壇上で「ブッシュよ恥を知れ」と叫びました。アメリカの言う民主主義の底力を感じさせるシーンではありましたが、ブーイングの嵐の中にかき消されてしまいました。
 文化・芸術は戦乱を引き起こす人間の魔性、戦乱の悲惨さ、絶望の中から生まれるかすかな希望を描いて、人々の心に多くの感銘を残せても、しかし現実を変えることはできない。ベトナム戦争後アメリカ映画は多くの傑作を生み出しましたが、あれは何であったのでしょうか。
 もう一つ、九十年代から変質の著しいアメリカジャーナリズムが、9・11を境に決定的に変質したという事実です。しかもテレビを中心にいっせいに同じ方向に突っ走るメディアの恐ろしさをわれわれに見せています。この日本がそうならない保証はありません。
 さらにもう一つ。確かに民主主義はベターなシステムの一つではありますが、実は大変時間も手間ひまもかかるシステムであることをアメリカ人は忘れてしまっているようです。

臨時総会
 さて、われわれの協会は民主的なシステムと、会員の意欲によって運営されています。この数年間に多少時間はかかっても、いささかの前進をしたと思います。しかし、協会員の潜在能力はもっと大きく深いものがあると思います。ですから今後、さらに大きく発展させていこうではありませんか。
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