ALL NIPPON PRODUCERS ASSOCIATON
プロデューサーへの手紙 日本芸能マネージメント事業者協会 理事長

梅田 濠二郎
 テレビドラマの製作現場が変わったのか、ドラマ自体が変わったのか、おそらくその両方が変わったのだろう、映画やテレビのプロデューサーが劇場に見える回数がめっきり減ってしまった。
 かつては、三越劇場や文学座アトリエ公演に、坂本朝一さんや川口幹夫さんをはじめとして各局のプロデューサーの皆さんがよくいらっしゃった。プロデューサーの皆さんが演劇離れをした訳ではなく、小劇場や話題の演劇には行かれているのだろうが、演劇集団円や劇団青年座のマネージャーに聞いても、最近は淋しいネという話しになる。NHKの朝のテレビ小説のヒロインには、俳優座や民芸、文学座の新人から選ばれることが多かったが、少なくなったのは、魅力ある新人を育てていないという、劇団側の責任も少しあるのかもしれない。
 岡田晋吉さんが日本テレビにいらした時代、松田優作、中村雅俊、渡辺徹などの芝居を観た上で、テストの場を設定し主役に起用してくれた。会長の遠藤利男さんは今でもよくアトリエ公演に足をはこんでくださるのだが、田中裕子の舞台を観た上で大役をくださった。劇団には主役以外に沢山の演技力ある役者が揃っているのであるから、プロデューサーの皆さんには、是非劇場に足をはこんでいただきたいと思う。新藤兼人監督は、乙羽信子さんと杉村春子が親友だったということもあるだろうが、世田谷の劇場までドンジュアン≠観に来て下さった。アトリエ公演にも、撮影が入っていない限りおひとりでいらっしゃる。
 たまにテレビ局に行きますと、あわただしい雰囲気はあるものの、モノ作りの何かが失われているように感じるのは私が年をとったせいだけではないだろうと思う。
わたしの新人時代back会報トップページnext事務局だより