「韓流」 ドラマ・映画の沸騰 |
韓国ドラマ 「冬のソナタ」 はブームを超え、 "現象"になっています。
映画では 「シュリ」、 「JSA」 を凌ぐ千二百万人を動員しようとする 「シルミド」
が公開されます。 「韓流」 人気の秘密に迫ります。 |
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「キネマ旬報」編集長 関口 裕子 |

先日初めて、 ソウルで行われた韓国映画の完成披露試写に参加した。 拝見したのは、 「シュリ」 や 「殺人の記憶」 のソン・ガンホ主演の 「孝子洞の理髪師」 (ソウル地区の興行成績第1位で登場) 。 会場となったのは、 ソウル市内の名門映画館ソウル劇場。 まず日本と同じく、 イム・チャンサン監督やソン・ガンホ、 ムン・ソリ ( 「オアシス」 ) など出演者による舞台あいさつ、 続いて上映となった。
日本映画の完成披露試写にも、 海外からのジャーナリストが参加することがあるのだろうか?今回、 会場のあちこちで日本語やその他の言語を聞いた。 韓国映画の注目度の高さ、 パワーを改めて思い知らされた気がした。
印象に残ったのは、 試写に参加した方々の若さ。 大学生でも混ざっているのかと思うほど、 スーツを着ている方もそうでない方もみな若い。 今回、 韓国に行ったのは、 全州国際映画祭に参加するため。 ここのボランティア・スタッフも若く、 観客も若かった。 そう。 韓国の映画人はみな若く、 それを支える観客も若いのだ。 その中核をなすのが386世代といわれる、 80年代に大学に通い、 90年代に30代になった60年代生まれの人々 (80年代に軍事政権下で民主化運動をした60年代生まれともいう)。 韓国では彼らを《専門知識を持った実務世代》という。 実際、 映画人には、 留学経験者が多く、 他国の文化にも詳しい。 加えて高学歴で学閥の結びつきも強い。 「韓国の映画人はみな優秀。 だから優れた映画ができるのはあたりまえ」 (!) と、 ある韓国人プロデューサーから言われたことがある。 社会への問題意識、 それに自分への自信に満ち溢れている世代が映画界を牽引しているのだ。
いま日本は、 ペ・ヨンジュン・ブームだ。 『冬のソナタ』 の主人公を演じるペ・ヨンジュン ( 『美しき日々』 のイ・ビョンホンではだめなのだ) 。 勘違いしてはいけない。 マスの盛り上がりを見せているのはドラマ。 しかも 『冬ソナ』 だけで、 共通する観客はいるものの、 映画の観客とドラマのファンは異なる。 『冬ソナ』 のファンが求めるのは日本人俳優なら気恥しく思う純愛。 韓国映画のファンが求めるのは説得力のあるドラマ (アクションだろうが、 ラブストーリーだろうが) だ。
本当にいま韓国映画は充実していると思う。 でも厳選され、 製作本数は少ないから、 一回失敗してしまうと次にいつ撮れるかわからない。 だから 「みんな必死です」 と前述のプロデューサーはいう。
結論づけられなくて申し訳ないが、 言えるのは韓国から学べることは多いということ。 大いに交流したく思う。
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