日本映画テレビプロデューサー協会報2008年5月号

「プロデューサーズ・カフェ冬」 開催!

㈱東京ニュース通信社 TVガイド編集部編集長  並木 朋子

㈱東京ニュース通信社 TVガイド編集部編集長  並木 朋子 以前に比べ明らかにテレビドラマの視聴率は全体的に低いと思う。盛り上がらないのだ。日々、週刊でテレビ誌をつくっている立場からすると、読者の反応で「次は?」「早く」といった勢いが感じられない。若年層のテレビ離れが進んでいる、といったよく聞く事情だけではないと思う。実際、録画・DVD環境の充実、ネット世代・・・などと理由付けされることが多いが、そんなことは当たり前でこれだけテレビ以外の楽しみも溢れてくれば、しかたのないことだ。また原作ものが多いためオリジナル性がなく面白くないともよく言われるが、視聴率のいい時代でも数は違えど原作ものはあった。どれも一理あると思うが、それだけのせいにしていいのかどうかは疑問を持っている。それではなぜか? 私は制作側の考え方だと思う。テレビ局だけでなく、私たち紙媒体も同様だからだ。
  まず、矛先が違ってはいないか? ということだ。結果的に意識しているのは視聴者のようで、そうではなくタレント事務所だったり、他局だったりするのではないか。私たち雑誌の世界も、他誌よりも早く出したもの勝ち的な戦略も使い、読者不在の制作状況になっていないか。高速化を追求するが為に安全性を忘れた交通事故と同様、視聴率重視のために質を見落とし、視聴者不在の中で進んでいるのではないか。もちろん、ライバル視する相手のことを考えるのも重要な戦略の一つだ。だが、実際のライバルは本当に他局、他誌だろうか? 真のライバルは視聴者であり、読者であるのではないか。視聴者や読者が「とにかく早く見たい」と思うものを作ることが、本当のクリエイティブなのではないかと思う。
  そして矛先が違っているから、情報が遅れ、制作者の情熱・戦略が欠如するのではないか。テレビドラマが盛り上がっていた頃、プロデューサーが自ら内容の詳細やキャスティングの良さを自信満々に伝え、それをどう誌面化していくか、よく打ち合わせをした覚えがある。制作者自ら宣伝活動をする人が最近は少なくなったような気がするのだ。どちらかというと、タレント事務所ありきの宣伝活動になっていて、本来の作品への情熱が伝わってこない。最近テレビ局の広報マンは、ほとんどがグラビアを要求してくる。とにかく特写インタビューをやれば問題ないのだ。役者インタビューも売りにはなる、が「この時期このドラマはタレントインタビューよりも、ドラマの内容をがっつり特集したほうがいいのではないか?」と断ったとしたら、「TVガイドは何もやってくれなかった」となってしまう。これが戦略か? 作品の良さ、キャスティングの良さをどう表現していったらみんなが見てくれるだろうという肝心の制作側の心が見えないのだ。
  テレビ誌は「このドラマ次にどうなるの!?」という疑問が多ければ多いほど売れる。だから、視聴率のいいバラエティー番組を特集で取り上げても、雑誌はドラマのそれほど売れないのだ。「次にどうなるの?」「早く見たい!」、そう思ってもらえたら、このモノが溢れてる時代でも、録画せずにDVDを待たずに、早く帰ってテレビの前に座ってもらえるのではないかと思う。まず制作側が盛り上がらなければ、視聴者も読者も盛り上がらない。新しい市場を作るメディアミックスのパブリシティー戦略をきちんと練っていくことによって、その力は間違いなく、かたちあるものになるのではないだろうか。

市川崑監督を偲ぶ

新潟県フィルム・コミッション協議会  田中 克典
新潟県フィルム・コミッション協議会 田中 克典「県内FCのネットワークを 活かした強力敏速なサポートを!」

 はじめまして「新潟県フィルム・コミッション協議会」(以下、新潟FC)に今年4月に担当として赴任いたしました、田中克典です。
  新潟FCは2004年2月に設立し、県内各地にある地域FCと企業、観光協会など現在、約30団体の会員がいます。映画、ドラマ、テレビ番組など、昨年は50件を超えるロケ支援をいたしました。特に昨年春に「マリと子犬の物語」が撮影されました。実際の被災地の学校での撮影や、校庭へ自衛隊のヘリが着陸するシーンなど今までにない取り組みで、震災復興の一助になればという熱い思いで、強力な行政ぐるみのバックアップが得られました。
  新潟県は、海岸線の延長が330キロにおよび、変化に富んだ造形美を作りだしています。大きな夕日が水平線に沈む日本海には、佐渡や粟島の島々、広大な越後平野には日本一の大河信濃川が流れ、県境には2000メートルを超す山々があり、自然豊富なロケーションを持つ新潟は、多種多様な顔があります。また日本の古き良き原風景が数々点在しており、豪農の館・古民家や山間部には茅葺きの民家が残存し、曲がりくねった山道の先には幾層にも重なった棚田が広がっています。長い海岸線には、ノスタルジックな漁港や海水浴場など昭和の初、中期にタイムスリップしたような、数々の海辺の情景があり、新潟は、まさに「日本のふるさと」の香りがあります。
  春は雪解けから一気に新緑が芽吹き、夏の藍々とした広大な田園風景と日本海。秋には山々の紅葉と黄金色に輝く稲穂が広がり、冬は一面の銀世界に覆われた忍びの風景があります。そして山海の豊かで新鮮な四季折々の食材も新潟が誇る宝です。これほど四季がはっきりとした彩りを見せる豊かなロケーションは新潟ならではの財産です。アクセスにも恵まれ首都圏から2.3時間でこの環境があるのも大きな魅力です。
  来年放送のNHK大河ドラマ「天地人」の本格的なロケが今年9月より、いよいよ始まります。現在の新潟県南魚沼市で生まれ、上杉景勝に仕えた、越後の智将「直江兼続」の「義と愛」を描いた壮大な歴史ロマンです。今、すでに新潟では熱い機運が盛りあがってきています。
  新潟FCはロケーションサポートを通じて「映像業界のさらなる発展と新潟の地域活性化」の両面を積極的に支援し続けていきます。各界のプロデューサーの皆様に、より「ディープな新潟」の情報発信と、しなやかなロケーションサポートを提供できますよう、私ども新潟FCは、フルパワーで支援いたします。  
 新潟ロケーション  http://www.loca-niigata.net/


広島フィルム・コミッション  西崎 智子
広島県フィルム・コミッション協議会  西崎 智子地域との連携で生まれる力の活用を!

 こんにちは。広島フィルム・コミッションです。海外からの撮影隊の受け入れも多い広島ですが、原爆という大きなテーマの発信と同時に、広島フィルム・コミッションが取り組んでいるのは、現在の美しい〝水の都.広島の発信です。広島の市街地を流れる6本の川。その川には約3000本もの橋がかかり、河岸は美しく整備されています。誰もがほっとなごめる、そんな場所で素敵な物語が展開して欲しいと願っています。
  プロデューサーの皆様にお願いしたいのは、地方での撮影の際には、ぜひとも地域住民と連携・交流していただきたいということです。プロ集団として、効率よく撮影を行いたいとお考えだと思いますが、地元と交わっていただくことで、結果的に撮影がスムーズに行われ、映画であれば興行時にも大きな力となります。もちろん、その「つなぎ」としての役割こそ、広島フィルム・コミッションにお任せください。
  撮影の行われる町の商店街振興組合さんとの連携が功を奏した映画「カスタムメイド10・30」、ロケ地となった河岸緑地で活動する市民団体との連携でロケから全国初の河岸での野外上映会実施へとつながった映画「夕凪の街 桜の国」、そして今夏クランクインする映画「愛が降る 球場物語」では、舞台ともなる広島市民球場を大切に思い活動される方々への連携を呼びかけているところです。
  撮影支援から上映支援まで。市民の皆さんとともに広島でお待ちしています。

只今撮影中

NHK 若泉 久朗
ドラマ8「バッテリー」

 この4月からNHKのドラマに新枠が出来ました。木曜8時の「ドラマ8」です。第1弾は「バッテリー」。原作はあさのあつこさんの800万部の大ベストセラーで、野球に打ち込む中学生の少年たちの友情と成長を描くナイーブな青春ドラマです。ところでそもそもこの枠はいままでは木曜時代劇でした。それがドラマ8になったのには少々いきさつがあります。
  NHKが公共放送としてどう生き残れるか、いま局内外で正念場を迎えています。重大な課題のひとつが、年層別視聴率の高齢層への偏りです。NHKのメインの視聴者は50代以上で、10代などの若い層にはほとんど視聴されていないという実情があります。これはNHKのすべての番組においてです。そこで局内に視聴者層拡大プロジェクトが立ち上がりました。そして、まずドラマで成果を出すべくドラマ戦略プロジェクトがその下部組織として発足しました。1年前のことです。プロジェクトではドラマ部だけではなく、編成や広報、事業、視聴者センターなど、部を横断して若手職員が集まりました。特に女性職員が多く集まったのが特徴です。「いまどんなドラマが見たいか?」原作や企画の提案を募集して、さらにマーケティング調査にかけました。「NHKのドラマは見たことがない」「新聞のラテ欄の左ふたつは目線に入っていない」恐るべき十代の声がビシビシと集まります。しかし今まで見ていない新たな視聴者層、そのターゲットこそ10代とその親世代のダブルターゲットです。いかに親子で見てもらうドラマを作るか、開発に1年かかりました。大体いままではまず枠があって企画を決めていくのが普通ですが、以上の経緯からドラマ8は現場から作り上げていった枠です。そして第1弾が「バッテリー」となりました。
ドラマ8「バッテリー」撮影風景  若年層だけでなく親子で楽しんで頂くドラマですから、大人も楽しめる完成度が問われます。「バッテリー」の主題は「子供たちの力で大人たちを動かすことが出来る」ということです。子供たちの目線でドラマを描くこと、大人の解決や説教でドラマをまとめないことを課題としました。当事者の子供たちがぶつかる困難、それは大人になれば実は小さなことでも子供たちにとってはとても大きな事です。その大きさを大切にしたい。小学校の校庭が大人になって見ると驚くほど小さく感じる、あの感覚です。やがて大 きくなればわかることだからこそ、大人から見れば切ないドラマにもなるでしょう。
  10代に響かせるためには広報も大きな課題です。なにしろ普段NHKを見ていない人ですから通常の番宣では歯が立ちません。携帯、ティーン雑誌、そして当日のラテ欄への広告など、公共放送の制約のなかで出来得る戦略を試みました。成果の分析と検討はこれからです。第2弾は共同テレビに制作委託する「乙女のパンチ」。主演の南海キャンディーズのしずちゃんが女子プロボクシングに挑みます。どうぞご注目ください。

私の新人時代

松竹 足立 弘平

松竹 足立 弘平 映画を志し、上京して大学に入ったものの、都会の刺激に毒され中退し、歌舞伎町をウロウロしている頃、地元京都に映画の学校ができるというので、逃げるように東京を後にして門を叩いたのが、「KYOTO映画塾」。松竹の京都映画撮影所の中にあった。何とか潜り込む事ができ、二年間学ぶことになった。二年目は卒業制作と現場実習ということで、五社英雄監督の「女殺油地獄」に製作進行助手見習いでつかせてもらった。仕事は強烈に寒い冬場だったのでガンガンの世話と、セット用のスリッパ磨きと、朝一のセットからの鳩追い出し! それでも映画の現場にいられることだけで、充実した日々だった。
  卒業後そのまま松竹に入社し、配属されたのが「テレビ部」。すぐに中村敦夫監督の「本多の狐」という時代劇についた。貰った名刺にはプロデューサー助手とあった。二年間学んだ場がそのまま仕事場となった。気分としては相変わらず製作進行助手で、肩書きが変わって何をやっていいのかも解からず、何をやったのかも思い出せない。ただ現場に立ちすくんでいた様な気が……。
  その後も京都の作品が多く、ほとんど京都にいた。又その頃撮影所では、錚々たる日本映画の巨匠たちがテレビ時代劇を撮っていた。そして「必殺」を創った京都のスタッフは厳しく、誇り高かった(今でもそうだが)。映画青年くずれの青二才にとってはかなりのカルチャーショックだった。特に現場を仕切る石原興カメラマンには驚いた。作品は監督だけが創るものじゃないという当たり前のことを学び実感する日々。それから16年……、名刺から助手の字は取れるには取れたが、恵まれた環境にあり、仕事を一緒にさせて頂いているのは監督、脚本家をはじめ超ベテランの方たちばかり。そんな中ではまだまだヒヨッコなのかもしれないが、映画の古きよき伝統を継承していけるよう、これからも頑張って行きたいと思う。

事務局だより

◎正会員入会

◎退会

平成19年度臨時総会ご報告

 平成20年3月24日.午後6時30分から、東映本社八階会議室において、正会員501名のうち、委任状の219名を含めて、275名が出席して、決議に必要な定数を満たし、定款に従って、杉田成道会長が議長席につきました。
  第一号議案のイ平成20年度・事業計画(案)に関しては、西村与志木副会長より説明があり、各々のイベントは、多角的に検討し、会員各位の親睦を呼びかける新しい集まりと、若い人達の積極的な参加と育成をテーマとして検討したいとの報告がありました。
  続いて、ロ平成20年度収支予算(案)については、松尾武総務委員長より「平成19年度の決算見込」と「平成20年度収支予算(案)」について説明があり「ここ数年、収支は功労会員の増加と若手新入会員が少なく、残念ながら目減り状態にあり、会員の皆様の新人勧誘と、協会の活性化を宜敷くお願いしたい」との説明がありました。
  そして最後に重村一副会長と杉田成道会長より「国際ドラマフェスティバル」に関して説明があり、略称「コフェスタ」の開催は、映画界とテレビ界のプロデューサーが所属する唯一の我が協会ならではの、存在意義を広く知らしめたとの報告がありました。
  総会終了後は同会場で、ささやかな懇親会に移り、なごやかな歓談の中で午後7時50分に散会致しました。 (事務局)

総会と懇親パーティーのご案内

第32回通常総会を下記により開催致します。 正会員の方はご出席ください。
総会終了後、 恒例により懇親パーティー (午後6時開宴予定) を開きます。
賛助会員の方々も、 お誘い合わせの上、 是非ご参加下さい。

第44回親睦ゴルフ会第44回親睦ゴルフ会開催!

平成20年3月28日(金)600本の桜の花咲く「我孫子ゴルフ倶楽部」は、朝の心配された雨もあがり、絶好のゴルフ日和となり、14名のメンバーが腕を競い親睦を深めました。 (親睦委員会)

インフォメーション

◎会議の記録と予定

4月21日 (月)   会報委員会  (事務局)
4月24日 (木)   第10回定例理事会  (東映本社)

5月19日(月)  会報委員会  (事務局)

5月30日(金)  第11回定例理事会/ 第32回通常総会 (NHK青山荘)