社団法人 日本映画テレビプロデューサー協会 会報 2011年3月号

華やかに2011年 エランドール賞授賞式開催!!

2011年エランドオール新人賞受賞者のみなさま

エランドール賞委員会 副委員長 若泉 久朗

 今年も華やかに、2011年第35回エランドール賞授賞式が、2月3日午後6時半から新宿京王プラザホテルのエミネンスホールで開催されました。
 今年はテンポアップを図るために例年の式次第の構成にいくつか修正を図りました。司会は長年にわたり小林大輔さんの名調子でしたが、今年から各放送局のアナウンサーが持ちまわろうという事になりました。今回は永井伸一NHKアナウンサーです。エレクトーンはおなじみの永田勝子さんです。
 最初の表彰は作品賞・プロデューサー賞・プロデューサー奨励賞です。映画部門の作品賞は「告白」が選ばれました。檀上には日活の石田雄治さん、リクリの鈴木ゆたかさん、東宝の川村元気さんの三人のプロデューサーが登壇しました。プレゼンターには少年A役で出演した西井幸人さんがお祝いに駆けつけてくれました。プロデューサー賞は、石田雄治さんと鈴木ゆたかさんのお二人が受賞されました。プロデューサー奨励賞は、「悪人」と「告白」を制作した川村元気さんが受賞され、プレゼンターは「悪人」に出演した満島ひかりさんでした。
 テレドラマ部門の作品賞は「龍馬伝」でした。受賞者はNHKの岩谷可奈子チーフ・プロデューサーと演出の大友啓史ディレクターです。ゲストに脚本家の福田靖さんが登場しました。プロデューサー賞は「龍馬伝」を制作したNHKの鈴木圭チーフ・プロデューサーが表彰されました。プレゼンターは西郷隆盛役で出演した高橋克実さんでした。プロデューサー奨励賞は「フリーター、家を買う。」を制作した共同テレビジョンの橋本芙美プロデューサーです。プレゼンターは演出の河野圭太ディレクターでした。
寺島しのぶさん 続いて特別賞の表彰です。今年は二件の表彰となりました。まずは寺島しのぶさん。映画「キャタピラー」でベルリン国際映画祭の最優秀女優賞を日本人として35年ぶりに受賞した快挙が表彰されました。ゲストは若松孝二監督が登場しました。二件目は、NHK「ゲゲゲの女房」制作チームです。国民的な大ヒットとなった朝ドラの制作チームが表彰され、檀上にはNHKの谷口卓敬チーフ・プロデューサー、演出の渡邉良雄ディレクターなど9人のスタッフが登壇しました。ゲストに脚本家の山本むつみさん、そして主役の松下奈緒さん、向井理さんが登場して檀上で賑やかに再会を喜びあいました。
 いよいよクライマックスの新人賞の表彰です。今年は男女6名が受賞されました。表彰は男女五十音順で行われます。まずは桐谷健太さん。持ち前の明るさとエネルギッシュな芝居で「BECK」「ソラニン」「JINー仁ー」「龍馬伝」など映画および各局ドラマを総ナメにしての大活躍でした。檀上でもガッツポーズで会場を大いに沸かせました。プレゼンターは「JINー仁ー」を制作したTBSの石丸彰彦プロデューサーでした。つづいては吉瀬美智子さん。初主役の「ハガネの女」では体当たりの演技でリアルでハートフルな小学生教師を好演したのをはじめ、映画・テレビにとどまることのない勢いでした。プレゼンターは「ハガネの女」の生徒役で出演した大橋のぞみさんです。3人目は佐藤健さん。「龍馬伝」の岡田以蔵や主演作「Q10」映画「BECK」などでの、高い演技力と感性に裏打ちされた繊細さと狂気の表現が絶賛されました。人気、実力ともに急上昇中の若手俳優です。プレゼンターは「龍馬伝」を演出したNHKの大友啓史ディレクターでした。4人目は松下奈緒さん。「ゲゲゲの女房」では家族を支える昭和の女性を確かな存在感で見事に演じ切り、番組の大ヒットとともに国民的関心を集めました。プレゼンターは「ゲゲゲの女房」での父親役の大杉さんが登場しました。つづいては向井理さん。「ゲゲゲの女房」の水木しげる役を演じて大ブレイク、女性たちがいま一番注目している本格的若手俳優です。幅広い役を演じ分け、待望久しかった大人の役者になれる可能性を秘めた逸材です。プレゼンターは「ゲゲゲの女房」の父親役の風間杜夫さんが登場しました。新人賞の最後は満島ひかりさん。ほとばしるエネルギーと爆発的な表現力で見る者をくぎづけにする圧倒的な存在感が大きな魅力です。主役映画の「川の底からこんにちは」「カケラ」やテレビ東京「モテキ」など映画・テレビに快進撃をつづけています。いま業界が最も注目するヤバイ若手女優です。プレゼンターは「モテキ」を演出した大根仁ディレクターでした。以上6人が再び勢ぞろいしてフォトセッション。いまをときめく豪華な新人たちのオーラで会場は最高潮に達しました。この後、受賞者の記者会見が別室で引続いて行われました。
 舞台は一転してお楽しみの福引抽選会です。各社からご提供の景品が次々に当たると会場がドッと沸きました。そしてその盛り上がりのなか無事にお開きとなりました。
会場風景 最後に今年の検証と課題についてです。全体にスピードアップを図り、昨年より30分ほど短縮出来ました。要因のひとつは作品賞とプロデューサー賞をひとまとめにして表彰したことです。いままでバラバラ感が強かった一連の表彰にメリハリをつけました。もうひとつは抽選会の改善です。今年から事前に景品の半分を抽選して出口に当選番号を掲載しました。檀上での抽選品を例年の半分にすることができました。それでも全体で2時間です。歓談も1回しか入りませんでした。これ以上のスピードアップを図るのならば、内容のいくつかを見直さなければならないでしょう。式の構成としては、例年前半に行っていた新人賞を最後のクライマックスにもっていきました。おかげで会場には最後までお客さんが残って熱気を引っ張り続けることが出来ました。そのあと新人賞受賞者の記者会見を行いました。例年は開会前に行っていたのと比べると、トロフィーを持っての会見なのでインタビューも実感がこもったものになりましたが、一方で会見が終了したのは21時になり検討課題ともなりました。司会について、今年はNHKが担当しましたが来年からデジタル放送チャンネルの順番で各放送局が持ちまわりたいと考えています。④日テレ、⑤テレ朝、⑥TBS、⑦テレ東、⑧CXとなります。これからに向けてどうか、皆様のご協力のほど、よろしくお願い致します。

只今撮影中

NHKエンタープライズ ドラマ番組 後藤 高久

NHKエンタープライズ ドラマ番組 後藤 高久

『新選組血風録』

 4月からNHKーBSは新装開店といった感じで大きく様変わりします。BSハイビジョンがBS2と統合された形で「BSプレミアム」が生まれ、BS1とBSプレミアムの2波体制での放送が始まります。
 BSプレミアムのキャッチフレーズは「見るべきテレビが、ある」。私たちは視聴者のみなさんにどうしても見たい! と思っていただけるようなドラマを作らねばならないと思いを新たにしているところです。
 そんな熱い気持ちを込めて撮影中なのが、BS時代劇『新選組血風録』。4月3日(日)からの放送開始に向けて順調に撮影が進んでいます…と言いたいところですが、なにせ殺陣シーンが多くて深夜の収録が続いて出演者やスタッフは大変です。しかし、殺陣が見どころの一つですから気は抜けませんし、むしろ現場はもっともっと、と貪欲にテイクを重ねています。
 主演の永井大さんは抜群の運動能力の持ち主で、殺陣や乗馬も昨年から稽古を重ねるごとに驚くほど上達して、いまでは土方歳三の力強い剣さばきを自分のモノにしている感があります。沖田総司役の辻本祐樹さんはなにせ天才剣士の役柄ですから、はじめは正直「大丈夫かな…」などと思ったこともありました(失礼!)が、最初のロケで撮影した長回しの殺陣シーンでは、カットの声が掛かると同時に興奮したスタッフから大きな拍手が沸きあがるほどに素晴らしい激闘を演じきりました。とにかく迫力のある殺陣は必見! お楽しみいただけると思います。
『新選組血風録』 さらに、出演者の頑張りに輪をかけて、美術・技術も気迫を込めた番組作りをしています。じつはこの「新選組血風録」の放送は、大河ドラマのBS先行放送のすぐ後に始まる(毎日曜日・午後6時45分〜)ので、「江」を見たお客様がそのまま引き続きご覧になる場合が多いと思われます。予算ではとても太刀打ちできませんが、大河に勝るとも劣らない映像をお届けしようと、各スタッフは知恵と体力総動員で新選組隊士のごとく日夜格闘しています。
 なので撮影現場はまさに男の熱気でムンムン。さながら体育会系クラブのような雰囲気です。それだけに前田亜季さんや井上和香さんがスタジオに入ってくると、それだけで辺り一面に花が咲いたようで現場の空気も和みますし、ドラマの中でもいい塩梅に女性の色香が漂う作りになっているはず。淡い恋話から凄みのある女の情念の物語まで、様々な人間ドラマが描かれているのも『新選組血風録』の魅力です。
 序盤第3回までの見どころは、土方と近藤勇(宅間孝行)の男の友情を軸に、豊原功補さん演じる芹沢鴨との宿命の対決迎える雨中の決闘。そして第5回の池田屋騒動、さらにさらにと、全編見どころばかり! ですので、ぜひご覧下さい。

私の新人時代

株式会社角川書店(旧 角川映画)映画企画部プロデューサー 杉崎 隆行

株式会社角川書店(旧 角川映画)映画企画部プロデューサー 杉崎 隆行 上野駅から飛び乗った新幹線。車内で渡された台本を読み、いきなりの仙台ロケハン。そんな無茶な出会い(誰かの代理だったと思う)が、世話になった東映撮影所の初仕事だった。「業界の奴は見れば必ず判る」と駅での初めての待合せは一目でお互いを確認した。その人(P)が沢山の撮影現場の楽しさ(?)を味あわせてくれた。現場では、先輩たちに負けまいと仕事中は絶対「歩かない」=いつも「走る」と馬鹿な決め事をして、いつも走りながら考えた。そのお陰で人より沢山の失敗をした。「飯押しでお願いします」と昼前に叫ぶお決まりの声が遅れ、12時を過ぎた瞬間に照明が消されて撮影が止まった。朝早くから準備をしていたセット上のその上(三重=キャットウォーク)にいた照明部は腹ペコだったのだ。見えない所で沢山の人が働いていることを知らされた。
 ロケ先を借りたレストラン。鍵を持った担当者が約束の時間に来ない(当時、携帯電話なんて無かった)。入れないレストランの前で「確認をしなかったお前の責任だ」と撮影隊をじっと待たせた時は胃がキリキリした。「後はキレイにしとけ!」と、掃除道具と一緒に現場においていかれた。美術部が作った御影石の汚しは水で簡単に落ちるはずだった。必死で磨く御影石を睨んでいた建物の持ち主が「もういいよ」(半分は諦めの境地だったと思う)と言ってくれた。汚れた掃除用具を持った帰りの電車の中で、人の優しさと自分の汚さに泣きそうになった。
 真冬の新潟ロケ。雪降らしの大ロケーションは、春になって「下水が発泡スチロールで詰まってます!」との役所からの怒りの電話に、撮影所の人間を掻き集めて緊急出動したこともあった。「あの船を退かせ!」海に沈む夕日を狙った撮影で、数キロ先に錨を降ろしたタンカーを見て叫んだクレーン上のカメラマン。一瞬頭の中が真っ白になった。監督助手が海に飛び込んで泳ぎ出し、それを助けに漁船を出港させた製作担当。二人を乗せた漁船は、夕日が沈む前にタンカーに錨を上げさせた。御殿場に造ったシベリアのロケセットで、変更に変更を重ねた撮影日に、戦車の実弾演習とぶつかった。炸裂する爆発音に「これじゃ撮影出来ねえナ」簡単に言う録音技師…。戦車隊はいきなり現れた白旗を掲げた汚れた人間に呆気に取られ、演習を休憩して撮影見学をしてくれた。
 そんな一つ一つの失敗や頑張り(?、単に馬鹿)を通して沢山の根気と勇気を教えて貰った。そんな先輩たちの思いを胸に「初心」を忘れず、また撮影に入ろう。

事務局だより

プロデューサー協会 ゴルフ会開催のお知らせ

当協会主催の親睦ゴルフは記念すべき50回目です。
休日、近郊で格安に! ということで、できるだけ多くのご参加をお待ちしています。

※初めて参加される方は事務局までご連絡下さい。
  ㈳日本映画テレビプロデューサー協会 親睦委員会 TEL(03)5338—1235

「総会」のお知らせ

通常三月に開催されてきた「臨時総会」は、新しい法人移行に伴ない、法令によって行われなくなりました。
従って、新年度事業計画案や収支予算・決算案等も五月の通常総会で諮られることになりました。
この第35回通常総会は5月31日(火)17時、NHK青山荘にて開催されます。
なお詳しくは次号でご案内します。

◎退会

◎訃報

インフォメーション

◎会議の記録と予定