日本テレビ編成局ED |
酒井 浩至 |
火曜サスペンス劇場が長続きしている理由
火曜サスペンス劇場は、 今年で22年目を迎えましたが、 平均視聴率が18%と非
常に高いレベルで推移してきました。 これは、 22年間、企画立案にあたって、
ある 1つの枷を念頭に置きつづけてきた事に大きな要因があると自負しています。
それ は、 テーマは常に“人間賛歌である”という事です。
当然、 事件ものですから、 人の負の感情、 恨み、 憎しみ等を描いていくわけです
が、 最後には、 人間はなんて素晴らしいんだろう、 愛しい生き物なんだろうと思って
頂ける作品を目指してきました。企画を選ぶときのヘソも其処です。
「犯人当てだけの企画は扱わない」 犯罪というものは、 その時の社会の縮図です。
殺人事件、 詐欺、 誘拐…それぞれの時 代で全くありようが変わります。 ですから、
事件ものを扱うということは、時代の空 気をつかまえ、 ある種のメッセージを発信していく作業だと思っています。
そこにあ る人間ドラマを描いていく限り、 永久に違うものが出来るし、 この先、
ずっといつま でも続けることが出来るのではないでしょうか。
但し、 上記を成立させる作業は、 非常に困難です。 なにしろ、 殺人を扱いつつ、
生 きていることは何と素晴らしいことだろうと、 訴えつづけていくことですから。だか
ら、 犯罪の動機作りには徹底的にこだわります。
観る人が“自分もこういう状態になったら、 同じ事をしたかもしれない”というリ
アリティこそが視聴者と犯人を繋ぐ心の絆になるからです。
そして結末は、 単純に犯人を逮捕するだけでなく、 未来になんらかの救いや希望を
抱けるようなドラマにするよう心掛けています。 もちろん、そのような私共の考え方
を、 脚本家、 監督、 制作会社の方々に賛同していただき、 協力して頂けたことが、
長 い間、 番組を作りつづけてこられた最大の理由だと思います。
この場を借りて、 全てのスタッフの皆様に、 感謝の気持ちを捧げたいと思います。
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