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2時間ドラマ好調の秘密 A

テレビ東京制作局 統括プロデューサー 佐々木 彰
いまこそ正念場

  「女と愛とミステリー」 (毎週水曜20時54分〜) は、 01年1月スタートした。 今年12月で丸3年を迎えるが、他局との視聴率格差は歴然で、 とても好調の秘訣な ど語れる段階にない。 原作ありを条件にHD収録で、 それなりの製作費を配して本格 的ミステリーを目指した。 何故にその差が縮まらないのか、日々苦悩研究中である。
 2時間サスペンスは、 多くが殺人事件を設定したエンタテイメント番組である。 娯 楽を強調するか、 リアリティを重視するか、 その狭間に立つ微妙なバランスによって この種の番組は成立している。少し前は、 娯楽性が強められ楽しい明るい軽いタッチ のサスペンスが重宝される傾向があった。 今は逆に現実を反映して嘘っぽい設定や軽 過ぎるキャラクターは敬遠され人間ドラマが強調されていると思う。私たちもリアリ ティある展開で人間をキチンと描いたエンタテイメントにして欲しいとお願いしてい る。
 テレビドラマ全盛時代のホームドラマや刑事アクション、 連続時代劇というジャン ルが大きく減りつつある。 が、 それらは2時間ドラマの中で生き抜いている。『家 族』 『夫婦』 『親子』 の“愛”は2時間ドラマに必須であり、 犯人は必ず捕まり 手錠がかけられる 『正義』 が貫かれ、 殺人動機を崖淵で激白する 『勧善懲悪』が 基本の型として心地よく描かれるのである。 ただ、 サスペンスというなら、 もっとハ ラハラドキドキさせねばいけない。 ミステリーというなら、 謎が解けた時にもっとエ スプリを効かせて納得させねばならない。
 2時間ドラマは他局が長い年月を経て培い数千本の作品が製作された結果、 世界で も稀で特異なジャンルを確立した。 が、 そのノウハウが蓄積され独特の型が生まれる 一方で、いつまで殺人のドラマを続けるのかとの批判も多い。 視聴者は日々進化し新 しい2時間ドラマを待っている。 今、 視聴者は何を求めているのか、 枠の個性は出せ るのか、正念場である。
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