ALL NIPPON PRODUCERS ASSOCIATON
映像の基地=撮影所の再開発進む!

「東宝スタジオが変わった!もっと変わる!」
東宝 (株) 常務取締役 スタジオ・宣伝担当   中川 敬 
 昨年春に40年ぶりに新ステージを作り、 それに併せレンタル料金の改定も行い、 東宝以外の方にも 「使いやすいスタジオ」 として評価してもらえるよう、 アドバイザー委員会の助言を受けて、 様々な改革をすすめています。 その結果お蔭様で最近のステージ稼動は前年の倍以上で、 ステージが足りなくて、 ご迷惑をおかけしている状況です。 好調の理由は単に東宝スタジオが変わっただけでなく、 映画そのものが強力なコンテンツとして脚光を浴び、 プロデューサーの方の製作マインドの高まりや製作への投資環境が整い始めていることがその背景にあると思います。
 映画は東宝にとって中核の事業であり、 今まで厳しい状況の中でもスタジオを維持整備してきましたが、 この時代の大きなうねり中で、 積極的な設備投資を行い、 デジタル時代にも対応できる最新鋭のスタジオを作ることに致しました。 具体的には、 200坪のステージを5つ、 付属施設としてキャスト・レストラン棟、 大道具棟、 小道具棟、 プロダクション棟なども作ります。 この結果、 映画では年間20数本を製作する能力を持つことになります。 また各ステージとポスプロ、 ひいては外部のCGハウスとを高速通信網で結び、 合成・編集など映像の仕上げ環境を整備します。 さらにできるだけ早い時期に編集・ダビングの為の新ポスプロセンターも建設する予定です。 こうしたハード面の整備に50億の資金を投下しますが、 高稼働やコストダウンによって使いやすくなった現在の料金体系を守ってゆくつもりです。
 ただ、 ハード面だけでは製作環境を整備したことにはなりません。 これに併せ、 美術製作の改革も進めています。 良い美術をできるだけ安価に提供したい、 この目標に向かって、 スタジオの窓口である運営室と東宝映像美術が改善運動をスタートさせました。
 施設面の完成は2007年春ですが、 美術製作など運用面の改革はこの1年のうちに完了させます。 少ない製作費で良いものが作れる環境は、 日本映画に多様な作品が生まれるための必須条件だと思っています。 東宝スタジオにご期待ください。



総合的な 「映像製作工場」 としての撮影所をめざして
東映 (株) 取締役東京撮影所長   生田 篤
 近年の映像製作現場では 「デジタル」 という文字が氾濫し過ぎているように感じられます。 本来、 脚本の 「文字や行間」 を映像化するのは 「アナログ」 の世界以外の何ものでもなく、 「デジタル」 はその表現方法の手段の一部でしかないと思います。 確かに製作過程における技術的な 「デジタル」 化への変革は著しいものがあります。 しかし、 映像製作現場で 「職人」 とか 「手作り」 と言うような言葉が風化しないようにしなければなりません。 東映東京撮影所は 「職人」 や 「手作り」 という言葉を重んじつつ数年来映像製作環境の整備に努めて来ました。 デジタル対応DBルームのリニューアル、 食堂・喫茶店・試写室を容したスタジオ、 俳優控室・衣裳合わせ室・メーク室・会議室・リハーサル室を容したGスタジオ、 大型の美術関連倉庫3棟、 そして今春完成した2棟のステージで一応今回の計画は一段落しました。 17棟の撮影ステージを持つこの撮影所は映画、 CMはもとより年間200本を越すテレビドラマの量産撮影所でもあります。 映像製作の予算の中に所謂 「スタジオ費」 としての金額がなかなか潤沢に計上出来ないのが現実である以上、 「撮影所」 の環境整備もなかなか意のままにならぬ部分もありますが、 「人的対応」 も含めて更なる改革を進めて参ります。 また東映アニメーション、 東映ラボ・テックをはじめ、 優れた技術を有する数々の関係会社とネットワークを組み、 特殊撮影、 CG製作、 デジタル合成など、 映像製作に欠かせない 「デジタル」 的な面と美術、 装飾、 特殊効果など 「職人・手作り」 的な部分を兼ね備え、 それらを融合させて総合的な映像製作環境を創出出来る撮影所にしたいと思っています。
第28回通常総会冒頭挨拶back会報トップページnext私の新人時代