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 映画・新社長に聞く
松竹 (株) 代表取締役社長   迫本 淳一
 6年間かけ会社再建を目指して全社員一丸となって努力を続けて参りました。 不良資産の償却をはじめとする財務体質の改善と併せて、 本業である映画事業の強化、 とりわけ邦画製作の充実に取り組んで来たわけですが、 お陰様で今年に入り 「クイール」 「CASSHERN」 「ホテルビーナス」 など、 新生松竹としての邦画への取組みが一定の成果に繋がって来たと自負しております。
 映画事業成功の秘訣は、 人材でありチームワークであると考えております。 松竹でも社内外の多様な才能を結び付け相乗効果を引き出すことのできるプロデューサー人材の育成に取り組んでおります。 松竹には、 山田洋次監督作品や 「釣りバカ日誌」 シリーズを通じて邦画の持つ良き伝統を守り育ててきた自負があり、 今後とも大切にして行きたいと考えておりますが、 一方で従来の常識にとらわれない新しいジャンルにも果敢にチャレンジして行きたいと考えております。 そういった意味でも今までにないファミリー映画である 「クイール」 やデジタル技術を前面に押し出した 「CASSHERN」 のような、 従来の松竹にはなかった種類の作品を成功に結び付けられたことには大きな意味があると考えております。 もちろん、 これらの成功は松竹一社だけの努力で成し遂げられたものではなく、 より良い作品を作りたいというクリエイターの皆さまの創意と熱意、 そして出資パートナー各社の皆さまとの緊密な連携とが結実したものです。 今後とも皆さまと力を合せてより良い作品を作り続けていきたいと考える次第です。
 海外市場を視野に入れた企画・開発にも力を入れていきたいと考えております。 映画祭で賞レースに絡むことの出来る高品質の作品はもちろんですが、 アジアや欧米で通用するエンタテインメント作品のラインナップの充実も進めております。 折しも政府や経済界からの映像コンテンツ産業への期待も高まっておりますので、 この状況を好機と捉え邦画製作各社とも連携を深め我が社も一層努力しながら、 世界に通用する、 優れた作品の製作に力を入れていきたいと考えております。 今後とも従来以上のご支援を賜りたく、 宜しくお願い申し上げます。


角川映画 (株) 代表取締役社長   黒井 和男
   角川映画 (株) の社長を引き受けてほぼ二年になる。 ジャーナリストから映画会社へと移っただけのことで、 周囲があれこれいうほどのとまどいはなかった。 同じ映画の世界にいたと同時に、 ジャーナリストと映画プロデューサー、 コーディネーターという二足のわらじを二五年もはいていると、 単に職場が変わったくらいの意識でしかない。
 この二年の間、 映画業界は確実に変化のきざしをみせはじめている。 アメリカ映画に席巻されていた日本のマーケットもようやく日本映画が定着しだしてきた。 年間公開される日本映画が三○○本もあるのに、 ほとんどの作品は人の目にふれることもなく消える作品が多く、 これでは映画に目を向けろと言っても所詮負け犬の遠吠えでしかなくなってしまう。 話題性も含めて、 アメリカ映画と互して戦えるものでしか、 大衆は相手にしないのが現実だ。
 ゲーム、 アニメといった日本の得意な分野にも、 アメリカが力をいれだしてきた。 投入する資金が大きくなり、 スケールが大きくなりパワーアップした。 と同時にアメリカ人のナショナリズムはアメリカイズナンバーワンでなければ気がすまなくなっている。
 世界を席巻した映画にしても、 企画そのものが払底してきている。 「ラスト・サムライ」 までやると、 もうおしまいの感が否めなくなる。 その中でアメリカ映画並みにはいかなくても、 それなりに話題になる作品を作り続けることが角川映画に与えられた責務なのである。
 アイデア勝負の 「着信アリ」 でスタートしその後小規模作品の 「インストール」 や 「美しき夜、 残酷な朝」 を製作したが、 ちょっと大きくしようということで、 「着信あり2」 を手はじめに 「妖怪大戦争」 「戦国自衛隊・一五四九」 と一○億円規模の作品がいま製作中だ。 さらに 「ガメラ」 「大魔人」 を復活させる話もありアイデアをものにするのに時間がかかる。 「謀略軌道」 もやってみたいがJRが協力してくれるかどうかにかかっている。 いずれにしろM&Aの話ではなく、 話題作を作り続けるしか当社の生きる道はない。 エネルギッシュに前進あるのみである。
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