日本映画テレビプロデューサー協会報

No.400  2011年10月号

国際ドラマフェスティバル開催概要決まる!!

「国際ドラマフェスティバル in TOKYO 2011」


 3・11東日本大震災の年、開催することへの抵抗感をはねのけ、内向けにならず、あえて「平常通りの開催」にこぎつけた実行委員会、事務局の皆さんに、まずは感謝を申し上げたいと思います。といっても、経済界の落ち込み、総務省、経産省からの支援規模の縮小は、やはり今年の大会に大きな影響を与えているようです。9月24日から開催される「国際ドラマフェスティバルin TOKYO 2011」は、昨年まで行われていた、授賞式、パーティーは、明治記念館、作品上映会、シンポジウムは千代田放送会館、という二会場方式を改め、よりTIFFCOMと連携を強め、二日間とも会場を東京映画祭が行われる六本木ヒルズに移して行われます。海外バイヤーの利便性を考慮、映画もドラマも同一箇所でチェックできる実質性と、予算効率性を考えた大会ともいえるでしょう。大会での注目は、やはり、今年で第4回目となる「東京ドラマアウォード」。当協会員の投票(今年は138票)によって絞り込まれた候補作から、グランプリや、単発ドラマの作品賞、個人賞など多数の選賞が行われます。グランプリ候補作(連続ドラマ部門)は、協会が推薦した作品から33作品が、国際ドラマフェスティバルのホームページ上に掲載され、一般の投票なども加味された選考会によりグランプリが選出される仕組みです。ちなみに33作品は以下の通り。(順不同)JIN︱仁︱(TBS)、フリター、家を買う。(CX)、マルモのおきて(CX)、TAROの塔(NHK)、鈴木先生(EX)、セカンドバージン(NHK)、SPEC〜警視庁公安部公安第五課未詳事件特別対策係事件簿〜(TBS)、マークスの山(WOWOW)、モリのアサガオ(TX)、うぬぼれ刑事(TBS)、相棒Season9(EX)、マドンナ・ヴェルデ(NHK)、医龍Team Medical Dragon3(CX)、科捜研の女(EX)、坂の上の雲第2部(NHK)、GOLD(CX)、冬のサクラ(TBS)、四十九日のレシピ(NHK)、BOSS(2)(CX)、国税局査察官〜ナサケノ女(EX)、最上の名医(TX)、Q10(NTV)、10年先も君に恋して(NHK)、CO移植コーディネーター(WOWOW)、下流の宴(NHK)、ホタルノヒカリ(NTV)、水戸黄門第42部(TBS)、流れ星(CX)、秘密(EX)、黄金の豚︱会計検査庁 特別調査課︱(NTV)、おひさま(NHK)、江(NHK)、デカワンコ(NTV)。すでに数回の選考会が開かれ、10月中旬のプレス発表を待つばかりです。会員の皆さんの投票が、どう結果として現れるか注目です。
 初日24日は、その授賞式、記念パーティー。作品賞、個人賞受賞者や、海外ドラマの関係者も多数参加しますので、会員の皆様の積極的な参加を期待します。なお、招待状がなくとも、会員の皆さんであればどなたでも名刺をご提示のうえ、参加入場できます。ぜひご来場ください。2日目には、昨年までとは違い、TIFFCOMとの連携を強めた企画、海外バイヤーをターゲットとした各局の制作した日本作品のスクリーニングや、シンポジュウムが開かれ、まさに、世界に見せたい日本のドラマを、海外のバイヤーたちが実際にどう見て、どう評価するのか、それらを観察できる絶好の機会です。ぜひ足を運んでみたらいかがでしょうか。
 ご承知のように「国際ドラマフェスティバル」は、5年前、日本ブランドの海外展開のための発信イベントとして始められた「JAPAN国際コンテンツフェスティバル(コ・フェスタ)」=CoFestaと連動するオフィシャル企画です。東京ゲームショウから、東京発ファッションウィークやロボット大賞まで、テレビ、映画に関しては、24回を数える「東京国際映画祭=TIFF」があり、テレビでも、第38回「日本賞」教育コンテンツ国際コンクール、第28回ATP賞テレビグランプリがこの時期同時開催され、東京はこの秋、まさに海外から制作者、バイヤーたちが群れ集う、芸術一色に染まります。また、国際ドラマフェスティバルはもちろんの事、それら様々なイベントには、協会会員の皆さんがそれぞれの立場で参加しています。いつもの仕事を離れて、他者の仕事、仕事ぶりを新しい違った側面から見てみるのも参考になります。今年も、映画人は、テレビイベントへ、テレビ人は映画イベントへ、覗くだけでも結構です、是非積極的な参加を。今年も事務局からのお願いでした。

(事務局長 渡辺紘史)


『国際共同製作支援のスタートに当たって』

公益財団法人ユニジャパン  事務局長  西村  隆

公益財団法人ユニジャパン  事務局長  西村  隆  先ごろ開催された第68回ベネチア国際映画祭にて、映画『ヒミズ』(園子温監督)に出演した染谷将太、二階堂ふみのふたりの若い俳優さんがマルチェロ・マストロヤンニ賞を受賞し、元気な日本映画を世界にアピールしてくれた。日本映画の国際化支援をミッションとしている、ユニジャパンにとっても大変うれしいニュースだった。ユニジャパンでは、日本映画の国際化支援を3段階のステップで考えている。
 第1段階が、海外の映画祭や映画賞への出品である。まず何よりも日本映画の存在が世界の映画人やマスコミに認知されなければならない。第2段階が、映画祭での上映に止まらず、海外の一般劇場で日本映画が上映されることだ。日本映画のファンを世界に広げ、日本映画の海外市場を開拓する必要がある。そして、第3段階が、完成してから世界に映画を売りに行くのではなく、完成前の日本映画に海外から資金を導入することだ。そのための方法のひとつとして国際共同製作がある。
 国際共同製作とは、国境を越えて複数のプロデューサーが共同で映画を製作することだ。これは個々のプロデューサーにとってリスクの軽減になるだけでなく、単独の国内市場に止まらず、多様な海外市場への進出を可能にする。パトリス・ルコント監督の『仕立て屋の恋』のプロデューサー、フィリップ・カルカソンヌ氏は次のように言っている。
 「作品の完成前に私が製作に参加した場合、その作品は私の一部になるのです。出来上がってから作品を買ったときよりも、私は何十倍もの努力をかけて、この映画をきちんと自分の国の観客に伝えるように頑張ると思うのです。たとえ小さな作品であっても、それは私の作品なのですから。」
 日本映画は比較的大きな国内市場に守られてきたこともあり、アジアの中でも国際共同製作の経験が少ない。しかしながら、国内市場が飽和状態となった現在、海外市場の開拓は急務であり、日本人の生活が国際化している中で新しいドラマやストーリーの発見も国内に止まるものではないはずだ。
 日本映画は今、第3段階の入り口に立っている。そしてこの状況を進めるために、2011年度から文化庁、経済産業省、ユニジャパンの共同支援事業として「国際共同製作支援」がスタートした。文化庁は今年度、総額2億円の製作支援金の予算を用意し、支援作品の決定は、ユニジャパンが行う認定作業と文化庁が行う支援企画の選定作業の2段階に分けて行われる。認定作業はすでに終了し、26企画の申請の中から13企画が認定され、現在、文化庁の選定作業の真っ最中である。
 国際共同製作は世界的に、製作資金の公的援助と映画製作のための公的インフラに支えられている。公的資金を導入するためには、共同製作が自国の産業や文化振興につながることが必要だ。そのために、共同製作作品への自国国民や自国永住者の経済面での貢献と、芸術面・技術面での貢献を評価する認定作業が必要となる。また、国際共同製作に対するインセンティブを与えるための2国間、多国間の共同製作協定というインフラも必要だ。日本の場合、国際共同製作のためのインフラとなる共同製作協定を持たず、公的援助が先行した。まだ始まったばかりの支援事業だが、日本映画の国際化のための第一歩として期待したいと思っている。映画製作者の方々の積極的な参加や提言をいただけると幸いです。


只今撮影中

テレビ東京 ドラマ制作室 露木友規枝

テレビ東京 ドラマ制作室 露木友規枝

映画『モテキ』

 ドラマ「モテキ」がまさかの映画化ということになり→製作→出来上がり→只今、絶賛公開中! です。この原稿を書いているのは公開10日前ですので、皆様がお手にとる頃にはある程度の結果がでていると思います…(怖)。大ヒットなんておこがましくて望めませんが、「モテキ」とにかく頑張っていてくれ…と願うばかりです。
 ドラマ「モテキ」は、大根仁監督の企画がテレビ東京系金曜深夜のドラマ24枠で第20弾の特別企画として実現したものです。鬼才と呼ばれる大根監督の映像センス、選曲センスで放送開始直後から業界内ではたくさんのご好評を頂きましたが、正直、視聴率は苦戦しました。それでも局内の「モテキ」ファンを巻き込み、各部署と連携して地道なPRを続けた結果、最も盛り上がったのは放送終了後、昨年12月頃にDVDが発売されたタイミングだったように感じています。それは担当としては、ちょっと悔しい…結果でした。
 「モテキ」の映画化の話が持ち上がった際には、様々な懸念がありました。最近は、制作者の意図とは関係のないところで、〈ドラマの安易な映画化〉として捉えられやすい風潮があります…。「モテキ」のような深夜ドラマこその風合いのある作品には、より一層そうした懸念が付きまといます。しかし最終的には、原作者 久保ミツロウ先生、大根仁監督という、最もその点を敏感に捉えているお二人の熱意と覚悟によってこの映画化は決定しました。
 決定してからが大変な作業でしたが…。
『モテキ』  映画化決定の段階で、ある程度のベースはあったものの本格的な脚本作業が始まったのが2月末、撮影は4月下旬から、公開は9月中予定とのことでしたので、地震の影響もあり、とても時間のない作業となりました。途中でストーリーも大きく変更しました。「モテキ」の続編を作るためには、原作者の久保先生にネームの形で原作を描き下ろして頂き、大根監督がそれを脚本化していくという作業を同時並行で行う必要がありましたが、時には時間的な都合で脚本がネーム(原作)を追い越すという前代未聞の事態も…(笑)さらに、どんな作品も監督、脚本家、スタッフの機微と精神が注がれ、産み落とされるものですが、「モテキ」という作品にはより一層、スタッフの恋愛経験や恋愛観が色濃く反映されます。色濃く反映されるというと美しく聞こえますが、それは恥さらし、吐き出し、えぐり出すといったような感が非常に強く…、制作していて楽しいながらも、とてもイタい作品です。
 撮影の数日前に決定稿が上がりバタバタと4/30にクランクイン、撮影は優秀なスタッフの力で順調に進みました。大根監督は撮影中何度か、〝ドラマに負けているんじゃないか〟病に悩まされていたようですが、久保先生、大根監督、東宝の川村プロデューサー、スタッフすべての力で最終的には、「2時間の映画でモテキを描く」ことができたと思っています。そして今、映画「モテキ」がドラマ「モテキ」とはまた違った形で、世に広まっていてくれたら嬉しい限りです。今度はDVD発売タイミングではなく、公開のタイミングで、是非、広まっていてほしいです!

(C)2011 映画「モテキ」製作委員会


私の新人時代

株式会社日テレアックスオン  制作センター制作1部  坂下 哲也

株式会社日テレアックスオン  制作センター制作1部  坂下 哲也  私の映画デビューは今から約20年前、その舞台は松竹京都映画撮影所でした。当時所内では、「利休(勅使河原宏監督)」「浪人街(黒木和雄監督)」等の大作映画や、「必殺シリーズ」「鬼平犯科帳」等のレギュラー番組が撮影されており、そんな中私は、映画「四万十川(恩地日出夫監督)」に制作進行見習いとして参加させて頂く事になりました。まだ右の左もわからない状態に加え、初めての地方ロケでかなりテンパってしまい、美術部さんから「もう何もしなくていいから邪魔だけはするな!」と怒鳴られる毎日でした。それでも、恩地監督初め日本映画を代表する「活動屋」の皆さんと同じ空間にいられると言う事だけで常に興奮していたのを今でもはっきり覚えています。
 その中でも特に印象深いのは、今を時めく三池崇史監督のチーフ助監督としての勇姿です。現場の仕切りの凄さと圧倒的な存在感は衝撃的でしたが、更に驚愕したのは「現場後」。あんなに過酷な撮影の後に、寝る時間を惜しんで毎晩繰り広げられる狂喜乱舞は、素人の私にはあまりにもファンタジーでカルチャーショックでした。「やっぱり夢を売る商売をする人たちは自ら夢を見続けないといけないんだな…」とぼんやりながらも思い描いたのはこの時でした。
 そして翌日(と言っても数時間後)、私は酒が抜けず朦朧としながらお弁当を配っている傍ら、現場のド真中に立って大声で仕切っているその姿は「鉄人」にしか見えませんでした。そんな姿に憧れ「活動屋」を一生の仕事にしようと決めたのもこの時でした。
 そして現在、参加を切望し実現したNTV深夜ドラマ「QP(キューピー)」のプロデューサーをしております。あれから20年…満を持しての「三池組」です! 先日の顔合わせで三池監督と再会しご挨拶をさせて頂きましたが、私の事は記憶の片隅にも残っていなかったのは言うまでもありません(笑)。
 10月5日より日本テレビにて毎週水曜日24時59分〜放送開始(初回のみ25時29分スタート)です。御期待下さい!


2011年アクターズセミナーのお知らせ

 ここ数年、いやさらに長い間、言われ続けてきたことがある。「熱心にオーディションをやり、熱を込めたセミナーを実施し、受賞したアクターズの卵たちがあんなに喜んで、目を輝かしても、アクターズセミナー賞受賞者をなぜテレビや映画に使ってくれないのだ」
 しかし、去年、そして今年、こんな声も聞かれてくるようになった。「あの娘が、ドラマに出ていたよ」「マネージャーからお礼が来たよ」大きな変化だ。
 数年前から、セミナーの様子をDVDに落とし、みなさんに公開してきたこともある。しかし、ここ2年間、セミナーが、各放送局の審査員をあらかじめ予告し、局の現役花形演出家を講師として呼ぶようになって、変化が表れてきたのではないか。審査委員の若いプロデューサーと、若手現役演出家の指導、アドヴァイスに期待し、自分のパフォーマンスを観てもらいたい一心で参加してくる若いアクターズ、双方の熱気が化学変化を起こしたのである。
 双方の熱気は、現役から時間も距離も遠く離れてしまったロートルたちにも、甘酸っぱいノスタルジーと、それなりの興奮を呼び起こしてくれる。今後、そうした現場の熱気に加え、無名の役者の出世奇談でも生まれるとなれば、この催しは申し分がないことになるのだがーー。
 そうなるように(?)、みなさん、この会報同封のチラシをよく読んでいただき、今は無名だが、原石として光っているアクターズの卵たちを紹介して頂ければありがたいし、1日だけでも、現役、現場の興奮を味わいたいと、11月13日当日、会場のアトリエクマノまでお越しいただいても面白い、と思っています。

第51回 プロデューサー協会 ゴルフ会開催のお知らせ

皆様ふるって ご参加下さい

一般社団法人  日本映画テレビプロデューサー協会  親睦委員会   TEL(03)5338-1235


事務局だより

第56回「映画の日」永年勤続功労表彰

7月号でご案内しました12月1日の「映画の日」に行われる永年勤続功労章に会員の相澤徹氏が表彰されることになりました。

◎正会員入会

◎退会

インフォメーション

◎会議の記録と予定