フジテレビでドキュメンタリーを何本も制作してくださっていた是枝監督と映画でも是非ご一緒したいとずっと願っていてようやく実現できたのがこの作品でした。当初は是枝さんの作家性とフジテレビ的なるものと交わるところはなんだろうかとあれこれ模索しつつもなかなか答を見いだせずにいたのですが、福山雅治さんとの出会いで一気に企画が具体的になりました。
撮影から公開まで1年半かかり、ちょうどこの3月で公開から半年経ちましたが、国内宣伝の一方で、各国映画祭や配給への対応やリメイクの進捗等々海外マターも多く、てんやわんやの怒濤の日々、めくるめく出来事続き、映画といえどもひとつの作品でこれほど長期間、密に仕事が続くことも珍しいと思うほど、この作品の力は大きかったと改めて感じております。監督と一緒に何カ国かの観客の反応に直接触れる機会をもたせていただきましたが、どこに行っても「伝わっている」と『映画の力』を実感できたのは素晴らしい体験でしたし、思いがけないこのエランドール賞受賞も含め、映画に携わっている人間としてとても幸せな体験を沢山させていただき、監督には本当に感謝しております。
監督あってこその「そして父になる」ですが、今回の受賞にあたって監督からいただいたコメントにもあった通り、「キャストのアンサンブル、制作現場のスタッフワーク、公開までの宣伝展開のすべてがうまくいった、まことに稀有な作品」であったと思っております。この仕事、がんばってもうまくいかないことも多いのですが、今回は制作、宣伝、海外、営業ほか関係した全てのスタッフでがんばったその総合力を評価いただいたと受け止めており、たいへん嬉しく思っています。スタッフを代表して感謝申し上げます。ありがとうございました。
立派な賞を、とても華やかな場所で頂いたこと、私たち、少し気恥ずかしくもあり、しかしながらとても、とても嬉しく思ったことを、この場を借りて、御礼とともに申し上げます。
一九八九年に荒戸源次郎、原田芳雄両師匠の下で出会ってから二十五年、二人でこつこつと映画を作ってきましたが、「こつこつ」というこの「音」はなかなかやっかいなもので、時には「ズタズタ」であったり、「ボロボロ」であったり、「ブツブツ」で「ペコペコ」という風に、周りには違う音で聴こえていたようで、そういう「ボロボロ」になるまで我が身を追いこんで映画を創る仲間たちがなんとなく集まってくる、そんな豊かな時間を過ごせはしたのですが、格段、幸福であったわけではなかったのです。「映画に出会う」ことの恐ろしさは「幽霊を見てしまう」ことより厳しいと常々思っているのですが、そんなときに、「一人でなくて良かった」といつも思います。私たちはいつも二人でいることでずいぶん歯を食いしばれたのだと本当に思っています。
お互いいつまで健康でいられるか判らないけど、あともう少し頑張らなければいけませんね。奨励賞を頂いたことでそんな風に考えるようになりました。
「舟を編む」が終わり、また新作の撮影がはじまっています。もちろんまた怖ろしい思いをしているのですが、やっぱり「こつこつと」進めるしかありません。今日も、ものすごく歯をくいしばっています。
この度は、名誉ある賞をいただきまして、大変嬉しく思います。
「半沢直樹」は、池井戸潤さん原作の「オレたちバブル入行組」と「オレたち花のバブル組」の二つの原作をドラマ化したもので、このような素晴らしい原作と出会えたことに感謝しています。そのきっかけをくれたのは、演出の福澤克雄です。〝この本、面白いから読んでみてよ〟そう言ってこのタイトルを教えてもらいました。撮影の休憩時間、手に取ったこの本は、撮影をしていたことをすっかり忘れてしまいました。自分が半沢直樹になれるわけではありませんが、すっかり彼に感情移入してラストまで一気に読み切ったことを今でもよく覚えています。
そして、何といっても、この男くさい世界観を真っ向から演じ切っていただいた役者の皆さんに感謝します。香川照之さんに〝言葉を支配した〟と言わしめた堺雅人さん、そんな堺さんをあたたかく見守りながらも敵役を熱演していただいた香川さん、少ない出番にも関わらず難しい役を的確に演じていただいた上戸彩さん、北大路欣也さん、その他のたくさんの出演者の方々、毎回、撮影現場にいながら、どんなお芝居が観られるのかハラハラドキドキしていました。
素晴らしい音楽を作っていただいた服部隆之さん、黙々と書き続けてくれた脚本の八津弘幸さん、全てをまとめ上げた演出の福澤さん、そしてこのドラマを観ていただいたたくさんの方々、全ての方に感謝したいと思います。この感謝の気持ちを倍返しできるように、今後も励みます。本当にありがとうございました。
この度は栄誉ある賞をいただき本当にありがとうございます。
『リーガルハイ』は、日本ではなかなか成功しないと言われてきたコメディドラマというジャンルの作品です。しかも「高速回転三所攻め」に「ブサイク裁判」、「一妻多夫」に「ハダカ裁判」などなど、多くの方からお叱りを受けそうな内容の〝ド〟がつくコメディ。およそ賞というものとは無縁のものと思っておりましたので、受賞の報を聞いた時は大変驚きました。そして、何よりそのようなコメディドラマをご評価いただけたことに感謝の気持ちでいっぱいでした。志を同じくするプロデューサーの皆さんに選出されることは、われわれ作り手にとって最上の喜びであり誇りです。
この作品は、〝今まで見たことのない、まったく新しいドラマを作りたい〟という思いのもと、脚本の古沢良太さん、主演の堺雅人さんをはじめとするキャスト陣、石川監督をはじめとするスタッフ陣の有機的かつ奇跡的な協働によって生み出されました。各セクションで、誰もが創造的なアイディアを提案する姿勢はまさにプロフェッショナル。それが計り知れないパワーとなり、多くの皆さんの胸に深く突き刺さったと思います。今回の賞は、まさにその全キャスト、全スタッフの仕事に対して贈られたものだと思っております。
日本のドラマの可能性を信じ、毎日テレビを楽しみにしている視聴者の皆さんに少しでも多くの娯楽作品をお送りするため、今後も精進して参ります。
『ビター・ブラッド』
最悪で最強の、親子刑事が誕生!!!
雫井修介先生の原作「ビター・ブラッド」を新刊で読んだ時に、自分の中で衝撃が走りました。「親子が刑事で、さらにバディ」という、目からウロコな企画に何で今まで、気づかなかったのかと。映像化するなら、絶対、自分で実現したいと思っていた時に、原作の出版担当者が古くからの飲み仲間だったことが判明した時は、小躍りしました(笑)。あれから4年、その時の想いがやっと叶います。主役の夏輝役には、今もっとも輝いている若手俳優の佐藤健さん、そして犬猿の仲の親父役には渡部篤郎さん。等身大の主人公が父親や個性的な刑事課のメンバーに振り回されながらも成長していく新しいタイプの刑事ドラマです。「親子の絆」を軸に、笑いあり、泣きあり、恋愛ありのドラマです。
癖のある刑事課のメンバーとして、忽那汐里さん、吹越満さん、皆川猿時さん、KEIJI(EXILE)さん、そして個性的なメンバーを束ねる課長役に高橋克実さんという豪華メンバーが揃いました。脚本には、最新のヤングシナリオ大賞で、大賞と佳作を初めて同時受賞した期待の新星・小山正太さんを抜擢しました。そして、チーフ監督には金井紘を起用。小山さんのヤンシナ大賞受賞作「人生ごっこ」を監督したのも金井監督でした。連続ドラマをチーフで務めるのは初めてになる2人ですが、若いパワーで走り抜けてくれると思います。
現在、都内某所に警察署のオープンセットを建て、エンターテインメントに徹した刑事ドラマを絶賛、撮影中です。この刑事課、1月下旬から半年近く建てっぱなしに出来ているので、通常のセットより豪華に、ディテールにこだわって作られています。このドラマのデザインを担当するのは「踊る大捜査線」のデザイナーでもあった棈木先輩。主演の佐藤健さんも、プロデューサーの僕も「踊る大捜査線」の大ファンなので、ワクワクしています! 都内一等地にある銀座署という設定なので、ロケでは銀座エリアを中心に日々、駆け回っています。皆さんが馴染みの場所も出てくるかもしれません。
クランクインした1月の中旬には極寒だったロケも、だんだんと暖かくなり絶好のロケーション・シーズンがやって来ました。この季節、暖かく快適になるにつれ花粉に悩まされるキャストやスタッフも多いですが、とても雰囲気の良い現場なので、みんなで明るく進んで行こうと思います!
デコボコ親子による新しい刑事ドラマをご期待下さい!!!
新人時代はミスばかりしていました。思い返せば、常に誰かに怒られ「すみません」と謝る日々…。だから入社24年目ともなった私は、ミスしても謝らない人が嫌いです。でも誰かのミスを叱ると、「だって…」とか「あの時は…」とかすぐに言い訳されて、釈然としないことが多々あります。
私の新人時代を、私はかつてマンガ化したことがあります。その頃、あまりにもADに向いてないことを思い知った私は、マンガ家になってTBSを辞めようと密かに計画し、運良く雑誌に連載させてもらっていました。タイトルは『プロデューサーになりたい』。さらに調子に乗ってドラマ化もしてしまいました。自分がモデルのAD役は坂井真紀さんにお願いして。ストーリーは、「バブル時代を女子大生として生きてきた主人公が、テレビ局に入ってドラマのADとなり、辛くてきつい現場でも必死に食らいついて頑張る物語」です。劇中の坂井さんは、監督に、先輩ADに、通行人に、メイクさんに、役者さんに、何を言われても「すいません!」と頭を下げていました。「ああ、新人の頃ってこんなだったわねー」と感慨深くモニターを見ていると、古い付き合いの記録さんが近づいてきて、私に「でも磯山って、ぜんっぜん謝らなかったよね」と言い放ちました。え? そんなはずは…と怪訝な顔でその先を聞いていると、「ドラマ『パパとなっちゃん』の永福町ロケで、電車狙いの撮影があったでしょ? ずーっと離れた場所に行かされて、駅から発車したのが見えたらシーバーで連絡しろよ、と言われてたのに、最悪のタイミングで電車が来ちゃって、『いそやまーっ!!! 何見てんだよ!!!』って皆に激怒された時も、『だって…見てたもん』って言ってたの、すっごい覚えてるよー」と彼女は笑っていました。なんて恐ろしい! そんなセリフ、もはや言い訳ですらない! 私はミスを謝らないばかりか、「だって…」とか言う人間だったのです。もはや誰のことも叱ったりすまい。こんな最低の新人だった私も、まだ働かせてくれている、懐の深いこの世界に感謝します。
第38回通常会員総会を左記により開催予定です。また、総会終了後、恒例により懇親パーティー(18時開宴予定)を行います。賛助会員の方々もお誘いあわせの上、ぜひご参加下さい。
詳細は次号でお知らせ致します。
消費税増税に伴い当日本映画テレビプロデューサー協会員に適用されてきた映画館割引料金が変わります。
平成26年4月1日より、これまで1,000円であった割引料金は1,100円となります。