副会長 重村 一
(国際ドラマフェスティバルEP)
『世界に見せたいドラマがある』というキャッチフレーズでスタートして、国際ドラマフェスティバルも今年で8回目となる。
その歩みは決して思い通りのものではなかった。行政からの支援は政権が変わるたびに猫の目の如く変わり、あの手この手と知恵を巡らせながら、運営費を捻出し、毎年、なんとか開催にこぎつけることが出来た。それもこれも「ドラマ作り」への情熱を欠かさないプロデューサー協会をはじめ、関係者の皆さんの協力によるところが大きい。まずは会員の皆さんに感謝したい。
この8年、我々を取り巻くメディア環境は大きく変わった。
映画に関して言えば、フィルムで上映する映画館はほとんど姿を消し、フィルム撮影にこだわった木村大作監督の最近作「春を背負って」でさえ、フィルム上映の映画館を探すのは至難の業である。「ニューシネマパラダイス」の世界は遠い昔の話になってしまった。
一方、テレビの世界、特にドラマでは、リアルタイム視聴の時代からタイムシフト視聴の時代に変わろうとしている。また、かつてテレビにとって最大のライバルで危険な存在と恐れられていたインターネットは、いまやテレビを救う救世主となりつつある。アメリカではテレビの視聴時間はここへきて着実に増えつつある。CBSの調査によると、それはインターネットによるストリーミング視聴が増えているためだという。ネットワークがHULUやNETFLIXなどへ同時配信を行ない、視聴者はVODで自分に都合の良い時間に番組を楽しむ。DVR視聴と違い、この方法だと視聴者はCMを飛ばすことが出来ないため、スポンサーも歓迎しているという。勿論、ドラマがあらゆるジャンルの中で、主役の座にいることは言うまでもない。
欧米からアジアに至るまでどの国でも進んでいるこうしたメディア状況の変化の中で、コンテンツの良し悪しがビジネスの重要な決め手となり、その立場を強くしているのだ。
くわえて、今我々には「追い風」が吹いている。「クールジャパン」「ヴィジットジャパン」戦略の一環として政府がコンテンツの海外展開を積極的に推進しようと、その支援組織として「放送コンテンツ海外展開推進機構」(BEAJ)を設立、ある程度の政府予算をつけて、アジアを中心に放送枠を確保、日本のテレビ番組を流そうという政策を打ち出したからである。
早くから、出来る限り多くの世界の人々に、日本のドラマを見てもらいたいと「国際ドラマフェスティバル」をスタートさせ苦労してきた我々にとって、決して悪いことではないが、喜んでばかりもいられない。
私たちがこのイベントを進めてきたのは、あくまでも純粋に日本のドラマを国内だけに止まらせることなく、世界に通用する作品に引き上げて行こうというドラマ制作者の志に基づくものであり、結果として海外のクリエーターとの交流や切磋琢磨が進み、日本のドラマの質を向上させ、名実ともに世界に通用する作品が多く生まれる土壌を我が国に作り出していくことであったと思う。
その意味で、今回の国の施策は歓迎はするが、間違った形で取り込まれぬよう我々自身、心しなければならないと思う。
アジアの国々のドラマ制作能力は韓国、中国に限らずどの国も、相当の高水準に達しており、我々も謙虚な気持ちを持って、彼らから学ぶべきものは学ぶという姿勢をもって臨むべきで、商売一遍道の考えは慎まなければならないと考えている。
今年の東京ドラマアウォードは、東京国際映画祭(TIFF)及びTIFFCOMと連携し、TIFFのオープニング当日の10月23日、東京プリンスホテルで開催され、スカパーを通して国内及びインドネシア、タイなどアジア数か国に放送される。また、昨年実施したタイでのJ SERIES FESTIVALは今年も11月15日にバンコックで、またカンヌでのMIPCOM BUYERS’AWARDは10月14日に実施される。
今年もご協力お願いいたします。
アクターズ委員長
中嶋 等(松竹)
私事ながら、京都・太秦の撮影所へ、転勤を命じられた。今、京都人になっている。映像制作の要塞とも言える撮影所に身を投じ、慣れない職務に奮闘する日々である。未経験の仕事ばかりで、不安と焦りは募るばかりだが、それを解消してくれるのが、現場スタッフとの触れあいである。未熟者ゆえ分からないことは何でも聞く、直接質問する。対話する。厳しいなかにも優しさが感じられるプロフェッショナルな人々がすぐ傍にいる環境。ものづくりの現場︱撮影所の素晴らしさを肌で感じ、救われている今日この頃である。
前置きが長くなったが、何のことはない、直接対話の大事さを言いたかっただけである。
アクターズセミナーの最大の売りは、俳優たちがプロデューサーと直接対話できることである。自分を売り込むことよりも、映画やドラマのプロデューサーが俳優やキャスティングについてどんな意見をもっているか、どんな考え方をしているかを肌で感じとることである。そして自分はどうプロデューサーから見られたかをハッキリと認識することである。キャスティングのプロとの生身の対決である。
電脳の時代にあえてアナログなセミナーを行うことをお許し願いたい。審査員とオーディション参加者との直の交流に拘る意味は、本当に魅力ある俳優の発掘を目指すからである。
年に一度の当協会主催のイベント「アクターズセミナー」。今年も開催する運びとなったことをお知らせする。「審査員」、「出会いの広場」、協会員の例年通りの温かいご支援ご協力をお願いする次第である。
今年は11月に開催します。
詳細は次号でお知らせ致します。
ホームページが新しくなりました
皆さん、わが日本映画テレビプロデューサー協会のホームページが新しくなったのをご存知ですか。
以前のホームページを覗いたことのない方には、説明のしようもないのですが、以前覗いたことのある方も、そうでない方も、一度覗いてください。
はっきり言ってずいぶん変わりました。画面は明るく、しゃれた色調になり、見やすくなりました。例えばエランドール賞やアクターズセミナーなど、協会の事業内容、あるいは会報の内容、協会の歴史、過去の事跡についても、トップ画面から容易に検索できます。
今回のホームページの刷新は、会員同士の情報交換、交流をこれまで以上にできないかという理事会等での提言に応えるものです。ですから、ホームページが見やすくなったというのは、あくまでも第一段階。次には、ホームページの掲示板を通して、会員間の情報交換、意見交換ができるようになる、つまり、会員がホームページを使いこなすようになるという、第二段階が予定されています。
詳しいことは、今年度中に、会報や事務局からの案内で周知する予定ですが、とりあえず、皆様へのお願いは、折に触れて、あるいは会報が届いた時だけでも、ホームページを覗いていただくことです。みなさんよろしくお願いいたします。(事務局)
只今撮影中
日本テレビ 制作局
プロデューサー
森 雅弘
この一年余り、「ST」の事ばかり考えていました。2013年4月、今野敏さんの人気シリーズ「ST警視庁科学特捜班」を原作に、藤原竜也さん、岡田将生さんと云う人気実力ともに当代随一の若手俳優コンビを迎え二時間スペシャルドラマを放送することが出来ました。
「ST」とは科学特捜班の略称で、科捜研から優秀な分析官五人が集められ警察官と同様の捜査権を与えられた架空のチーム名です。STの面々は皆、天才的な能力を持っていながら何がしかの生き辛さを抱えており、藤原さん演じる赤城左門は天才捜査官でありながら、対人恐怖症で時に捜査に支障をきたすほど。そこにキャリアのエリートでありながら、少し弱気な若き警部・岡田さん演じる百合根友久が「キャップ」として赴任し彼らを統率します。そして二人を取巻く面々も、志田未来さん、渡部篤郎さんほか、理想通りのキャスティングとなりました。
撮影も短期間で厳しいスケジュールでしたが本当に楽しく、是非とも次に繋げたいと強く思いました。撮影中にも連続ドラマに繋がるネタが幾つも生まれ、百合根(岡田さん)は実は射撃の名手だとか、青山(志田さん)のあの髪型はきっとカツラだとか、撮影中にそんなバカ話をしては笑い転げる楽しい現場でした。そんなネタをやろうというのは、その時はただの「夢」でしたが、それが叶う日がやってきました。水曜22時枠での連続ドラマ化です。連続ドラマでは瀬戸朝香さん等、新キャストも迎えさらにパワーアップ、赤城と百合根の名コンビっぷりにも磨きがかかり、さらに多くの方に「ST」の世界を楽しんでいただけたと自負しています。
そもそもこの道のりは決して予め描かれていたものでは無く、様々な出会いと幸運が、そして何より現場のスタッフ・キャスト皆の「またやりたい」という強い思い、そして局内外でその情熱を実現させようと奔走していただいた皆様が連続ドラマ化、映画化の原動力だったと思います。日テレ初のプロジェクトとして連続ドラマと映画を連続して撮るべく我々現場は準備を続けていましたが、多くの方々の御尽力により、決定という報を耳にした時の安堵と喜びは忘れられません。
いつも思うことなのですが、私の業界人生は「タマタマ(偶々)」が連鎖して「マタマタ(又又)」となって転がってきたようなものなのですが、「ST」はその中でも最も幸運に恵まれたものになりました。そしてついにたどり着いた劇場映画化が、この作品に打ち込んでくれたキャストやスタッフ、熱心に見てくれたファンの皆さんへのプレゼントになればと願っています。
連続ドラマを楽しんでいただいた「STファン」の皆様はもちろん、テレビドラマは見てないという映画ファンの皆様にも楽しんでいただけるよう、全キャスト・スタッフ一丸となって撮影に邁進しています。映画「ST赤と白の捜査ファイル」は2015年1月10日(土)全国東宝系ロードショーです!
東宝株式会社
映画企画部映像製作室
石黒 裕亮
私の新人時代」と言っても、私にとってそれはまさに今のことです。入社して5年目、現在所属している映画企画部に配属されてからはまだ3年でしかありません。当然この文章を読まれている皆様とは比べようもないほど経験もなく、ようやく今年〝プロデューサー〟としての作品を受け持つことになったばかりの新人です。
入社して2年間の「社会人としての新人時代」は、総務部で業務をしていました。普段は机や椅子の管理など、社員の日常のお世話のようなことが主な業務だったのですが、総務でちょうど1年ほど過ごした頃やって来たのが「3・11」でした。前代未聞の出来事に、それまでとは比較にならないほどのスピードで仕事が進んでいき、突然の事態にも対処することが求められました。終わりが見えないような業務、寝る間も惜しんで仕事しなければ追いつかない業務量。今思えば、この時の経験が現在の仕事にも生かされているように思います。あくまで総務でのそれは短期間で終わりましたが、私の「プロデューサーとしての新人時代」への序幕だったようにも思います。
そして社会人3年目、現在の映画企画部に異動となりました。初めはまさに生みの苦しみ。自らの企画が通らなければ作品につくことがないシステムのため、ひたすら企画を考えるのみだったのですが、もちろん簡単にはいきません。ようやく自分の企画が動き出したのが映画企画部にきて2年目のことでした。映画、連ドラ、ビデオストレートと運良く成立していき、3年目の今年は「現場」をたくさん経験させていただきました。もちろん「新人プロデューサー」の私は、どの現場でも大変ご迷惑をおかけしてばかりだったのですが、先輩プロデューサーや現場の方々に温かくご指導いただきました。この場をお借りして厚く御礼申し上げます。
というわけで、今も私はまさに「新人時代」を駆け抜けている最中です。映画や連ドラのほかビデオストレート作品も担当するという、東宝の映画企画部としては異色の経験をさせていただいた今、その経験を活かして次なるステップに進んでいかなければという思いが今は一番強いです。そしてこの「新人時代」を抜け出したとき、改めてこのコーナーに戻って来られればと思います。
◎正会員入会
二宮 直彦(角川)
水上 繁雄(角川)
小林 良弘(日本映画衛星放送)
藤井 理子(日本映画衛星放送)
内田 ゆき(NEP)
勝田 夏子(NHK)
櫻井 賢(NHK)
三輪 祐見子(EX)
現王園 佳正(CX)
中村 理一郎(B・電通)
◦訃報
元松竹のプロデューサー澤村國男氏(功労グループ)は、6月19日に逝去されました。84歳でした。
ご生前のご功績を偲び、心からご冥福をお祈りいたします。
◦退会
逆井 智紀(日本映画衛星放送)
田中 芳之(EX)
関 卓也(CX)
町田 修一(B・電通)
秋元 昭吾(功労)
小林 由紀子(功労)
秋の親睦ゴルフ会を次により開催致します。
ぜひご参加下さい。
《日 時》平成26年11月7日(金)
競技方法 新ぺリア方式
8時30分集合
◎9時3分アウトスタート(5組)
《場 所》エーデルワイスゴルフクラブ
〒350-0455 埼玉県入間郡毛呂山町阿諏訪154番地
TEL049-294-9311(代)
関越自動車道・鶴ヶ島I.C.から約13㎞(約20分)
東武越生線・東毛呂駅発、
西武池袋線・飯能駅発、クラブバスあり
《会 費》約20,000円
(プレー費、パーティー費、賞品代含む)
《締 切》10月24日㈮ 事務局必着
※初めて参加される方は事務局までご連絡下さい。
一般社団法人
日本映画テレビプロデューサー協会
親睦委員会
電話/03-5338-1235
◎会議の記録
7月14日(月) 会報委員会(事務局)
7月16日(水) 第1回定例理事会(東映本社)
8月18日(月) 会報委員会(事務局)
◎会議の予定
9月2日(火) アクターズ委員会(事務局)
9月9日(火) エランドール賞委員会(事務局)
9月22日(月) 会報委員会(事務局)
9月24日(水) 第2回定例理事会(東映本社)