国際ドラマフェスティバル in TOKYO 2013
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昨年に引き続き、フェスティバルは、アウォードの授賞式とパーティーの、1日の開催である。
これまで、アウォードに付随、集中させた形で、海外展開(コンテンツの売り込み等)を行ってきたフェスティバル全体の事業は、昨年から、アウォードはアウォードとして単独で実施することにし、海外展開促進のための事業は、今年3月のタイで実施した「J Series Festival」のように各機関、各国との連携で、実質的に行うこととなった。この動きは、今年、新しい動きを得て、さらに加速するようだ。会報9月号の重村副会長の報告にあるように、この8月、総務省の支援で社団法人「放送コンテンツ海外展開促進機構」がNHK、民放連、各権利団体等が参加する形で設立された。オールジャパンで、日本のコンテンツを海外に発信してゆこうという強い動きである。「J Series Festival」を試み、アジア諸国の映画祭テレビ祭との連携を深め、MIPCOMやNTPE等国際見本市に参加し、独自の海外展開を図ってきた国際ドラマフェスティバルの活動も、今後は、オールジャパンの「放送コンテンツ海外展開促進機構」との幅広い連携のもとで、進められてゆく模様である。
ここのところ、このフェスティバルへの会員の皆さんの参加が少ないと思われます。
日本のドラマの海外展開に努力する多くの仲間たちの試みを知るためにも、日本のドラマ(地域発ドラマも含む)のトレンドを知るためにも、
会員各位の積極的出席を求めたいと思います。
当協会は1954年(59年前)「日本映画製作者協会」として設立され、人間なら間もなく還暦を迎えるという、長い歴史を持つ団体です。以来、常時555名規模の会員が在籍、世間的認知も高まり、芸術文化、放送文化に一定の役割を果たしてきたことは、会員の皆様もよく知るところでしょう。
会員数の減少と会員の高齢化
ところが、ここ数年来、会員数が減少し、500人、時にはそれを切る状況が続いています。顕著なのは、正会員と賛助会員の減少です。日本の景気動向もあるでしょうが、原因は映画、テレビドラマの制作構造の変化にあります。多メディア・デジタル時代が必然的に招来する、制作体制の多様化です。従来の映画会社、キー局中心の制作から、大げさに言えば、誰もがソフトを制作できる状況への変化です。従来の業界を超えて、新しい制作集団への会員勧奨がなければ、相対的に会員数は減少します。また、フィルム事業が離脱した映画産業の再編に対応がなければ、フィルム関連企業の賛助会員退会後の穴は埋められません。
もうひとつ、会員の高齢化も問題です。5年前(2008年)の正会員と功労会員の比率は100対35(会員総数555)に対し、今年6月では100対45(会員総数492)で、会員のほぼ半分近くが功労会員です。
ご承知のように正会員会費、3万6千円に対し、功労会員の会費は1万円、功労会員のうち、80歳以上の会員(現在59人)の会費は無料です。会員減少は勿論、会員の高齢化も協会経営に大きな影響を及ぼします。
協会財政の課題
因みに、5年前の協会会費収入は1825万円、昨年は1543万円です。およそ、300万円も減少しています。
基本的に会員数が減少したといって、事業規模が小さくなるわけではなく、事務経費の効率化(基本的には人件費の削減=3年前から実施済み、今年度から、事務局家賃の半減や、人件費の一層の削減)を極限まで実施しても、効果は限られたもので、やはり、会員の増員増強がどうしても必要です。
組織強化・事業開発委員会
一昨年の一般社団法人移行を契機に、協会は、会長自らを委員長とする「組織強化・事業開発委員会」を立ち上げ、新規会員募集パンフレット等を作成、これまで未開拓の業界内企業向け中心に、会長以下理事によるトップセールスを始めています。そうした効果は次第に現れ、会員減少には、一定の歯止めがかかり、現在では、会員500人台を確保している状況です。
協会の新しい試み=准会員制度の導入とクローズドSNSの検討
こうした状況を受け、今年から新しい試みを始めました。6月の総会で承認された准会員制度の導入です。定款を修正し、40歳未満の新会員を、正会員の資格のまま、入会金、会費を半分として、準会員とするという制度で、すでに9月末現在で、7名が入会しています。狙いは、協会の若返りだけでなく、新しい血の導入です。従来の業界を超えた、新しい分野の創造者が参加することで、組織が強化されることが狙いです。
さらに7月の理事会で、若い会員にとって、魅力ある協会とは何かが議論され、インターネットを通じた会員同士の情報交換や共有、そして研鑽の場としての社内SNS導入が検討されました。その実現に向け、8月、仮「チャタープロジェクト」が作られ、金子玄理事を委員長として、若いプロデューサーたちが議論を始めました。今後、何回か理事会にその考え方を答申し、実現に向け動き出します。
毎回の議論に付き合って感じたことは、ベテラン会員たちに対して持つ、大きな期待感。長年の実績、業績をもたらしたノウハウを盗みたいという、若い人の焦りにも似た野望といってもいいかもしれません。こうした若い人の願いに答えることが出来るか、それがチャターの導入の鍵になりそうです。
問題は若い会員を増やすことだけではない、ベテラン会員自身の問題として、新しい試みについて考えて頂きたい、それがこの協会自身の組織と体質の強化に繋がると見るからです。
(事務局長 渡辺紘史)
木曜ミステリー「科捜研の女」
今年もまた猛暑の京都でドラマ『科捜研の女』がクランクインした。2月末まで長期間の撮影が続く。『相棒』より1年早い平成11年に放送が始まった『科捜研の女』は、現在放送されているテレビ朝日の連続ドラマの中で最長寿番組となった。誤解されている方も多いのだが、アメリカの人気ドラマ『CSI』より1年早いスタートであり、「科学捜査ドラマ」の本家と自負している。
それまで時代劇を放送していた木曜20時の現代劇化として新たに企画された【木曜ミステリー】は、『京都迷宮案内』『おみやさん』『京都地検の女』等の長寿シリーズを育ててきたが、中でも『科捜研の女』はこれまで13シリーズ計119話に達する歴史を刻んできた。
同僚からは「それだけの話数に達すれば、ネタ枯れになるのでは」と危惧されるが、幸い科学の進歩によって「3D顔画像識別」「歩容認証」などの新技術が開発されていくので、今のところは本作りに支障を来たしていない。
沢口靖子さん演じる京都府警科学捜査研究所の榊マリコが、事件現場に残された様々な微細証拠類を分析、科学捜査で犯人を追いつめていく『科捜研の女』は、それまで刑事主役・男性主役が多かったミステリードラマの中で異彩を放ち、次第に注目されて視聴率も上昇していった。〝科学"をテーマにしながら、やむにやまれぬ事情で事件を起こしてしまった加害者、不運にも事件に巻き込まれてしまった被害者たちの奥底にある〝弱さ"〝せつなさ"を提示し、それを見つめる科捜研メンバーの心情を丁寧に描くことを心掛けてきた。〝科学"を仕事とする科捜研メンバーが、実は誰よりも情にもろくて人間的であるという、一見矛盾するような設定が『科捜研の女』の特色となっている。
この特色を視聴者の皆さんに気に入っていただけたようで、おかげさまで13シリーズを数える長寿番組になれたのだが、年月を重ねて番組の知名度が上がると共に、様々な方々からご相談を受けるようになった。最初のご相談は女子中学生・高校生からの「どうしたら〝科捜研の女"になれるんですか?」という就職相談的問い合わせ。できるだけ返事を出すことにしているが、「数学が苦手なのですが」と書いてあると返答に窮してしまう。また知り合いの記者さんからは「3歳になる息子が、俺の顔に全然似ていないのだけれど、DNA鑑定所を紹介してほしい」という大変深刻なご相談をいただき、これも返答に窮してしまった。
最近の悩みは情報解禁日を守るのが困難なこと。京都の観光地で白衣を着た沢口靖子さんの現場検証シーンを撮影していると、それだけで「科捜研の女ですか?」と見物の方に尋ねられてしまう。情報解禁日以前なので口が固く正直者の我々スタッフは「まあ、そんなところです」と作り笑顔で答えるのが精一杯の毎日なのである。10月スタートの『科捜研の女』、是非ご覧ください。
「浅見光彦との旅」
野茂英雄がドジャースで初勝利を上げた1995年6月2日、私はロサンゼルスに友人がいた関係で幸運にもドジャースタジアムでその快投を目撃した。その四日後、6月6日ノモTシャツにブルーのドジャースのキャップを被って上気して帰国した私はその足で会社に行きロサンゼルスに行く前に会社に置いておいたスーツに着替え、帝国ホテルに向かった。フジテレビの金曜の2時間の枠で新たに始まる浅見光彦シリーズの原作者・内田康夫先生との初めての打ち合わせである。スポーツ好きな内田先生も野茂の快挙を嬉しそうに語っていた。さすがに見て来て今日帰国しましたとは言えず、新しく始まる浅見光彦シリーズにドジャースタジアムでロサンゼルスの乾いた空気を颯爽と貫いた野茂の快投をオーバーラップして秘かに興奮していた。
第一作「伊香保殺人事件」から浅見光彦シリーズは始まった。以後、ルポライターの浅見光彦が日本各地を旅して事件に巻き込まれ見事に解決して行く事になる。浅見光彦が日本中で名推理を繰り広げる姿に私は初勝利後、全米各地のスタジアムでトルネード旋風を巻き起こしオールスターゲームの先発を果たす野茂英雄に重ね合わせていた。
恐山、沖縄・斎場御嶽、熊野古道、天河神社、軍艦島、浅見の旅にいつも日本のよさを再発見させられた。2011年3月11日以降、初めて手掛けたのが岩手の花巻を舞台にした花粉症抑止米を巡る連続殺人事件「悪魔の種子」だった。花巻は内陸部で津波の被害は無かったが、風評被害による観光客の激減が深刻でぜひ浅見光彦に来て欲しいというお話をいただき九月に撮影で花巻に入った。震災に負けない花巻の美しい田園風景を旅する浅見光彦が少しでも復興支援となれればとの思いで撮影に臨んだ。「悪魔の種子」は十一月に放送になりフジテレビの二時間枠の年間第二位の16・2%の高視聴率を獲得した。
浅見光彦との旅が私をプロデューサーとして成長させてくれたと感謝している。最新作「貴賓室の怪人」で五十作目を迎える。豪華客船・飛鳥Ⅱの船内で殺人事件に巻き込まれる浅見光彦。ロシア・ウラジオストクでのシリーズ初の海外ロケ。五十作目にして新たな浅見光彦の旅が始まる。
秋の親睦ゴルフ会を次により開催致します。ぜひご参加下さい。
※初めて参加される方は事務局までご連絡下さい。
一般社団法人 日本映画テレビプロデューサー協会 親睦委員会 電話/03-5338-1235
詳細は次号でお知らせ致します。