映画を志して良かった。映画をあきらめなくて良かった。そして、これからも映画を追い求めて行こう、先日の授賞式の会場で痛感した想いです。改めまして、素晴らしい賞をいただきましたこと御礼申し上げます。
原作の映画化権にアクセスし始めたのは、二〇一〇年の夏でした。私自身に長女が産まれるタイミングで読んだことも手伝ってか、親から子へ、子から孫へ、といった世代を超えて語り継ぐ物語に非常に共感したことを憶えています。
今年で戦後七〇年を迎えます。人ひとりの一生分ほどの時が経過したことになります。太平洋戦争を題材とした企画を取り扱うことに対するプレッシャーもありましたが、それ以上に物語同様、あの当時を知らない世代が自分たちで紐解いていく、時代が違うと線を引くのではなく、同じ人間として向き合うべきタイミングに来ているのだと考えながら映画作りに取り組みました。
「健太郎が見上げた空は、宮部久蔵が見上げていた空と同じ空だった。」企画コンペから始まり、シナリオ作り、撮影、仕上げ、封切りに向けての宣伝に至るまで常に心にあったひとつのテーマです。今回は、山崎監督をはじめとするスタッフ、岡田准一さんをはじめとする俳優部、製作委員会の各社様、主題歌を提供してくれたサザンオールスターズ、配給宣伝チームと、この作品をきっかけに集まった全ての人達が其々に企画に対する溢れんばかりの想いをもって取り組んだからこそ、其々が並々ならぬ苦労をもって取り組んだからこそ、素晴らしい結果を残すことが出来たのだと思っています。
この作品に一人のプロデューサーとして参加できたことを誇りに思うのと同時に、そのことに恥じぬよう帯を締め直してこれからも精進して参ります。この度は本当に有難うございました。
数年前、デビューしたての新人であった某作家の小説を原作とした映画を製作していた。その作家の方を撮影現場にお呼びして見学していただき、昼食をご一緒した時のことである。その方に質問された。
「映画の人は、何でオリジナルで作品を創らないんですか?」
それは何の邪気も無い、いたって真っすぐで素朴な質問であった。映像に関わっている人間にとって結構深いところをぐさりとやられた。分かってはいるし、そうありたいと思いながらも、色々なことに目をつむって流している日常。
私は質問にはっきりと答えずに、ぐだぐだっとお茶を濁してしまったが、その言葉は心の中に留まり、何よりもその質問をされた方の澄んだ目が忘れられない。
「超高速! 参勤交代」は城戸賞入選脚本から、かなり大きな改訂を加えた。秋田Pの粘り強い直し、本木監督の的確な方向付け、そして現場からの声も加えて、オリジナル脚本をさらなるオリジナルへと練り上げていった。
〝映画はチーム力なり〟。色々なところで言われていることではあるが、この作品はまさに「チーム力」が生み出したものであると思う。時代劇を知りつくしたスタッフたちが、基本を押さえながらも普段はやらないことへも挑戦してくれた。そのおかげで、少しは新しい世界を創ることが出来たのではないかとも思う。
今や売れっ子作家になられたあの方は、私に質問したことも覚えていないだろうし、この作品を観てくれたかどうかもわからないが、いつか、あの目に向き合いきちんと前向きな話をしたい、本気で。
私にとって特別な思いのある「花子とアン」という作品で、すばらしい賞を受賞することができ、とてもうれしく思っています。ありがとうございました。プロデューサーにとって、放送を多くの方に見ていただくことが第一の願いだとすると、放送終了後も多くの方の記憶に残るドラマとなることが第二の願いです。ですから放送が終わって半年近くたった今、このような形で評価していただけたことは幸せなことだと思います。以前、先輩のプロデューサーから、「朝ドラのプロデューサーは、それまで生きてきた人生の全てを出しつくさないとできない」ということばを聞いたことがあります。「花子とアン」の制作に携わった日々を振り返ると、まさにその通りだったと思います。本当に全てを出しつくしたという実感があります。
「花子とアン」のヒロイン・村岡花子は、翻訳という仕事を通して、日本中の読者に「物語」を送り届けた人です。花子は、「物語」が人を勇気づけたり、幸せにしたりすることができると信じていた人なのだと思います。そして私も、そんな花子のドラマを作るからには、花子のように、「物語」の力を信じたい、と思いました。その思いが、撮影と脚本作りと仕上げに追われる苦しい日々、私を支えてくれました。そして「花子とアン」という物語が日本中の朝のお茶の間に届き、視聴者の皆さんに何かしらの力を届けることができたなら、これ以上の幸せはありません。「花子とアン」は、吉高由里子さんをはじめとする全てのキャスト、原案の作者で花子の孫・村岡恵理さん、脚本の中園ミホさん、音楽の梶浦由記さん、主題歌「にじいろ」を歌った絢香さん、語りの美輪明宏さん、そして全てのスタッフのベスト・パフォーマンスの結晶だと思っています。皆さんに心から感謝しています。
この度は、たいへん栄誉ある賞をいただき、大変嬉しく思います。
これも主演の北大路欣也さんをはじめ、スタッフ・キャストが一丸となって作り上げた成果だと思います。スタッフ、キャスト皆さんの努力の賜物であり、皆さんがいただいた名誉であり、それをプロデューサーが代表していただいたと解釈しています。本当にありがとうございます。
このドラマは、有川浩さんの人気原作「三匹のおっさん」シリーズを映像化したものです。どこか昭和の懐かしさ、ほっこり感を残しながらも、現在という時代に、ご町内の人たちが抱える諸問題を、還暦を迎えたかつての悪ガキ三人組が「三匹のおっさん」として痛快に悪を成敗し、解決していく物語です。
幅広い視聴者の皆さんから好評をいただき、続編希望の声を多数いただきました。
この4月に「三匹のおっさん」がパワーアップして帰ってきます。今回の受賞を励みにして、真摯にドラマ制作に臨み、お子さんからご年配の方まで、家族そろって安心して楽しんでいただけるドラマを目指します。本当にありがとうございました。
『医師たちの恋愛事情』
このドラマを始める際に、チーフPからコンセプトを聞いた。
チーフP「池田、斎藤工さんで、〝医療〟と〝恋愛〟の融合をやるから宜しく‼」
…ビビビ!!!と来ました。
2015年4月期木10は面白いことになる!絶対に面白いドラマを作ってみせる‼と。
まず、私がビビビ!!!!!と来たポイントを説明させていただきます。
ビビビ!!! ポイント①
「斎藤工さん」
社会現象を巻き起こした、昨年の『昼顔~平日午後3時の恋人たち~』の出演で、視聴者の心をつかみ、今、最も勢いのある俳優として注目を集めている斎藤さんが、満を持して再び木曜の夜に登場する! ビビビ!!!
ビビビ!!! ポイント②
〝医療〟と〝恋愛〟の融合
「白い巨塔」や「医龍」などフジテレビが得意とする「医療ドラマ」、そして木曜22時のドラマがお送りしている「大人の恋愛」、この2つの融合。
舞台はとある大学病院の人間の欲望うごめく外科の医局。出世争い・三角関係・不倫・略奪愛……仕事と愛欲の間で葛藤し、ぶつかりあう大人の恋愛ドラマ! ビビビ!!!
ビビビ!!! ポイント③
「魅力的な俳優陣」
ヒロインに石田ゆり子さん。大人の色気を持つ、相武紗季さん!
主人公のライバル役に、平山浩行さん! 色気を放つ、伊原剛志さん! 主人公の春樹と対立する役に、生瀬勝久さん! そのほか、三宅弘城さん、板谷由夏さんなど実力派俳優が周りを固めます! 斎藤工さんとのコラボレーションを想像すると…ビビビ!!!
この3つのビビビ!!!ポイントを如何に魅力的に「具現化」すべきかを考える日々が始まった。
具現化ポイント①
~チーフ監督は誰か?~
ここは、一択であった。それは、田中亮監督である。
田中監督の主な経歴として、「医龍4」チーフ監督、「ラストシンデレラ」チーフ監督…これ以上の理由はありません。
具現化ポイント②
~脚本家は誰か?~
今回は3人の脚本家さんに入っていただくことにした。
1人目。「流れ星」を書かれた、秋山竜平さん。
2人目。ジブリ映画「かぐや姫の物語」を書かれた、坂口理子さん。
3人目。「ビターブラッド」を書かれた、小山正太さん。
この3人のいいところを全て注ぎ込んだ脚本を作ろう! と本打ちがスタートしました。
具現化ポイント③
~メインとなるロケ地~
医療ドラマの数だけ、メイン舞台になる病院の数がある。この「医師たちの恋愛事情」を行うに当たり、「見たことあるな~」な病院は避けたいと話しておりました。ロケ地を探してくる制作部が、まずは、23区内、次は、都内、そして、都近くの県…徐々に選択の幅を広めていき、監督がこだわりにこだわった結果、素晴らしい病院が見つかりました。日々ロケバスは渋谷から2時間半かけてロケに向かいます!
この3つの具現化ポイントを踏みまして、「只今撮影中」です!
今年の4月は、斎藤工さんが世の女性を釘付けにします。
「医師たちの恋愛事情」どうぞ、お楽しみに‼
入局5年目に京都局からドラマ番組部に異動となり、最初についたドラマが2000年の大河ドラマ「葵~徳川三代」でした。そこで命じられたのが「馬担」、馬専門の助監督です。テレビの現場では馴染みがないかもしれませんが、多くの馬を使う大河ドラマでは、だいたい若手がこの「馬担」に任命されます。とくに「葵」は、初めてハイビジョンで放送する大河ということで、空前のスケールで撮影に臨みました。のべ1000頭を超える馬を使っています。
ドラマのこともよく分かってない上に、馬のことなんてもっと分からない。早朝に厩舎を出発し、ひたすら馬と一緒に駆けずり回って、深夜に厩舎に戻り、乗馬クラブの強面のスタッフ達と反省会(飲み会)という毎日。とにかくクタクタだったはずなのに、今思うと楽しかった気がするから不思議です。
なかでも忘れられないのは、朝霧高原での関ヶ原の合戦シーン。約80頭を収容できる仮設厩舎も完成し、いよいよ明日から撮影という時、強力な台風が直撃しました。ベニヤ板で作った厩舎の屋根は目の前で吹き飛び、水位もどんどん上昇。とにかく厩舎を守らねば…。全身びしょ濡れになりながら、深夜まで土嚢を作り続けました。
翌朝、奇跡のように雨は止みましたが、現場に向かった私は目を疑いました。昨日まであったはずの広大な草原が、湖に変わっていたのです。厩舎も完全に水没。仮設トイレがプカプカ浮かび、カモの親子が気持ちよさそうに泳いでいます。ロケは後日に延期。そこで撮影された迫力ある映像は、今でも歴史番組などでよく使われますが、その映像を見るたびにプカプカ浮かぶ仮設トイレを思い出します。
4年前にプロデューサーになりました。さすがに土嚢を作ることもなくなりましたが、仕事の本質はそんなに変わってないように思います。いつの日か、楽しい思い出として「今」を振り返ることができるよう、挑戦を続けたいと思っています。
《日時》 平成27年4月17日(金曜)
《場所》 越生ゴルフクラブ
《会費》 20,000円(プレー費、パーティー費、賞品代含む)
《締切》 3月27日(金)事務局必着
※初めて参加される方は事務局までご連絡下さい。
一般社団法人 日本映画テレビプロデューサー協会
親睦委員会 電話/03-5338-1235
第39回通常会員総会を下記により開催予定です。
また、総会終了後、恒例により懇親パーティー(18時開宴予定)を行います。
賛助会員の方々もお誘いあわせの上、ぜひご参加下さい。
詳細は次号でお知らせ致します。
日時/2015年6月23日(火)
17時総会開会予定
18時懇親パーティー開宴予定
会場/NHK青山荘
(港区南青山5-2-20)
電話/03-3400-3111
パーティー会費/3,000円
◦訃報
ご報告が遅くなりましたが、元TBSのディレクター、プロデューサーの高橋一郎氏(功労グループ)は、平成24年3月に逝去されたとの連絡をご家族から頂きました。ご生前のご功績を偲び、心からご冥福をお祈りいたします。