放送90年を迎える2015年。NHKでは放送90年ドラマの第1弾として、紅白歌合戦誕生秘話をドラマ化した。NHK内の資料や当時を知る人々の取材をもとに、4Kドラマとして「紅白が生まれた日」を制作、3月21日に放送した。そのスタッフである制作統括・三鬼一希(NHKチーフ・プロデューサー)、演出・堀切園健太郎(NHKチーフ・ディレクター)のふたりに4Kドラマの魅力と課題、そして今後の可能性を聞いてみた。
〇「紅白が生まれた日」は、戦後、GHQの監視下において新しい音楽番組を作り上げたひとりのディレクターの物語。4Kドラマで制作したのはなぜ?
(三鬼)もともと放送90年で「紅白」をドラマ化する企画があった。昨年、正月時代劇「桜ほうさら」(2014年1月1日放送)、土曜ドラマ「55歳からのハローライフ」(全5回・2014年6月~7月放送)と、NHKでは2作品の4Kドラマが制作されたが、2015年の放送計画の中には、4Kドラマ制作の予定がなかった。ならば、4Kドラマを放送90年ドラマで制作すべきと考え、調整に入った。
〇4KドラマNHK3作目となる「紅白が生まれた日」前2作との違い、こだわったところは?
(三鬼)前2作は、簡単に言えば、ハイビジョンと4Kで作った2本を4Kで塗り絵をする方式、今回の「紅白~」は4Kで作ったものをダウンコンバートしてハイビジョン(2K)になじませる方式で行った。この方式は今回が初。
(堀切園)映像もその方がクオリティーが高く、無駄がないように感じた。また、CGの合成については「桜ほうさら」は2D中心のMAD画合成、「55歳~」についてはほとんど合成をしないように、現場でマイク消しも後でしないように収録していた。今回は、戦後という時代物でもあり、ちゃんとしたCG合成を作りこんでやっていこうと考えた。局内リソースで賄いきれない状況があったため、CGについては「白組」さん、ポスプロについては「SONY」さんと一緒にやることになった。
(三鬼)4K収録をベースに制作に臨むと、実際にはお金や時間のかけかたはあるが、テレビドラマのスキームで、劇場の大画面にかけられる、映画に匹敵するクオリティーが可能になってくる。2016年4K試験放送、2018年4KBS本放送、2020年8K試験放送開始の間に何度も放送に耐えうる作品を目指し、今回は4Kクオリティーにこだわったドラマ作りに挑んだ。
〇4Kドラマの魅力はズバリ何!
(堀切園)高画質、高精細とよく言われるが、僕が一番魅力を感じたのは「色」。今までのハイビジョンと違い、4Kは色の深みをとことん追求できる面白さがある。
(三鬼)同じ考えだが、「この時代のこの色を見てくれ!」という監督の狙いが表現できるというところが、2Kに比べて4Kは素晴らしい。画質が綺麗だから4Kというよりは、手間やお金はかかるが、これから先、残していくソフトとして作り手の個性が2Kよりは4Kの方がしっかりと残していける。監督の表現力が引き出す「匂うような色」は4Kの最大の魅力であり醍醐味。
〇実際の4Kの制作現場の状況は?
(堀切園)通常のハイビジョン撮影のドラマと比べて1.3倍程度の収録時間を見込んでスケジュールを立てた。カメラの感度調整や、レンズの選択など、時間がまだかかるが、我々も経験を積んで短縮していけると思う。よく言われる照明の光量については、初期の4K撮影の時、スタジオの電源が落ちたこともあったそうだが、今はカメラの感度も良くなり、通常のハイビジョンドラマとさほど変わらない光量で撮影できる。問題は、4Kが高精細のため、ノイズが結構目立ってしまうこと。メーカーの推奨感度よりひとつ落としたりしながら、ノイズ調整を行った。薄暗い場所、ナイトシーンなどは、細心の注意が必要。それから、撮影において、重要なのはフォーカスマン。いい人材が少なく、取りあいになっている。4K、8Kと必要不可欠な人材であり、今後の養成が急がれる。
〇演出的な面で4Kはどうか?
(堀切園)4Kは高精細ということで、広い画の中でも、俳優さんの小さな表情も伝わる可能性が大きくなった。今まで視聴者に伝わらなかった俳優さんの息遣いが伝わるように、演出としてこだわっていけることは大きな魅力。あと、実景で、ビルとか格子とかシャープな線があるものは、そのディテールというか表情がすごくよく出る特徴があり、そこも是非見て欲しい。
〇今後の予定は…
(三鬼)放送90年「紅白が生まれた日」は2Kでの放送は3月に終ったが、4K版の放送については、まだ確定されていない。しかし、2016年からのBS試験放送では放送されると思う。
〇最後に一言…
(三鬼)放送90年で4Kドラマに携われた。次は放送100年で8Kドラマにこのコンビで挑みたいですね(笑)。
(堀切園)若手の志の高い演出家に、是非4Kを体験してもらいたい。そして、その次の8Kにつなげてもらいたいですね。いろんな可能性が広がっていると思います。
取材担当・山本敏彦(会報委員・NHK)
連続テレビ小説『まれ』
連続テレビ小説92作目になる「まれ」は、石川県能登地方と横浜市を舞台にした現代劇です。ドラマの構想がスタートしたのは、一昨年の夏でした。脚本の篠﨑絵里子さんと今回の朝ドラの大枠を打ち合わせする中で「故郷が最初からあるんじゃなくて、故郷を見つけるドラマはどうか」というアイディアがありました。篠崎さんが以前書かれた半自叙伝的な小説があるのですが、これが大阪から横浜に夜逃げした家族が新たな土地でたくましく生きていく話でとても面白く、これを朝ドラのスパンでヒロイン家族のドラマとして描いてみたいと思ったのがベースになっています。そしてもう一つ、「夢に向かって進む」朝ドラヒロイン像ではなく、「地道にコツコツ」がモットーで夢嫌い、というヒロインが生まれ、「希=まれ」というヒロインの名前が決まりました。
題材を決めた後、ドラマ作りという観点から、脚本家とチーフ演出と北陸を訪れました。2泊3日で石川県をぐるっと回る強行スケジュールの中で能登と金沢、加賀を取材したのですが、能登の皆さんのお話がとにかく面白く感じました。取材は一度に止まらず、季節ごとに通って3回4回5回となり、結局100人以上の方にお話を聞きました。輪島塗の塗師屋さん、塩田で塩を作る職人さん、千枚田のコメ作り農家の方、平家の子孫の方など昔から何百年もその土地を守ってきた方もいれば、洋菓子店、コーヒーの焙煎所、パン屋のおかみさんなど、都会から能登に新しく移り住んできた方も沢山いました。どの方も当たり前ではありますが、人生にドラマがあり、自分の仕事に誇りを持っていました。そしてその手仕事から生み出された味や物は、まさにオンリーワンの魅力がありました。
今回のドラマでチームが大切にしているのは、この「手作り感」です。土屋太鳳さん作詞のオープニングテーマ曲やタイトルバック映像しかり、番組ポスターしかり。キャスティングも朝ドラ初出演の方が多く、遊び心を交えてチームで制作しています。
主人公を演じる土屋太鳳さんは、まさに希そのもの。朝ドラの長く厳しい日々の撮影に「地道にコツコツ」取り組んでいて、共演者やスタッフ皆に愛されています。そしてパティシエを目指すヒロイン・希を筆頭に、ドラマの登場人物達には、実際に能登で生きている方々のまなざしや息吹が随所に込められています。毎朝15分、自分の故郷にちょっと里帰りするつもりで、この「まれ」をご覧いただければ幸いです。
いま最も活躍しているクリエイターをお招きして、若い協会員やこれから協会に入って欲しい若いプロデューサーたちと自由に語り合い、創作の刺激を与えあう「第9回プロデューサーズ・カフェ」を実施しました。今回は「メガヒット映画の創り方」と題して映画「永遠の0」を作った、上田太地・東宝エグゼクティブプロデューサー、筒井竜平(株)ミューズ プロデューサー、守屋圭一郎(株)ボット プロデューサーの3人が講師です。3月6日(金)9時から20時30分までNHKエンタープライズの第1会議室で開催して35人の参加者で盛り上がりました。講師の皆さんは今年のエランドール賞の映画部門プロデューサー賞の受賞者、さらに直前に映画「永遠の0」が第38回日本アカデミー賞最優秀作品賞に選ばれてまさにタイムリーな企画となりました。
「永遠の0」は興行収入87億円で邦画ベストワンに輝き、洋画ベストワンの「アナと雪の女王」と共にメガヒットをとばしました。話は3人のプロデューサーが「企画」「制作」「広報展開」とすみ分けて上手くチームワークがとれたこと、ヒットの兆しは原作の売上が爆発的に伸びてきたことで確信したこと、CG主体だが零戦を1機作って、自然光のなかでの撮影にこだわってリアル感を出したことなど現場ならではの裏話で盛り上がりました。さらに現在のシネコン中心の配給システムで社会現象化することでメガヒットが生まれる、しかし勝ち負けがはっきりして均一化してしまい上映作品の豊かさが守れるか、映画人口1.6億人で興行収入2千億円突破したものの高齢化が進み若者が来ない、映画とテレビ局の勝利の方程式を脅かすネットの進出、といった課題にまで話は及びました。
第58回大会は平成27年4月17日(金)越生ゴルフクラブで16名が参加して行われ、次のような結果となりました。
順 位 | 氏 名 | アウト | イン | G | H | N |
---|---|---|---|---|---|---|
優 勝 | 財津一郎 | 41 | 39 | 80 | 7.2 | 72.8 |
準優勝 | 玉川 静 | 42 | 46 | 88 | 14.4 | 73.6 |
第3位 | 黒井和男 | 46 | 48 | 94 | 20.4 | 73.6 |
第39回通常会員総会を下記により開催致します。
正会員の方はご出席下さい。
欠席される場合は総会成立のため、必ず委任状をご送付下さい。
(委任は出席理事氏名をご記入願います。)
また、総会終了後、恒例により懇親パーティー(18時開宴予定)を行います。
パーティーでは新功労会員の方への表彰も行う予定です。
懇親パーティーには賛助会員の方々もお誘いあわせの上、ぜひご参加下さい。
日時/2015年6月23日(火)
17時総会開会予定
18時懇親パーティー開宴予定
会場/NHK青山荘
(港区南青山5-2-20)
電話/03-3400-3111
パーティー会費/3,000円