「世界に見せたいドラマがある」のコンセプトのもと、「国際ドラマフェスティバル」を立ち上げて9年になります。2013年には、海外で直接、紹介する「J-SERIES、ドラマフェスティバル」をタイでスタートさせました。今年6月にはインドネシアでも開催し、バンコックでは3回目のイベントも予定されています。
ところで、皆さんは「古川雄輝」というタレントを知ってらっしゃいますか。
ジャカルタでSNSを使い「来てほしい日本のタレント」の調査を行なったときダントツで1位になった俳優です。関係者の多くは、彼を知らず「だれ? どんな番組に出ているの?」と混乱しました。調べると、中国をはじめ東南アジアのどこの国でも人気があり、彼の出演した「イタズラなkiss」は大ヒットしていることが分かりました。この作品は地上波ではなくCSチャンネルで放送されたものです。その後、中国のネット配信会社にセールスされて爆発的な人気を呼び、更に東南アジアへとその輪が広がっていったのです。
日本でほとんど知られていない番組が、アジアで熱烈なファンを生み出していた。
この事は、大きな問題提起をしています。メディア環境の大きな変化で視聴者は、既存のメディアだけでコンテンツを探しているのではないのです。自分たちを納得させる、楽しませるコンテンツを様々なメディアを駆使して求めているのです。
「国際ドラマフェスティバル」をスタートさせるに当たり、我々制作者は番組の中身で勝負したい、一過性の「視聴率万能主義」に振り回されるのは、どこかで打ち止めにしたい。良い作品は国境を越えて視聴者の支持を得ることが出来るはずだ。そういう思いで、まず海外に目を向けたわけです。これからの時代は技術の進歩で主役のメディアが次々、交代するでしょう。しかし、いかなるメディアでも魅力的なコンテンツがなければ、生き延びられません。
この夏のテレビドラマはプライムタイムで10%を超えている番組はわずかです。しかし、ドラマが見られていないかというと決してそうではありません。ネットの見逃し配信、DVDのタイムシフト視聴をカウントすれば、以前と大きな数字の変化はありません。リアルタイムで視聴するという慣習は既に過去のものになったというべきでしょう。民放開始以来の広告収入中心のビジネスモデルの崩壊が如実に表れてきたと認めざるを得ないでしょう。しかし、企業の在り方とは別に、面白いコンテンツ、質の高い番組を求める社会のニーズは変わることはありません。
まず、「作品ありき」と考えるべきでしょう。タイムシフトや見逃し配信で見ようという強い欲求を視聴者が持つ作品を作り出す能力が我々制作者に求められています。9年前、「国際ドラマフェスティバル」を創設した時の我が国のドラマ、その将来への危機感は不運にも当たりつつあるようです。そんな時代が来ても生き残るためには、国内だけにいつまでも目を向けるのではなく、広い視野をもった海外でも通用する制作者になるべきだというものでした。この考えはメディア環境の変化にも対応するものです。
今年も、この考えのもとに、「国際ドラマフェスティバル」が10月21日、22日開催されます。ぜひご参加ください
今年も11月8日に「アクターズセミナー」の開催が決まりました。6年前にアクターズセミナー賞を受賞してご活躍中の小野ゆり子さんと、彼女を抜擢されたフジテレビの清水プロデューサーに寄稿をしていただきました。
私が初めて小野ゆり子さんに会ったのは、2012年の秋、確か『最高の離婚』の衣裳合わせだったと思います。
その時に感じたのは小野さんから漂う〝存在感〟。ドラマ初出演だと聞いていましたが、全くそんなことを感じさせない佇まいだったことを覚えています。
なので、その後「役を演じる」という点でも、画面に映ったその存在感は初めて会ったときに感じたものと変わりがありませんでした。
その後、フジテレビが金曜20時にドラマ枠を新設することになり、とにかく「新しい方に主役をやってもらいたい」ということでキャスティングを始めました。
『天誅』という、現代劇でありながら時代劇。主役は女忍者の役だったのですが、真っ先に浮かんだ名前が小野ゆり子さん。もちろん初主演をお願いしました。
難しい役柄でありながら、それを全うしてくれた、小野さん。
その素晴らしさは、ただ演じたというだけでなく、あの大女優・泉ピン子さんを相手に演じ切ってくれたということ。
ただでさえ〝初主演〟というプレッシャー、さらに彼女への期待や要望など様々あったかと思います。
それを乗り越え、そして泉ピン子さんからも好かれ、認められる存在。小野さんは、そんな誰もが認める〝存在感〟をもっているのだと思います。
あれから早3年。ますます活躍の場を広げ、名女優への階段をどんどん上っていっていると思います。今後の活躍が楽しみですし、もうそんな言葉さえもいらないのかも知れません(笑)。
アクターズセミナー賞を頂いたのは6年前です。お芝居を始めたばかりで何もわからない私は気力と根性で取り組んでいた気がします。
セミナーの内容には、3分間で自由に表現する自己PRがありました。何をしたらいいのか全くわからず実写版があるならやりたい! と思っていた「千と千尋の神隠し」の1シーンを演じることにしました。周りの人たちからは、「え? 大丈夫? まあ千尋好きだもんね~。難しそ~」と自信を失う言葉しか言われませんでしたが、演じるからには絶対受賞したかったのでとことん千尋の研究をして挑みました。
受賞が決まった時はホッとしたし、嬉しかったです。その時は無意識でしたが、周囲の反応を意識して慎重になると何も生まれないなと今は感じます。
怖いもの知らずで、自分の欲と初志を貫くことの大切さは忘れずにいたいなと思います。
それを最初に学んだのは、受賞以降全く仕事が決まらないモヤモヤ期が続いていたときに決まった野田地図の舞台でした。稽古でどんなことでも試しては変えたりして、毎日挑戦し続けている先輩方を見たときは衝撃でした。その光景は今でも忘れられませんし、それから私もその姿勢は意識しています。
エランドール賞の会場で、アクターズセミナー受賞者の紹介でステージに立った時、今度は絶対に成長した自分でここに立てるように頑張ろうと強く思いました。
金曜ドラマ 『表参道高校合唱部!』
7/17(金)にスタートした「表参道高校合唱部!」も、すでに6話までの放送が終わり、残すところあと4話となりました。毎話、オンエアに追われるギリギリの状況ではありますが、それを楽しむ熱量を、若くてパワーに満ち溢れたキャストたちから日々受け取り、明るく元気に絶好調に〝青春〟(撮影)は進行しています!
2015年夏、合唱を題材にした王道の青春ドラマを、日本中に届けたい! その熱い思いで産声を上げた本作品。〝歌の力で奇跡を起こす!〟この大テーマを掲げて、台本作り~撮影~ポスプロに至るまで、丁寧な物作りを心掛けています。そして、本作品には目玉となる、2つの大きな見所があります。
①毎話、ポップスや既存の合唱曲に番組オリジナルアレンジを施し、キャスト本人たちの歌声で披露される合唱
②将来のドラマ界を担うネクストジェネレーションをヒロイン始め、メインキャストに抜擢
この2つの見所を具現化するために、4月~5月にかけて1000人超の大規模なオーディションを敢行。選ばれた合唱部員たちは出演決定後、さっそく合唱練習を始めました。合唱指導の先生による温かくも厳しい指導の下、本当の合唱部さながら筋トレや発声などの基礎トレーニングから、音取りやパート練習とスキルを磨くべくクランクインまでの1ヵ月、毎日のようにトレーニングに励みました(もちろん、クランクイン後も、撮影の合間や撮休時に特訓してますっ!)。リハーサル室から漏れ聞こえる歌声が徐々にハーモニーを奏でる上達ぶりには本当に驚かされました。まさに『表参道高校合唱部!』誕生の瞬間だったと思います。さらに、実際の高校の合唱部をキャストと共に見学・取材させて頂き、生の練習や空気感を肌で感じ、歌だけでなく合唱部としてのあり方も学ばせて頂きました。
その甲斐もあって、初回放送終了後から「合唱部員の歌声に感動しました!」「涙なしでは見られません!」と視聴者の方々から有難いお言葉を頂き、2話以降も期待に応える歌声を! と、さらに気を引き締めて「只今撮影中」です。これまで、JUDY AND MARY「Over Drive」、岡本真夜「TOMORROW」、THE BLUE HEARTS「TRAIN-TRAIN」と往年の名曲を合唱にし、反響を呼んできました。さらに、合唱曲として定番の、赤い鳥「翼をください」、坂本九「心の瞳」をストーリーや登場人物の心情とリンクさせることで、思いが視聴者の心にダイレクトに届いていると信じています。
連続ドラマ初(?)の合唱をテーマにした「表参道高校合唱部!」と将来のドラマ界を背負って立つであろう新進気鋭なキャストによる〝挑戦〟。この〝挑戦〟の行く末を最後までご覧いただければ、嬉しく思います。
「私の新人時代」というお題を頂き、ふと思い出した素晴らしいコピーがありました。
〝40歳は二度目のハタチ〟
全日空やサントリーなど数々の名コピーで一世を風靡された真木準さんが書かれた伊勢丹の企業広告です。
20歳の夏に、ホイチョイプロダクションズの〝草野球助っ人・一試合八千円〟という聞きなれない職種でこの業界にもぐり込み、情報番組・バラエティ番組のADを経て、映画「メッセンジャー」の制作進行として来る日も来る日も地図を書き続けた新人時代でした。ロケ隊のバス・トラックの停め方一つにも、その後の撮影効率を考えた停め方がある……ということすら知らず、何気なく赤灯を振り続けるだけの本当にダメな新人だったと、今振り返るとただただ反省とお詫びの気持ちでいっぱいです。
その後御縁があり、東海テレビに入社し、昼ドラを15年弱プロデュースさせて頂きました。ドラマ作りの基礎、脚本作りのイロハは全て帯ドラマで学んだ……といっても過言ではない日々を過ごし、そして40歳になる今、新たな御縁を頂き、テレビ朝日へと転職いたしました。ハタチの夏から二十年。まさしく〝二度目のハタチ〟として、まっさらな気持ちで、甚だオールドルーキーではございますが、二度目の新人時代を過ごしています。未だ電話が鳴るとどう取ればよいかドキドキし、会議室の予約に失敗し、会社の中で迷子になる、ダメな二度目の新人でございますが……。
テレビが大好きで、テレビを作る諸先輩方に憧れて、この世界に入って20年ー。少しでもこの素敵な世界にご恩返し出来ます様、「やっぱりテレビは面白い」と感じて頂けるようなドラマ作りに邁進して参ります。三度目のハタチの時には、胸を張って〝テレビ屋〟だと言える大人になっていますように……。
秋の親睦ゴルフ会を次により開催致します。ぜひご参加下さい。
《日時》 平成27年11月6日(金)
《場所》 越生ゴルフクラブ
《会費》 20,000円(プレー費、パーティー費、賞品代含む)
《締切》 10月23日(金)事務局必着
※初めて参加される方は事務局までご連絡下さい。
一般社団法人 日本映画テレビプロデューサー協会
親睦委員会 電話/03-5338-1235