昨年から今年に掛けて、にわかに「動画配信」という言葉がメディアで盛んに扱われるようになってきました。プロデューサー協会員の方々にとっても、そしてエンタテインメント業界にとっても、今後更に重要さを増してくることは間違いありませんが、ここでは、動画配信の現状についてお話ししたいと思います。
まずは基礎知識から。一口に動画配信と言いますが、大きく2つに分かれます。それは「有料配信」と「無料配信」です。この場合の有料・無料とは視聴者(利用者)がお金を払うかどうか、ということを意味します。「有料配信」とは課金制のサイトでの配信のことですが、これには更に都度課金(TVOD)と定額課金(SVOD)の2つがあり、アメリカから進出してきたHuluやNetflixはSVODの大手サービスになります。それに対し「無料配信」は、料金は発生しませんが、代わりにコンテンツの前後や途中に広告(CM)が挿入されます。Youtubeや、昨年在京民放5社によって立ち上げられたTVerなどがこれにあたります。
言うまでもなく、動画配信において重要なのは〝コンテンツの強さ〟です。特に各SVODサービスは、契約者獲得のため品揃えだけでなく、強いコンテンツを独占することが重要課題となります。その代表例として語られるのがNetflix『ハウスオブカード』でしょう。製作総指揮デヴィット・フィンチャー、主演ケヴィン・スペイシー。一話数億円と言われる制作費でエミー賞やGグローブ賞等まで受賞しました。同社は日本進出においてもフジテレビと人気番組『テラスハウス』の続編をオリジナル製作し、地上波より数週間の先行配信を行い、『アンダーウェアー』(主演 桐谷美玲)というオリジナルドラマも製作しました。Huluも日本テレビ地上波の連続ドラマの続編をオリジナルで製作・配信しています。Amazonも本国では以前よりプライム会員用のサービスとしてSVODが存在していましたが、日本でも昨年9月から本国同様プライム会員用にSVODサービスがスタートしました。恐らく、元々相当数の会員を抱えているというアドバンテージもあり、オリジナルドラマ制作の計画もあるようで、今後の動きが注目されています。協会の中にも、今後こういったところで作品を発表されるプロデューサーの方々が増えることでしょう。
次に無料配信についてですが、2年ほど前から民放各社は地上波番組の無料見逃し配信サービスを始め、現在は広告付き無料配信へと移行し、昨年10月には共同で民放公式テレビポータル「TVer」をスタートさせました。TVerは目標を上回るペースで普及しており、現在アプリダウンロード数は200万を超えています。(現在私も、かかわっているのですが)この無料見逃し配信は、
(1) リアルタイム視聴への回帰
(2) 違法動画対策・撲滅
(3) あらたな広告市場の創出
以上の3つを大きな目的として掲げています。
(1)は、テレビ離れの進む若者を中心に、まずは番組に触れてもらう機会を増やすことで回帰を促そうというものですが、アンケート調査の結果などでは効果も出てきています。番組別では連続ドラマの再生数が多く、途中からでもストーリーにキャッチアップしてもらう役目も果たしていくものだと期待されています。
(2)についてですが、Youtube等国内のサイトのみならず、海外を経由したサイトでの視聴など、一説にはテレビドラマだけで数十億円以上の被害額と算出されるとの話もあり、被害の深刻さと共に対策も急がれる問題です。放送局による正規の直後無料配信によって、利用者が違法サイトに流れるのを防ぎたい考えです。
(3)については、アメリカ等の例から日本の動画広告市場は今後大きな伸びが予測されており、将来の放送局のビジネスの可能性を探るためにも、重要なトライアルだと考えられています。
また、TVer以外にも、現在、様々な無料配信サービスが誕生し、多種多様な番組(コンテンツ)が製作され始めています。広告付きの配信の中でも様々なビジネスモデルがあると思われます。
以上、制作者の活動・作品発表の場を守るため、そして新たな場を創るために、有料・無料共に動画配信は今後重要な分野となっていくことでしょう。そしてそれは、制作者のみならず、実演家や脚本家(原作者)などの権利を守るためにも同じことがいえます。しかし一方で、同分野は急速に成長し変化しているため権利処理やいろいろなシステムの構築、整備が急がれるということも、また事実です。
今後は、放送局のみならず、権利者・関係者が動画配信を正しく理解し、そして連携・協力しながら、成長させていかなければなりません。
話題のヒットメーカーと交流するプロデューサーズ・カフェ。
今回のゲストはエランドール賞 映画部門・プロデューサー賞を受賞された那須田淳さんです。メガヒットをとばした映画「ビリギャル」の制作の秘密に迫ります。
講演(プレゼンテーション)+質疑応答
株式会社TBSテレビ事業局 映画・アニメ事業部 部長
那須田 淳 さん
【日時】
2016年6月10日(金)19時~21時
【場所】
映像産業振興機構(VIPO)
中央区築地4-1-1 東劇2Fホール
※参加ご希望の方は協会事務局までご連絡お願いします。
プロデューサーズ・カフェ委員会
連続テレビ小説『とと姉ちゃん』
昨年11月からクランクインした「とと姉ちゃん」。放送はやっとひと月弱終えたところですが、撮影は現在7月放送分あたり…。「戦前編」の大地さんや秋野さんが去り、先月くらいから、「戦後編」の唐沢寿明さん、伊藤敦史さん、及川光博さん、山口智充さんたちが合流。深川から都心に舞台を移し、高畑さん、木村さんたちをはじめとする小橋家の皆さんも、新たなキャストたちとの撮影に新鮮な気持ちで臨んでいます。物語は、昭和17年、深川を離れた小橋家が、目黒へ居を移し、やがて太平洋戦争と東京大空襲にまきこまれながら、戦後、出版社を立ち上げるまでの「とと姉ちゃん」26週の中でも心臓部といえるパートの撮影真っただ中です。
5月1週、1週と、連続テレビ小説の収録スタジオ105に建っているのは、なんと昭和21年の闇市。広いセット全面に、縁日のように戦後の市場が出現しました。プロデューサーの私は当初、オープンセットでのロケも提案しましたが、演出の大原君は天候などに左右されないスタジオ撮影を希望。予算のことも考えてくれたのか、結局スタジオに闇市を作ることになりました。一昔前なら、ロケにいきたいのは監督、スタジオを勧めるのはプロデューサーというのが定番でしたが、いまやあべこべです。それには深い理由があります。「龍馬伝」あたりから、NHKの照明部は、スタジオの中に、「空」を作り出すノウハウを合成班とともに確立したのでした。この5年の間に、そのノウハウは更に進化し、当初大河ドラマだけだった「スタジオ内での空」が今や連続テレビ小説でも普通にできるようになりました。ロケほど広大な絵はつくれませんが、おかげでオープンセットさながらの映像を、スタジオ撮影で限られた時間の中、天候に左右されず撮ることができるようになったのです。
私がADをやっていた18年前は、連続テレビ小説といえば、コの字型のセットを渡り歩き、セットに天井がなく、あおった絵は絶対撮れないという制約があった時代でした。時代は変わったもので、今やあおりの絵も、天井付きで奥行きのあるセットも自由自在に時間内で撮れてしまいます。ハードの進化はソフトの進化と密接に連動している良い例です。
高畑さん、木村さん、唐沢さん、向井さん、伊藤くん、105スタに突如現れた戦後の東京で、存分に、楽しそうに、役を演じてもらっています。常子がタイピストになり、そして紆余曲折の末、出版社につとめることになり、戦争をのりきり、会社を立ち上げる。5月末放送の8週くらいから「とと姉ちゃん」どんどんダイナミックに物語が動いていきます。どうぞ、御期待下さい!
初めて制作進行として担当した2時間ドラマ。石川県輪島での地方ロケ。劇用車の白パトを運転して現場まで行くのですが、現場に行くだけで必死なペーパードライバーだった私は、隣に乗っているベテラン美術デザイナーに「もっと早く走れ!」とあおられ、先輩制作部の書いた江戸時代の宝地図のような地図を見ながら現場へ向かう毎日。
あまりの慌ただしさに何をしていいのかわからず、右往左往しながら赤灯を持って朝から晩まで走り回っていました。
撮影が終わり「やっと休める」とホテルの私たちの部屋に戻ると、そこでは小宴会が行われており、ベテラン照明部に「最後に部屋の電気を消すのがおまえの仕事だ!」と言われ、大きな衝撃をうけました。断る権利は新人の私にはありません。
そして休む間もなくすぐに朝がやって来るのです…。
そんな状態で2週間が過ぎ、あっという間に3年が過ぎていったわけですが、今振り返ってみると、あの頃あれだけ〝仕事漬け〟になったことが良い経験になったと思っています。
その後の長い仕事人生で少々のことがあっても、へこたれなくなっていました。
もし、最初に甘い環境を経験していたら、その後きつい環境に変わったときに耐えられなかったのでは、と思います。
今回「私の新人時代」を書くにあたって、昔を思い出している間に、忘れてしまっている様々なことを思い出し、私はその場その場で得がたい経験を積ませてもらっていると実感しました。
現在担当している「沈まぬ太陽」制作現場にも何人かの新人がいます。彼らの仕事人生のためにも、とりあえず3年くらいはどっぷりと仕事に浸かって頑張ってもらいたいと思っています。
第60回大会は平成28年4月1日(金曜)越生ゴルフクラブで16名が参加して行われ、次のような結果となりました。
順 位 | 氏 名 | アウト | イン | G | H | N |
---|---|---|---|---|---|---|
優 勝 | 山田良明 | 42 | 51 | 93 | 20.4 | 72.6 |
準優勝 | 黒井和男 | 44 | 44 | 88 | 12.0 | 76.0 |
第3位 | 玉川 静 | 45 | 44 | 89 | 12.0 | 77.0 |
第40回通常会員総会を下記により開催致します。
正会員の方はご出席下さい。
欠席される場合は総会成立のため、必ず委任状をご送付下さい。
(委任は出席理事氏名をご記入願います。)
また、総会終了後、恒例により懇親パーティー(18時開宴予定)を行います。
パーティーでは新功労会員の方への表彰も行う予定です。
懇親パーティーには賛助会員の方々もお誘いあわせの上、ぜひご参加下さい。
日時/2016年6月21日(火)
17時総会開会予定
18時懇親パーティー開宴予定
会場/NHK青山荘
(港区南青山5-2-20)
電話/03-3400-3111
パーティー会費/3,000円