今年も2月2日(木)エランドール賞授賞式が行われました。
幹事社をTV局各社が交代で務めるようになって6年。一巡りして再びNHKが幹事社を務めました。MCは弊社の三輪秀香アナ。各社の皆さまが改善を積み重ねてきた進行台本を引継ぎ、今年もスムーズに授賞式を運営することができました。
特筆すべきは、一般入場者が多かったこと。開場前から受付には長蛇の列ができ、最終的には一般入場者は160名と、これまでの新記録。早くから会場内は熱気で溢れました。
まずは当協会の木田会長、文化庁文化部芸術文化課の木村直樹様のご挨拶、そして日本映画放送の杉田成道社長のご発声で乾杯と進み、続いてプロデューサー賞の授賞式です。
映画部門プロデューサー賞は「シン・ゴジラ」で東宝の山内章弘さんが受賞され、お祝いに樋口真嗣監督と尾上克郎准監督が駆けつけました(あれほど文字通り『駆けつけ』た方は初めてではないでしょうか)。奨励賞は「君の名は。」でコミックス・ウェーブ・フィルムの川口典孝さんが受賞されました。
テレビドラマ部門プロデューサー賞は「真田丸」でNHK屋敷陽太郎さんと吉川邦夫さん。お祝いには脚本家の三谷幸喜さんが来て下さり、期待通りの楽しいスピーチで会場も盛り上がりました。奨励賞は「地味にスゴイ!校閲ガール・河野悦子」で日本テレビ小田玲奈さんが受賞されました。
続いては特別賞。今年はTBS「逃げるは恥だが役に立つ」制作チームに送られました。チームを代表し那須田淳さん、峠田浩さん、宮崎真佐子さんが登壇。そしてお祝いのゲストには主題歌「恋」が流れる中、主演の新垣結衣さんと星野源さんが二人揃って登場。会場は一気にヒートアップしました。
アクターズセミナー受賞者の紹介では、加茂井彩音さん、永瀬匡さん、野村麻純さん、永田隼人さんが登壇(池田純矢さんは欠席)。それぞれ思いのたけを挨拶に込めました。セミナー賞の皆さんには、授賞式の舞台上でもマイクアレンジや福引など様々なお手伝いをいただきました。改めてありがとうございました。
そしていよいよ新人賞授賞式。
坂口健太郎さん、高畑充希さん、ディーン・フジオカさん、波瑠さん、星野源さん、広瀬すずさんという豪華なラインナップに会場も大いに沸きました。トップバッターの坂口さんは「日本の役者を引っ張って行けるような存在になりたい」と今後の活躍を誓い、高畑さんは「去年は撮影現場からエランドール賞授賞式へ向かう有村さんを見送った。あれから嵐のような1年だった」と話しました。黄色い声援に笑顔で答えたディーンさんは「これからも新人の気持ちでチャレンジしたい」。「主役からほど遠いところにいた私がこんなまぶしい場所に」と喜びを語った波瑠さん。星野さんは「演劇と音楽をずっと続けてきて、同時に報われた1年」と感謝を述べ、そして広瀬さんは「もうすぐ学生生活も終わる」と今後の活動へ新たな決意を語りました。それぞれ個性豊かな6人のスピーチに、会場も惜しみなく温かい拍手を送りました。
また新人賞のお祝いにも豪華なゲストが揃いました。坂口さんにはNHK落合将Pが脚本の西田征史さんの手紙を朗読。高畑さんには「とと姉ちゃん」で共演の唐沢寿明さんが駆けつけ「君に花束を渡せるのは僕しかいない」とがっちりハグ。ディーンさんのゲストは「あさが来た」で共演の野々すみ花さん。波瑠さんには「あさが来た」脚本の大森美香さんが来て下さり、それぞれ温かいお祝いの言葉をいただきました。星野さんには新垣結衣さんとTBS那須田さんが再登壇。広瀬さんのお祝いで来て下さった「ちはやふる」の小泉監督は「間違いなく大女優になる」と太鼓判を押しました。
フォトセッションで受賞者6名が並ぶと、その顔ぶれの豪華さに改めて感動しました。例年より報道陣の数も多かったそうですが、それも受賞者への期待の表れではないかと思いました。
おかげさまで大過なく式を進行できましたが、協会事務局とエランドール委員の皆さまの多大なるご協力のおかげと痛感しております。事前準備をしっかりして下さった事務局の皆さま、受賞者やゲストのアテンドをして下さった担当各社の皆さま、舞台転換や照明音響などミスなく進行して下さった会場スタッフの皆さま。そして何より、会場に駆けつけて式を盛り上げて下さった協会員の皆さまに深く感謝いたします。
特別ドラマ『破獄』
吉村昭の不朽の名作「破獄」を脚本・池端俊策さん、監督・深川栄洋さんで32年振りにドラマ化する。「監獄の守り神」と呼ばれる完全無欠の看守と史上稀にみる脱獄囚との手に汗握る闘いを描く。なぜ今このドラマなのか。全てが不確かで曖昧な時代に「確固たる信念を持つことの大切さ」を伝えたかった。そして年間3万人近い自殺者がいるこの現代日本で「生き抜くことの大切さ」を訴えたかった。ドラマのキーワードは3つある。
1つ目は「ビートたけし」。たけしさんは「既存のスケールを超えた」人物だ。この尋常ではない、あらゆるスケールを超えた作品の主役に相応しい。更にテレビ東京のドラマに初出演だ。また数多くの役を演じてきたが、看守役は初めてだという。加えてたけしさん主演のドラマは、テレビ朝日で放送された「黒い福音」以来3年振りである。何より特筆すべきは、たけしさん演じる看守のキャラクターである。視聴者は、バラエティーや北野作品の映画とはひと味もふた味も違う「ビートたけし像」に驚くことだろう。
2つ目のキーワードは「山田孝之」だ。私は山田さんの「凶悪」という映画が好きだ。登場するどの悪人たちよりも山田さんの演じるジャーナリストは狂気に満ちていた。山田さんは一つの物事に向かってゆく「がむしゃらさ」や「ひたむきさ」を演じるのが上手く、「芯の強さ」を表現させると天下一品だ。同時に「強さの中にある弱さ」を演じても秀逸だ。脱獄囚・佐久間の心の中には「絶対に生き抜いてやる」という執念が居座っている。山田さんはそれを表現するために、髪の毛を丸刈りにし、凄まじいまでの肉体改造をして撮影に臨んでくれた。その演技は期待通り、狂気や痛いほどの凄烈さに満ちている。
3つ目のキーワードは「池端×深川」だ。濃厚でリアリティ溢れる池端さんの脚本を緻密な人間描写を得意とする深川監督がどう演出するのか。池端さんは網走刑務所内の視察を行い、獄中の雰囲気や空気感を嗅ぎ、実際の刑務官にインタビューをしてシナリオ創りに臨んだ。深川さんの撮影現場は、カット割りより演じる者がどんな心境でそのシーンに臨むかを重要視しているように思えた。それは、ジル・ドゥルーズ風に言えば「時間イメージ」が切り開いて見せる「日常的現実の深い探索」だった。
撮影期間はおよそ2か月と映画並み。戦前から戦後にかけての時代設定に合うロケ場所を探し求めて、今日も現場は未知なる挑戦への熱気に包まれている。(2月16日現在)
中学生の頃から『池中玄太80キロ』と『北の国から』でドラマの世界に憧れた僕は、29年前、ドラマの世界に第一歩を踏み出した。
監督は現在も第一線で活躍を続ける巨匠・鶴橋康夫氏。主演は浅丘ルリ子さん。制作進行として現場の雑用に追われる日々はすべてが新鮮だった。鶴橋監督の勇姿は「これが監督か!」と今も記憶に刷り込まれている。
ある日、浅丘さんが海に入っていくシーンの撮影があった。遊泳禁止の海はとにかく波が荒い。万が一に備え、最若手の僕は浅丘さんの後方での介添えを命ぜられた。本番は一発勝負。浅丘さんは高波を物ともせず、ずんずん僕の待つ沖に進んでくる。「カット!」の声がかかるのと一際高い波が僕を襲ったのは同時だった。無残に波にのまれた僕は眼鏡を流され…泊りがけのロケの残りの日々を眼鏡なしで過ごすという悲惨な思い出を作った。
その後、『池中玄太80キロ』の生みの親・石橋冠監督と出会い、長年石橋組の一員として勉強をさせていただいた。そして石橋監督の盟友ともいえる『北の国から』の倉本聰先生ともご一緒させていただく幸運をも得、幸せなドラマ人生を過ごした。
波にのまれてから約30年。今、僕はあるドラマの現場にいる。目の前には浅丘ルリ子さん。ある日、浅丘さんと思い出話に花が咲いた。と、突然浅丘さんが電話を始めた。「監督? 懐かしい人に代わるわね」。差し出された電話の向こうから鶴橋監督の声!「中込です」と絞り出した僕に、鶴橋監督は「おお、卓也クン!元気か?」と。ほぼ30年ぶりの僕の名前を憶えて下さっていた。言葉にできない感動。時間が一気に30年前に巻き戻された。偉大な先輩は泣かせてくれる!
今いる現場とは、倉本先生が82歳にして初めて挑む昼帯『やすらぎの郷』(4月3日スタート・月~金12:30~/すみません、宣伝です)。倉本先生は新人の志を忘れていない。偉大な先輩の前では、まだまだ新人なのだと、思い知らされる日々を送っている。
《日時》 平成29年4月23日(日)
《場所》 越生ゴルフクラブ
《会費》 23,000円予定(プレー費、パーティー費、賞品代含む)
《締切》 4月10日(月)事務局必着
※初めて参加される方は事務局までご連絡下さい。
一般社団法人 日本映画テレビプロデューサー協会
親睦委員会 電話/03-5338-1235