現在、NETFLIXの関係者によると、ドラマの国際競争力はまだ日本は韓国に劣るといいます。従って効率的投資を考えて日本ではアニメに重点を置き制作発注することにして最近ではアニメスタジオ5社と直接契約を結びました。勿論日本のドラマに投資しないわけではないがグローバル展開する会社としては海外でも通用する作品にのみ発注する方針からこれまでテレビ業界に発注していたシリーズものの出来が不振で映画界に照準を合わせて人材を選び、園子温や蜷川実花などの監督に作品を発注。1シリーズ10本前後の作品が既に何本も出来上がって好評だといいます。日本のテレビ番組に対して彼らの見方は国内での目先の視聴率のみに走るため長い年月にわたって商品となる作品作りの姿勢に欠けるという厳しい見方をしているようです。そう言われてみれば、日本のテレビドラマはマーケティング重視の風潮の中でやたら刑事ものや医療モノが多い。勿論、中には後々までも繰り返し見られる良質の作品もありますが、どちらかというと今、数字が日本でとれるものをという意識が強い。従って作品の傾向が偏る。一年間に放送された作品を並べてみると確かに多様性に欠けているのが分かります。
何やら、後ろ向きの話が多くなりました。が、決して日本のドラマが世界に通用していないわけではありません。「おっさんずラブ」は特殊な設定ですが「ラブコメディ」が好きなアジアへの販売に成功し、日本と同様の話題を生んでいるといいます。ただ、そうは言いながらやはり日本のドラマの制作力を誇る意味でもプライムタイムで「世界に通用する」作品が出てきてほしい。昨年はトルコでの日本テレビ「ウーマン」「マザー」のリメイクが話題になりましたが、この両作品とも海外数十か国に売れて大ヒットになり、オリジナルの日本版にも多くの国から発注が来ているといいます。「逃げるは恥だが役に立つ」はこれもアジアを中心にヒット、契約結婚や高学歴でも仕事がないという日本的な視点が共感を呼んでいるようです。同じTBSの「アンナチュラル」不自然死の原因究明という一風変わったテーマにもかかわらず、海外でも受け入れられ番販が好調です。これらの作品は「東京ドラマアウォード」のグランプリ、優秀作品として表彰されています。協会員の皆様の目に間違いはなかったと感謝します。
今年も、さらに質の高い作品選定に向けてご協力よろしくお願いいたします。
7月25日、第13回目となるプロデューサーズカフェを開催しました。連続テレビ小説「半分、青い。」制作統括・勝田夏子氏(NHK)とドラマBiz「ハラスメントゲーム」統括プロデューサー・田淵俊彦氏(テレビ東京)にご登壇いただき、局を横断してのクロストークとなりました。 「朝ドラ」は現在放送中の「なつぞら」が100作目、50年続くコンテンツですが、「半分、青い。」は脚本家・北川悦吏子さんと勝田プロデューサーがタッグを組んで硬直しがちなセオリーを次々と打ち破り、鮮烈な異色作として話題を呼び起こしました。 「ハラスメントゲーム」もドラマBizという経済ドラマの枠組みかつハラスメントというセンシティブなテーマを、脚本家・井上由美子さんと田淵プロデューサーの「勧善懲悪はつまらない」「今日の被害者は明日の加害者」という発想のもと、痛快かつ心に刺さるエンターテイメントとして実現させました。 型破りともいえる両者のドラマ作りの根幹には、フィクションの可能性を追求したいという情熱がありました。対談はさらに「現在のテレビドラマの潮流」「それぞれの局でのドラマ制作プロセス」「今後のテレビドラマの展望」といったテーマにおよび、会場からも質問が相次いで大変盛り上がりました。 今回もVIPO(映像産業振興機構)にご協力いただきました。会場の提供をはじめ、VIPOの告知により幅広い層からご来場いただき充実した内容のプロデューサーズカフェとなりました。
日 時/10月10日(木)
10:30~17:30(受付10時開始)
会 場/映像産業振興機構(VIPO) ・東京都中央区築地4−1−1東劇ビル2Fホール
参加費/5000円
定 員/50名 18歳以上
(書類審査あり)
実施プログラム
受付開始/10:30~14:00
①第一部「ワークショップ」
12:30~13:00
講師/今泉 力哉 監督
②第二部〈アクターズセミナー賞選定オーディション〉
14:00~16:00
一人2分以内で自己表現
③第三部〈出会いの広場〉
16:00~17:00
参加者とプロデューサー、監督との交流
④第四部〈結果発表・総評〉
17:00~17:30
優秀者には2月に開催される「エランドール賞パーティー」の会場において賞状、ヒラタ基金より副賞のトロフィーが授与されます。なお詳細は参加応募用紙をご覧ください。
ドラマ「教陽」
晴れない日が続いている。梅雨前線が列島にずっと居座り、記録的な日照不足。東京の7月前半の日照時間はわずか5・6時間で平年の1割に満たない状況だそうだ。どれだけヤフー天気を眺めても晴れマークは現れない。そんな中でフジテレビ60周年記念作品の『教場』の撮影は行われている。 しかし、その沈んだ空気に飲み込まれることなく、『教場』の現場は今日も熱い。風間公親役の主演・木村拓哉さんの前で、30人の生徒役の俳優陣が訓練シーンの撮影に挑んでいる。警察手帳をポケットから出す、警棒を伸ばす、手錠を確認する、笛を吹く。目指すのは一糸乱れぬ連帯。タイミング、角度、寸分のズレも許されない。これは点検訓練と呼ばれ、警察官の装備品の確認を主とするものだが、組織力を向上させることも狙いだと考えられる。クランクインから約一ヶ月半、やっと我ら「風間教場」も一体感に包まれてきた。生徒の表情にも達成感が見て取れる。だが、木村さんの表情は依然として厳しい。見据えるのはもっと高いレベルでの連帯だと言わんばかりに。覚悟に裏付けられた、風間教官の"圧倒的な凄みのある姿〟が現場を引き締める。 そもそも「教場」とは警察学校のクラスのこと。そしてその担当教官の名字と組み合わせ、「◯◯教場」と呼ばれる。故に今回は「風間教場」。今作『教場』は警察学校を舞台とし、その極限状態を生き抜く生徒それぞれのよこしまな思惑を、監察力に秀でた風間教官が暴いていくミステリー作品である。長岡弘樹氏の原作は警察小説の新境地を切り開いたベストセラーでシリーズ累計57万部を記録している。またドラマではミステリーにとどまらず、過酷な警察学校で覚醒していく生徒たちの青春物語の要素もより多く盛り込んだ。脚本は『踊る大捜査線』シリーズの君塚良一さん。原作エピソードに寄り添いながら『教場』にオリジナリティを加え、厳格な教官が個性あふれる生徒たちと向き合う人間教育の物語に仕立てあげて頂いた。 そして今日もその青図をもとに、キャスト・スタッフが現場で格闘している。「もう一回やろう!」自然とそんな声が上がる。生徒達ももう一段上へと気力を絞る。そんなポジティブな気が支配する現場は緊張感にあふれ、居心地がいい。「カット、OK!」中江監督の声がかかると、風間教官は生徒の元に歩み寄っていった。そして、その表情は少しだけ緩んだように見えた。 あ、ヤフー天気に晴れマークがやっと現れた。
私が角川書店に入社したのは、1997年だった。その当時の角川書店映像部門は「失楽園」「リング」などヒット作を立て続けに放っていた時代であり、とても活気のある職場だった。自分もいつか映画を作れるかなぁと淡い期待を抱いた矢先、担当を命じられたのは、ビデオ制作部門であった。少し落胆したが、生来好奇心旺盛な性格で、すぐに気持ちを切り替えた。当時はレンタルビデオカセット市場がまさに活況を呈していた時代であり、まだまだ成長段階の市場であったことにも魅力を感じていた。 とはいえ、全くの新設部門。社内にそのノウハウがあったわけでなく、前任もいない状態であった。 よって、その知識を取引先の方々に教えを請いながら、見よう見まねで覚えていった次第である。当然失敗をあげれば数知れず、冷や汗の連続だったことを思い出す。 それでも、映像にたずさわることは刺激的な毎日だったことも事実である。 そして時はまさにDVDというメディアの黎明期であり 角川書店のライブラリーのDVD化の立ち上げ期に参加できたことは僥倖であったと言える。 自分が多感な時期に影響を受けた角川映画のDVD制作に関わり、「犬神家の一族」「人間の証明」「蘇る金狼」「セーラー服と機関銃」などDVDを世に出す仕事は本当に楽しく、 当時の関係者から撮影秘話を聞けたことは何事にも代えがたい経験である。憧れの薬師丸ひろ子さんにインタビューしたときはこの仕事をしていてよかったと心底喜んだものである。また「復活の日」のDVDは特に思い出深い作品になった。深作欣二監督、木村大作キャメラマンなど当時のスタッフの方に集まっていただいたオーディオコメンタリーで撮影時のエピソードをお伺いできたことは自分の人生の大切な財産である。 言うまでもないが過去の名作、傑作と言われた作品群を現代に残すのは、先人たちの偉大な功績を後世に引き継ぐことであり、それに関われたことは私の誇りであり、その時の感動が今の原動力になっている。
元日活のプロデューサー近藤治夫氏(功労グループ)は去る7月31日に逝去されました。88歳でした。ご生前のご功績を偲び、心からご冥福をお祈りいたします。