会報

2023.07.18

会報

No.507 2023年 7月号

より良きプロデューサー協会を目指して‼

一般社団法人
日本映画テレビプロデューサー協会
会長  奥田 誠治

これから2年間映画テレビプロデューサー協会の会長をさせていただく奥田誠治(松竹)です。どうぞよろしくお願い申し上げます。今回、日本映画テレビプロデューサー協会の執行部の副会長メンバーが大きく入れ替わりました。
屋敷さん(NHK)松崎さん(CX)そして那須田さん(TBS)の3名が加わり留任の香月さん(東映衛星放送)若泉さん(KADOKAWA)の計5人の副会長を中心に常務理事や理事の方々とこれからの当協会の方向性をともに考えていこうと思います。また、これまで副会長をしていただいた重村一さんが特別顧問に、山田良明さんと尾崎充信さんは常務理事に就任していただきプロデューサー協会をこれまでの経験と知見を通し支えていただきますので引き続きよろしくお願い申し上げます。
映画製作ではこの春から日本映画適正化機構がスタートするなど作品づくりの環境は大きく変わっていこうとしております。
私たちプロデューサー協会会員の皆さまも映画やテレビの制作現場で常により良い作品づくりを目指すために絶えず変革とコストの意識とともに高みを目指して日夜努力されていることと思います。
そのようなプロデューサー会員各位の少しでも役に立てるような協会運営になればと思っております。
今年の当協会の目標は、これまでのコロナ禍で実現できなかった協会での活動をより効果的に実行していこうということです。具体的にはエランドール賞とアクターズセミナーの取り組みです。
まずはエランドール賞です。
わが国を代表するプロデューサーに与えられる賞は大きく2つあります。
一つは映画プロデューサーの為の藤本賞(映画演劇文化協会)と私たちの映画とテレビプロデューサーの為のエランドール賞プロデューサー賞(田中・平田賞)であります。
私たちのエランドール賞は映画やテレビで優秀な作品を制作したプロデューサーに贈賞されます。田中・平田賞の田中友幸さんはゴジラシリーズや「日本のいちばん長い日」、「日本沈没」をはじめ様々な大ヒット実写映画を世に出すとともに当協会の第一代目会長でもありました。そして平田崑さんも当協会に特に尽力していただいた名プロデューサーです。今年の表彰式では思いの詰まったプロデューサーの挨拶が続き時間が押してしまいましたがそれだけ伝えたい熱い思いがあったのでしょう。そしてエランドール賞のもう一つの魅力が特別賞と新人賞にあります。特に新人賞はマスコミに注目されるエランドール賞の華でもあります。先般、某女優さんを紹介する番組で事務所の数々の受賞トロフィー等の締めの画がエランドール新人賞表彰状のアップでした。
今年はこの授賞式と会員の方への対応そして一般観客の方をどうしていくかが大きなテーマになっていくと思います。どうか一緒に考えていきましょう。
そしてコロナ禍で延期となっていたアクターズセミナーの待ちに待った再開です。ここはぜひ皆様のご協力をお願いしたいところです。力を合わせて再開に向けて取り組んでいきましょう。
セミナーカフェでは引き続きプロデューサーが知りたい興味あるテーマをぜひ取り上げてください。昨年の治部れんげさんのお話も非常に良かったですし面白いテーマで取り組んでいければと思っております。
組織強化・事業開発委員会に関しては引き続き会員獲得に向けて頑張っていきます。昨年からはほぼ現状維持ではありましたが会員が増えるような取り組みも考えたいと思います。
そして著作権委員会、会報委員会、総務委員会、親睦委員会ともに引き続き当協会のそれぞれの柱としてよろしくお願い申し上げます。
最後はこれらを有機的に繋げるデジタル編集委員会(木田プロジェクト)の実施運用です。皆さん登録と利用の方もよろしくお願い申し上げます。
これ以外にも協会メンバーの希望がありましたらぜひ各理事、副会長、会長にどんどん伝えてください。このプロデューサー協会をより魅力ある集まりにしていきましょう。皆さまの力を結集し日本の映画とテレビの未来を見据えどんどん楽しい場所にしていきましょう。どうかよろしくお願い申し上げます。


新 役員一覧

第47回 通常会員総会(2023年6月27日)
(一社)日本映画テレビプロデューサー協会
定款:理事25名以上35名以内(会長1名、副会長6名以内、常務理事10名以内)監事3名
理事任期:2年以内 特別顧問、監事任期:4年以内
役職氏名会社名
会 長奧田 誠治松竹(株)
副会長
(5名)
香月 純一東映衛星放送(株)
若泉 久朗(株)KADOKAWA
松崎 薫(株)フジテレビジョン
那須田 淳(株)TBSテレビ
屋敷 陽太郎日本放送協会
常務理事
(10名)
山田 良明元(株)フジテレビジョン
尾崎 充信フリープロデューサー(日本放送協会)
吉田 繁暁(吉は上部が土のつちよし)松竹(株)
椿 宜和(株)KADOKAWA
富山 省吾日本映画大学
小岩井 宏悦ワーナー・ブラザース映画
蔵本 憲昭(株)電通
保原 賢一郎(株)フジテレビジョン
飯沼 伸之日本映画放送日本映画放送日本映画放送(株)
宮川 朋之日本映画放送(株)
理 事
(17名)
髙橋 信仁フリープロデューサー(松竹(株))
本間 英行映像産業振興機構
山川 秀樹(株)テレビ朝日
羽鳥 健一(株)フジテレビジョン
白石 統一郎(株)C.A.L
岡本 幸江日本放送協会
高橋 練(株)エ・ネスト
名塚 新一郎(株)C.A.L
玉川 静(株)円谷ミュージック
五十嵐 真志(株)電通
三上 絵里子日本テレビ放送網(株)
遠藤 学東宝(株)
福家 康孝日活(株)
片山 剛(株)TBSテレビ
大和 健太郎(株)テレビ東京
塚田 英明東映(株)
渡辺 紘史フリープロデューサー(日本放送協会)
特別顧問
(2名)
木田 幸紀フリープロデューサー(日本放送協会)
重村 一(株)ニッポン放送
監 事
(3名)
工藤 英博(株)P・D・S
松尾 武フリープロデューサー(日本放送協会)
杉田 成道日本映画放送(株)
事務局長市川 哲夫フリープロデューサー((株)TBSテレビ)

新理事の方々のご挨拶

東映
塚田 英明

この度、理事を拝命しました。これまでは時代劇・ミステリー・特撮ヒーローと、担当作品を作ることばかり考えてやってきましたが、プロデューサーの端くれになって、もうじき30年。それだけではいけない立場になりました。業界全体の為に、より良い制作環境を作る為の一助となれるよう頑張ります。
映像ビジネスの常識・価値観が急激に変わっている昨今、それに相応しい協会の業務を、会員の皆さんと一緒に取り組んでいきたいと思います。
どうぞよろしくお願いいたします。

日本映画放送株式会社
宮川 朋之

寄稿の依頼をいただいてから二日後、新たな「鬼平犯科帳(劇場版)」がクランクアップする。さらに、その三日後には、連続ドラマ(現代劇)がクランクインを迎える。
手掛けた作品のアップとインが偶然重なり、飛び乗った新幹線の車中で改めて思うことは、いかなる多事多難に見舞われても「終わらない撮影はない」ということ。
撮影がスタートすればスタッフ、キャストはオールアップというゴールを目指して走り続ける。その流れに「ちょっと待った!」と異議を唱えられる唯一無二の存在がプロデューサーだ。予算管理や安全性を担保する観点から「やめましょう」と言える勇気。完成した作品は、全世界を敵に回すことになっても、守らなければならない責任。プロデューサーにはそのすべてが求められる。歴史ある日本映画テレビプロデューサー協会に理事として参加させていただくことになり、改めて自分なりのプロデューサー像を整理してみた。
理事拝命に驚きと恐縮と誇らしい気持ちでいる。協会のために尽力する覚悟を新たにしたところで京都着となった。

株式会社テレビ東京
大和 健太郎

テレビ東京制作局ドラマ室の大和健太郎です。
映画、テレビを取り巻く環境が目まぐるしく変化する中、世界へ向けた良作をより多く生み出すことができる環境を我々プロデューサーが今まで以上に作りだしていきたいと思っています。
微力でありますが、少しでも皆様に貢献できるように尽力していきたい所存です。
どうぞよろしくお願い致します。


只今撮影中

テレビ朝日ストーリー制作部(ドラマ班)
川島 誠史

「シッコウ ~犬と私と執行官~」

撮影中のあるとき、主演の伊藤沙莉さんが何気なくつぶやいた一言がずっと頭に残っている。
「この人たちがいなかったら、世の中どうなっちゃうんですかね…」
“この人”とは、このドラマで描いている執行官を指しているのだが、確かに彼らがいなければ、家賃を払わず部屋に居座ったり、借金を返さなかったり、そんな人が世の中に溢れてしまうだろうと、この言葉を聞いて改めて思ったのを覚えている。
世の中にはあまり知られていないが、この言葉が表すように、この社会になくてはならない存在…それが執行官だ。裁判の判決が実現されない時に、強制的に実行するこの仕事。ドラマではほとんど扱ったことのないこの職業を描くにあたり、取材を重ね専門家と何度も打合せをしたが、次から次へと知らないことが出てきて、とても新鮮であった。
ドラマで執行官役を演じる織田裕二さんも、現場にいる元執行官の監修者から色々なことを聞いては「そんなことがあるんですか!?」とよく驚かれていて、「これまで色々な職業を演じてきたけど、まだこんなに学びがあるとは…」と取材でも仰っていた。そんな風に、日々知らないこととの奮闘が続き、たくさんの苦労もある中で、現場の癒しとなっているのが“犬”である。
「執行官」という馴染みのない職業を、より身近に感じてもらうため、“犬”という要素を足したのは、脚本家の大森美香さん。これが、一見堅く難しそうに感じる職業ドラマに絶妙な軽さと親しみやすさをプラスしてくれる珠玉のアイデアだ。
そしてそれが現場にも絶大な効果をもたらしている。ある日、長時間の撮影で現場の空気が重苦しくなっていた。そんな時、ある強面ベテランスタッフの元へ、一匹のチワワがしっぽを振ってチョコチョコと近づいてきてじゃれついたのだ。すると、そのスタッフは途端に破顔し、聞いたこともない猫なで声で「よーしよしよし!いい子だねぇ」とその犬を撫でまわし始めた。キャストもスタッフもその光景を見て、一気に現場の空気が緩み温かい気持ちになって、その後の撮影が順調にいったのであった。
執行官は、人生に行き詰った人に新たなスタートを切ってもらうことも重要な役割だという。時々こうして犬に癒されながら気持ちをリスタートさせて撮影に臨んでいる姿が、そんな執行官の矜持と重なるなぁと思いながら、日々カットを重ねている。


私の新人時代

日本テレビ
岩崎 広樹

「5秒前! 4、3、2ぃ!」生放送する番組では、本番スタート前のカウントをするのは2秒前まで。1秒前は指でカウント、そして0秒でキューを力強く振る。そんな生放送の仕事を1から教えてくれた一つ上の先輩が、今年日本テレビを退社した。「クリエイターとしてより広い舞台で、世界に挑戦するエンターテインメントを作りたい」、そう熱く語る先輩に、かつて一緒に過ごしたAD時代を思い出した。毎週日曜お昼の生放送番組に向けて、スタジオ台本を一本化し、プロッキーでカンペを書き、T字のバミテを用意してから、深夜によくラーメンを奢ってもらった。がむしゃらに走り回っていた、あのかけがえのない情熱の日々から間もなく20年が経つ。その間に、クリエイターを囲む環境は激変を続けている。2011年にHuluがアメリカから上陸し、2014年に日本テレビの傘下に加わることになった。そして2015年にはNET FLIXも日本上陸し、グローバル配信各社の熾烈なストーリーコンテンツのクリエイティブ競争が巻き起こっている。そんな今こそ、「世界に挑戦するエンターテインメント」を作り出す道筋を見出していかなければならない、と強く思う。2014年にHuluに出向して以来ドラマ制作に携わるようになり、日本発のドラマコンテンツを世界市場に届けることを志してきた。「Miss Sherlock」をHBO Asiaと国際共同制作しシンガポールで記者会見をしたり、「金田一少年の事件簿」をDisney+で世界配信をしたりしてきたが、世界配信した先にあるグローバルヒットへの道はまだ遠い。世界で支持されるストーリーコンテンツを生み出し、これからクリエイティブの世界に入ってくる若きクリエイター達が、20年後にかけがえのない情熱の日々として振り返れるような今をプロデューサーとして作り出していきたい。そして、グローバルヒットコンテンツが続々と日本から生み出される未来に繋げたい。新天地に挑む先輩の背中に、志と使命感を新たにする別れとなった。


事務局だより

◎正会員入会

橋本 恵一(東映 株式会社)
高橋 大典(東映 株式会社)
髙橋 直也(東映 株式会社)

◎退会

池田 宏之(ワーナーブラザースジャパン合同会社)
佐藤 雅彦(エピスコープ株式会社)

◎訃報

横山 敞三郎(特別功労会員)2月27日逝去 89歳

第74回 プロデューサー協会 親睦ゴルフ会結果

5月27日(土)コロナ禍の中、十分に感染予防に留意の上実施されました。
初参加2名を含め晴天の中13名がプレイされました。(親睦委員会)

順 位氏 名アウトインGHN
優 勝山本 秀人49449316.876.2
準優勝香月 純一48509821.676.4
第3位玉川 静45469113.277.8

インフォメーション

国際ドラマフェスティバルinTOKYO投票ハガキを同封します、奮って投票願います。

◎会議の記録

  • 6月 6日(火) 18時00分~ デジタル編集委員会(リモート)
  • 6月27日(火) 17時00分~ 第47期第9回定例理事会(東映本社8階会議室)
  • 6月27日(火) 17時30分~ 第47期通常会員総会(東映本社8階会議室)
  • 7月 4日(火) 18時00分~ デジタル編集委員会(リモート)

◎会合・会議の予定

  • 7月18日(火) 18時30分~ 第48期第2回定例理事会(東映本社8階会議室)
  • 7月25日(火) 17時00分~ 会報委員会(リモート)