会報

2020.10.01

会報

No.481 2020年 9月号

協会の皆さま

一般社団法人
日本映画テレビプロデューサー協会
会長  奥田 誠治

新型コロナウイルス禍により、皆さまの業務や生活が大変な影響を受けられ、さまざまなご苦労をされていることと存じます。
理事会や様々な場所で皆さまからの現状問題を聞くにつけ、今後のそれぞれの取り組みが容易ならざるものであることを身にしみて感じております。
皆さま方におかれましては最善を尽くして対策の日々をお過ごしと思いますが本当にお疲れ様です。
映画やテレビの現場では、撮影や公開並びに放送が中止や延期となり今までに体験のしたことのない状況になっております。
それぞれの現場では撮影や収録の再開となりスタッフ、キャスト一丸となり公開や放送に向けこれまでの遅れを取り戻すべく必死の努力をされていると思います。
新型コロナウイルスの終息の目途が立たない中で以前の撮影や収録と大きく変わったことは、感染予防の為の万全の対策を講じて進めなければならないということ以外に今後の映像制作の在り方もどうやらこれまでの進め方を踏襲する訳にはいかない、ということになっていくようです。リモートでの会議や打合せもいまや主流となりました。また完成した作品をどう観客に届けていくのかについての問題も大きなテーマとなっていくようです。
映画会社、テレビ局、プロダクション、撮影所、各団体それぞれが感染対策についてのガイドラインを策定し、実行していることは皆さまご存じのとおりです。しかしながら、それらに伴う超過費用やスケジュールとの兼ね合い他色々解決しなければならない問題が山積しております。
当協会も会員相互の意見交換の場としてそれぞれがどんな考え方や方策を持っているのか知ることのできる貴重な場所だと考えております。
今年の日本映画テレビプロデューサー協会の各イベントの取り組みですが、エランドール賞、アクターズセミナー並びにプロデューサーズカフェ等についての今後展開については、現在、鋭意検討中です。
協会員の皆さま、引き続きご協力のほどよろしくお願い申し上げます。
35年前宮崎監督が描いたマスクをつけなければ生きていけない世界、映画「風の谷のナウシカ」がありましたが、近いことが現実に起こるとは夢にも思っていませんでした。しかしどんな世界になってもそれと共存し、希望を失うことなく人は生きてゆくのだ、というテーマだったと思います。
現在、新作TVドラマの放送が遅れてスタートし、公開が延びていた劇場用映画の封切りも始まりそれぞれがたいへんな反響で明るい話題で持ちきりです。
このように私たちが制作する劇場用映画やテレビドラマが不安でいっぱいの今の日本国民に与えるであろう希望は計り知れません。
これからも今の難局を乗り越えて、すべての人々に夢や希望や勇気を与える作品が制作されることを願ってやみません。 皆さま共に頑張りましょう!


「コロナ」と「猛暑」でダブルパンチの最悪の夏
皆さま、いかがお過ごしでしょうか。

副会長  重村 一

祭囃子も、海水浴に興ずる子供たちの歓声も、夏の夜空を彩る華やかな花火も、ささやかな庶民の楽しみと考えていた小旅行も、日本人ならではのお盆の墓参りも、これまで当たり前の事と考えていた季節の風物詩が全て消えてしまう夏が来るとは誰が予測した事でしょう。
しかし、蝉の鳴き声が聞こえなくなり、虫の音が騒々しくなってもコロナの勢いが収まるとは思えません。高齢者の自分などには人生の楽しみを一年いや二年は奪われたと恨めしい思いです。
そんな重苦しい時代に庶民の楽しみはその重い空気を忘れさせてくれる、面白いドラマや心に残る映画への期待です。事実、この数年右肩下がりだったテレビの視聴率は逆に上昇し、コロナ対策で半分の客しか集められない映画館にもマスク姿で足を向けるお客は多く、この悪条件の中でスマッシュヒットと言われる映画や久しくゴールデンタイムでは存在しなかった25%を記録するドラマも登場しました。
また、韓流ドラマではありますが、今や社会現象にもなって本年度の流行語大賞候補とまで言われる「愛の不時着」という作品もネットフリックスから配信されました。
確かに放送、映画などエンタメ業界はこの暑さの中、冬が一足早くやってきて厳しい経営環境に直面しています。しかし、その一方で優良なソフトが如何に社会の中では人間が生きる上では欠かせない存在であるかも証明されました。ハードがいかに進歩しようともその中核となるコンテンツの充実が無ければ卓越した技術力やインフラの価値が活きることはないと改めて実証されたともいえます。
ハードへの投資も大事ですが、それ以上にソフト制作に資金をつぎ込むべきと政府や企業に理解して貰えればこのコロナ禍が「災い転じて」となる事を願うばかりです。
さて、皆さまには先般、「東京ドラマアウォード」での優秀作品の選考をお願い致しました。コロナ禍の中、新作の制作を中断せざるを得ない番組もありタイムテーブルが再放送で埋められているケースも多く、選考にはご苦労されたと思います。心より御礼申し上げます。
また、イベントが次々中止される中、「アウォード」自体が開かれるのかという疑念をお持ちの方も多いと思いますがドラマが制作されている限りこのイベントも「継続」しなければなりません。
時節柄、観客を招待する事は断念致しますが、授賞式は例年通り東京プリンスホテルにステージを設営して実施し表彰を行い、放送と配信でその模様を中継致します。10月29日を予定しております。
しかし、コロナの流行が続く限り映画、ドラマの制作現場は非常に厳しい状況の下、悪戦苦闘の連続だと思います。一日も早い終息を願いつつ、いかなる条件下でも知恵を絞って「ドラマ、映画の灯」を消さぬようお互い頑張りたいと思います。


プロデューサー協会 今年の事業について

ご承知のように、協会の事業は、例年決まった時期に決まった事業が実施されます。これは、その事業が内外に認知され定着していくために、きわめて大切なことです。 ところが、今年はそれが困難な状況です。新型コロナの感染拡大により、3密状態となる集会や催しに自粛が要請され、我々の仕事とする映画、テレビ、演劇などの映像制作も、軒並み制作中断に追い込まれました。ようやく6月、映画テレビ各社は、制作再開に向けガイドラインを作成し、コロナ感染を絶対起こさぬ体制を備え、注意深く制作を開始したところです。
会員の皆様におかれては、新型コロナの第2次感染が疑われ、終息の時期も見通せない中で、今後の協会の事業(催事)はどうなるのか、ご心配なことと存じます。
以下、ヒット作・話題作の制作者とのトークセッション「プロデューサーズカフェ」、優れた若手演技者を育成する「アクターズセミナー」、そして新春恒例、協会最大の事業「エランドール賞」について、現時点での検討状況をお伝えします。
まず、毎年夏に実施される「プロデューサーズカフェ」。この状況下で、未だ実施できずにいますが、委員会では、時期にとらわれず、コロナ対策を施した形での実施を検討しています。
次は、「アクターズセミナー」です。若手演技者の育成という、事業の本旨を生かしながら「オンライン形式での実施」ができないだろうかと、委員会は今、真剣な議論を続けています。
1956年に始まり60有余年の歴史ある協会最大の事業「エランドール賞」は中止できません。委員会では、受賞者を選出し、たとえ無観客でも授賞式を行い、参加できない会員やファンの人たちには、何らかな形での映像配信を考えるという基本原則を立て、検討を始めています。
以上、それぞれの委員会で検討された事業概要は、9月18日の理事会で承認されたのち、具体的準備に入ります。これからの情報にご注目ください。


只今撮影中

テレビ東京
倉地 雄大

ドラマ24「あのコの夢を見たんです。」

私は今、10月期の連ドラとして、南海キャンディーズ・山里亮太さん原作の「あのコの夢を見たんです。」をプロデュースしています。元々、このドラマの放送時期は7月期でした。今年の4・7月期にドラマ・映画の制作を抱えていた方は皆そうだったと思いますが、本作もご多分に漏れず、制作ストップとなりました。一向に減らない感染者数や、収束の目処が立たない感染拡大を前に、制作過程だけでなく日常生活すら変革を余儀なくされました。これまでのやり方が通用せず、正解の見えない対策と、見えない病原菌との戦いで疲弊していく中で、私たちは何ができるのだろうと考え続けた自粛生活でした。
テレビ局は報道機関としての機能を果たすのは当たり前ですが、それ以外に、娯楽を提供すると言う側面を担っています。テレビ離れが叫ばれる今でも、昔好きだったドラマ・バラエティの再編集版が放送されれば夢中になって視聴し、話題にする。やはりテレビの持つ〝役割〟を改めて実感させられました。
今、幸せなことに、撮影を再開させていただいています。もちろん、これまでと同じようにとはいきませんが、できうる限りの対策を取り、最小人数で、日々撮影しています。私が今撮影しているドラマは、山里亮太さんが実在の女優やアイドル、モデルをヒロインにして、自由な物語を創作した短編集が原作です。山里さんならではの自由度の高さと、実名で登場する女優陣の豊かなキャラクター性は圧倒的に素晴らしいのですが、この原作を書き始めた山里さんの原動力に何よりも心打たれました。山里さんは、嫌な気持ちを忘れるため、嫌なことから逃げるために、楽しいことを想像し、書いたのだと言っていました。「頑張れ」「負けるな」ではなく、「全力で逃げる」のが山里流の対処法なんです。素直に素敵だなと思いました。
私たちは、まさに今もそうですが、不条理や不公平、不平等に囲まれながら生きています。そんなときに、気持ちを切り替えて前を向けさえすれば、問題から逃げても、別のことに没頭しても良いじゃないかと、改めて教えてくれました。こんな今だからこそ、1人でも多くの人に笑って、明日も頑張ろうと思ってもらえたら…と思い、本作に向き合っています。
最後に、この場を借りて、新型コロナウイルスの感染拡大防止に尽力されている方、医療従事者の方々に、心から感謝申し上げます。1日も早い収束を、心より願っております。


私の新人時代

東映
テレビ企画制作部
チーフプロデューサー
目黒 正之

1993年秋。私は視聴率20%台連発の大ヒットシリーズにプロデューサー補として途中参加し2年目。順風満帆…の筈が違和感に悶々とし「仕事だから楽しくなくても仕方ない」と自分に言い聞かせてばかりの毎日。といって自己変革する勇気もなく、ひたすらうつむきがちだった私に、当時の部長が新しく始まる帯ドラマの担当を発令してくれた。「補」の一字も取れプロデューサーとなったが中身は一朝一夕には変わらず、日々勃発するアクシデントや帯ドラ特有の過酷なスケジュール(「働き方改革」の遥か昔の話だ)に引きつってばかりの私に「大丈夫よ!」と毎日明るく優しく声をかけてくれたのが主演女優の岡江久美子さんだった。岡江さんの笑顔が見れると思うと現場が楽しく、物づくりに参加しているという実感も初めて味わった。私は岡江さんの夫としてセミレギュラー出演までした(遺影ですが)。それまでは頑として内トラも拒否していたのに、である。「仕事は積極的に楽しもう。この世界に自分の居場所が見つけられるかも」岡江さんと出会い、私の意識は大きく変わった。
時を経た2007年秋、岡江さんと2時間ドラマ「終着駅シリーズ」で再会した。多少の経験値は積んでいたものの長寿シリーズへの再度の途中参加には緊張。片岡鶴太郎さん演じる牛尾刑事の妻役の岡江さんは、そんな私を「また一緒だ」と変わらぬ温かい笑顔で迎えてくれた。同シリーズは今や私にとって最も長く担当し続け、沢山の事を学ばせてくれている大切な番組であるが、岡江さんとは込み入った話をした記憶がない。ご挨拶をし、世間話をし、お見送りする。その繰り返しだが、会えるといつもホッとした。昨秋撮影の回は岡江さんの撮影に立ち会えなかったが「また必ず来年会える」と信じて疑わなかった。
だが…「また」はなかった。「必ず」ではなかった。本当に大切な物の価値は失って初めて分かるというが、プロデューサー人生の二大転機にご一緒してくれた岡江さんが、自分にとっていかに掛けがえのない存在だったか…私は今、痛感せずにはいられない。
岡江さんとの二度の出会いは秋、そして別れは春だった。心躍る季節は今後、私にとっては悲しい思い出を呼び起こすのだろうか…。岡江さんの笑顔に背中を押されて、顔を上げて歩み始めることができたこの道、もう少し、しっかり踏みしめて歩きたいと今は思うのである。


事務局だより

◎正会員入会

  • 鳥羽 乾二郎(日活㈱)
  • 松本 友香(TBSテレビ)
  • 佐野 昇平(㈱コモドプロダクションズ)

◎訃報

  • 及川 次雄(コンセプトフィルム)2020年2月逝去
  • 堀川 とんこう(功労会員 元TBS)2020年3月28日逝去
  • 伊地智 啓(功労会員 元日活)2020年4月2日逝去
  • 西坂 瑞城(フジテレビジョン)2020年4月24日逝去
  • 一井 久司(事務局長 NHK出版)2020年5月14日逝去

◎退会

  • 新井 重人(日活㈱)(TBS)

インフォメーション

◎会議の記録

  • 6月18日(木) 第44回通常会員総会(東映本社8階)
  • 7月15日(水) 会報委員会(事務局)
  • 7月21日(火) 第1回定例理事会(東映本社8階)
  • 8月18日(火) 会報委員会(事務局)

◎会議の予定

  • 9月18日(金) 18時30分~ 第2回定例理事会
    会場/東映本社8階会議室(中央区銀座3-2-17)

近々ホームページがFacebookページとともにリニューアル致します、お立ち寄りください。

第69回 プロデューサー協会 ゴルフ会開催のお知らせ
秋の親睦ゴルフ会を次により開催致予定です。
《日時》2020年11月8日(日曜)
 競技方法 新ぺリア方式
 8時45分集合 ◎9時17分 インスタート(4組予定)
《場所》越生ゴルフクラブ
 〒355-0354 埼玉県比企郡ときがわ町大字番匠61 0493-65-1141
 関越自動車道鶴ヶ島インター下車15分、東武東上線坂戸駅下車、クラブバスあり
《会費》22,000円予定(プレー費、パーティー費、賞品代含む)
《締切》10月24日(土曜)事務局必着
※初めて参加される方は事務局info@producer.or.jpまでご連絡下さい。
新型コロナ感染拡大で、先行き不透明の中での告知です。
今後も推移を親睦委員会で注視・検討致しますので宜しくお願いします。
一般社団法人 日本映画テレビプロデューサー協会 親睦委員会:髙橋・玉川・山本 電話/03-5338-1235

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