会報

2022.07.21

会報

No.498 2022年 7月号

会長あいさつ

一般社団法人
日本映画テレビプロデューサー協会
会長  奥田 誠治

もう一度プロデューサー協会のすばらしさを伝えよう!
松竹歌舞伎座で七月大歌舞伎の第三部「風の谷のナウシカ上の巻・白き魔女の戦記」が上演中です。
今回はクシャナ役に尾上菊之助、ナウシカ役に中村米吉が演じたのですが素晴らしい舞台であったのはもちろんのことでしたが自分が若き日に映画ナウシカに初めてかかわったころのことが走馬灯のようによみがえってきました。
1985年。日本テレビ編成部から映画部への異動。
初めての仕事がその前年大ヒットした「風の谷のナウシカ」のテレビ初放送でした。
当時の上司、岡田普吉部長に全て任せるといわれた私はまずはこのアニメーションの制作者、若き日の宮崎駿監督と鈴木敏夫プロデューサーにあいさつに行きました。
宮崎監督はすごく忙しい感じでお話ししたことを覚えています。
鈴木プロデューサーは鋭い目つきのちょっと怖い感じの印象でした(笑)
でも鈴木さんは私の稚拙な画コンテでの番組構成の説明をきちんと聞いてくれ、いろいろ協力してもらいました。結果、映画放送は大成功。
高視聴率と視聴者からの感動の声。極めつけは番組終了後の原作本プレゼント。
「映画では描かれなかったナウシカのその後の物語が収められている原作全7巻を10名様にプレゼント」に100万以上の応募。中会議室が郵便物で満杯になりました。テレビと映画のメデイアミックスを感じた瞬間でした。この時の視聴者の反応と大きな動きにより宮崎駿監督作品をより多くの人々に知ってもらいたいという強い思いが生まれたことを今回のナウシカの舞台で思いだしました。
同じように我々の使命としてプロデューサーの作品つくりへの情熱やこだわりを広く多くの人たちに伝えるために今年度はぜひともプロデューサー協会主催イベントを復活させたいと思います。2年半にわたる新型コロナ禍で実現できなかったエランドール賞授賞式やアクターズセミナー、そしてセミナーズカフェ等々です。どれもが手間はかかりますし大変でしたが参加した人たちの得るものや感動は計り知れないものがありました。
会員各位の知恵と行動に期待するところであり、是非皆さんと力を合わせて今年度のプロデューサー協会の活動を進めたいと思います。
会員間の相互の意識を高めるとともに前出の宮崎監督や鈴木プロデューサー以上に各分野で多岐にわたるご活躍をされている協会員の皆さまの力を合わせてこれらを実現していきたい所存です。またこれまでにない協会を改革する新たな取り組みも進めていきます。
これからの一年も大変なことが多いと思いますが是非楽しみながらこれからのプロデューサー協会の未来を思い描きながら頑張りましょう。
どうかよろしくお願い申し上げます。


新役員のごあいさつ

第46回 通常会員総会(2022年6月24日)
(一社)日本映画テレビプロデューサー協会

常務理事

NHK
屋敷 陽太郎

20年以上前、1年間の米国留学をした。映画製作教育に触れ、ハリウッドの制作現場を垣間見た。「好きなことを仕事にしているのだから、辛くても文句は言うな」。日本で演出助手を務めていたときに、先輩たちから聞かされた言葉とは、無縁の世界がそこにはあった。
昨今、ハラスメントや働き方の問題が注目を集めている。改善や改革に大きな貢献をしてこなかった私も責任を感じている。
加えて、ジェンダーや環境負荷についても、より良い制作現場を目指すための情報交換が不可欠だ。当協会の必要性は、これまで以上に高まっていると信じる。

常務理事

日本テレビ放送網㈱
飯沼 伸之

日本テレビ映画事業部の飯沼伸之と申します。映画、放送、パッケージ、配信と時代と共にメディアは拡大し、また、伴って映像ビジネスの多面的な展開も増え、作品作りを担うプロデューサーの役割は益々重要になってきております。
いかなるメディアの拡大も、その根幹は良質な作品を提供するからこそ実現できるものであると思います。その中心はいつの時代も作品を生み出すプロデューサーであり、この度の理事拝命につき、少しでも皆様のより良き作品作りの一助となれれば幸いです。
どうぞよろしくお願い申し上げます。

理事

TBSテレビ
片山 剛

TBSドラマ制作部の片山剛と申します。前任の鈴木より引き継ぎ拝命いたしました。至らぬ点も多々あるかと存じますが、どうぞ宜しくお願いいたします。今や、ドラマや映画というコンテンツは地上波の枠を超え、配信やグローバルなど激動の時代を迎えております。微力ではございますが皆さまのサポートに努め、より良き作品が一つでも多く世に出ていく一助になりましたら幸いでございます。

理事

日本テレビ放送網㈱
三上 絵里子

歴史ある日本映画プロデューサー協会に関わる機会を頂き有難うございます。
世界で「ストーリーコンテンツ」がものすごいスピードで増産されています。そんな今だからこそ、日本のクリエイターが、よりよい現場で、リスペクトしあって制作に従事できる環境が必要と切に感じています。
視聴する方の心に響き、残る作品を創り出す会員の皆様の活躍の一助を担えるよう尽力致します。
どうぞ宜しくお願い申し上げます。


只今撮影中

日本テレビ
能勢 荘志

日本テレビ×Hulu共同製作ドラマ
「パンドラの果実 〜科学犯罪捜査ファイル〜」

「パンドラの果実」は4月期の土曜ドラマとして全10話を日本テレビで放送し、放送終了後Season2をHuluで配信(全6話)している、放送・配信連動のプロジェクト。ディーン・フジオカさん演じる妻を亡くした警察官僚と、岸井ゆきのさん演じる天才科学者、さらにユースケ・サンタマリアさん演じるベテラン刑事が、事件の裏に潜む最先端科学を解き明かす新時代サイエンスミステリーです。
「SFは、もはや『サイエンス・ファクト』である」と言い切る人もいるほど、近年、科学技術の進歩のスピードは加速度的に増しています。私たちが生きている「今」ですら、子どもの頃には漫画やSF映画の世界でしかありえなかった物事が平気で実現しています。この5年、10年でさらに劇的に変わっていき、現実はどんどん想像を超えていく、私たちはそんな「今」を生きています。
この企画に際して、原作を読んだ時に、5年前ならただのSFだったお話が、今なら地に足の着いたドラマとして実現出来るのではないかと感じました。
そして、目まぐるしく変わっていく世界だからこそ、変わらない物、変わってはいけない事もあって、それこそがこのドラマの芯に据えるべきもの、つまりは人間ドラマなのではないかと強く思いました。
そんな企画を実現するため、共同製作ドラマプロジェクトとしてHuluとタッグを組むことになり、さらに映画で実績のある制作会社ロボットの協力を得て、数々のヒット映画を手がけてきた羽住英一郎監督がメガホンをとっています(Season1では全10話、Season2では6話中4話を監督)。
デジタルシネマの時代になって以来、もはや垣根などないも同然ですが、映画を主戦場にするスタッフと、テレビドラマのスタッフが入り混じって懸命に日々連続ドラマを作っています。
Season1の第1話では、現役のAI搭載介護支援ロボット(アイオロス)に演技をしてもらいました。また、シリーズ通して、東京都市大学の岩尾徹先生や、東京大学の小林武彦先生、東京工業大学の西山伸宏先生など10名を超える最先端科学の専門家に監修として参加していただきました。
計4名の脚本家チームで台本作りをし、撮影前に全話の台本を決定稿に出来たのも日本テレビとしては新しい試みです。
テーマとなる科学技術同様に、次々と進化し、変化していくドラマシリーズをぜひお楽しみください。


私の新人時代

東宝株式会社映画企画部
遠藤 学

私がアシスタントプロデューサーとして初めて映画製作に携わったのは2004年のこと。あの国民的コミック『タッチ』の実写化作品だった。生まれて初めて全巻取り揃え、熱中して読んだ漫画である。中学時代は野球に明け暮れ、高校時代には応援団も経験し、スタジアムの熱狂を体感していた。しかも、監督は『ジョゼと虎と魚たち』の犬童一心監督。思い入れが強い作品だからこそ、喜びよりもプレッシャーのほうが大きかった。
「エキストラを1万人集めてほしい」。ある日、先輩のYプロデューサーに告げられた。予算の都合上、自前で集めなければいけないという。私は頭を抱えてしまった。高校野球の決勝戦のあの熱気。あれを再現するには確かに大応援団の迫力は不可欠だ。だが、多い日で3500人、少ない日でも1500人。それを一週間。どうやって集める? 撮影場所が大宮球場に決まると、埼玉フィルムコミッションに協力を仰ぎ、演出部の先輩と県内の高校を駆けずり回った。新聞に告知記事も掲載した。本当に集まるだろうか。不安で迎えた撮影初日、大型バスが続々と到着し、球場のスタンドはびっしりと埋まった。本物の熱気を目の当たりにしたあの時、多くの人々の協力があって初めて成り立つ映画のダイナミズムに触れた瞬間だった。初日の池袋、満席の客席に涙したY先輩の姿が忘れられない。
次に企画した『眉山︱びざん︱』(07年)もまた、阿波おどりという徳島のエネルギーが充満する祝祭空間の再現が必要な作品だった。この時は地元の企業・団体を中心に支援委員会が設立され、のべ2万人以上のエキストラにご協力頂いた。公開後は、幸いなことにロケ地巡りの観光客も増え、今も徳島の方々とは親交が続いている。
映画は、多くの才能と経験が結集し、その化学反応が時にとてつもないエネルギーを生み出す。両作品とも、多くの方々の献身的な協力と熱量なしには決して成立しなかった。今でも創造に対する熱量は必ず画に映り、時代を超えて届くものだと信じている。


事務局だより

 ◎正会員入会

大和 健太郎(テレビ東京)
森田 昇  (テレビ東京)
本間 かなみ(テレビ東京)

 ◎退会

松本 拓 (テレビ東京)
倉地 雄大 (テレビ東京)
伊藤 響 (日本テレビ放送網)

 ◎訃報

久松 定隆(特別功労元電通)

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