会報

2022.09.13

会報

No.499 2022年 9月号

国際ドラマフェスティバルinTOKYOと東京ドラマアウォード
「世界に見せたいドラマがある!」

国際ドラマフェスティバルinTOKYO
エグゼクティブプロデューサー
副会長 香月 純一

昨年から重村一副会長のあとを受けて担当しています香月純一です。改めましてどうぞよろしくお願いいたします。国際ドラマフェスティバルin TOKYOは、日本ドラマの海外発信を目的とした、日本初の国際的なドラマ祭で2007年から開催されています。主催は民間放送連盟、NHK、映画・ドラマ制作者、実演家団体などで構成する「国際ドラマフェスティバルin TOKYO実行委員会」で言わば“オールジャパン”の体制です。
韓国や中国のドラマ作品は日本をはじめアジア各国で盛んに放送され多くの視聴者を獲得しています。その背景にはアジア各国がテレビ番組に対する援助を行うとともに、この種の国際コンテストやアウォードを展開し、コンテンツ流通の促進を図っていることがあり、この面では日本は大きく出遅れています。逆に言えば、まだまだ“伸びしろ”があります。国際ドラマフェスティバルを契機として日本テレビの「マザー」「WOMAN」はトルコでリメイクされ大ヒットしました。またTBSの「愛なんていらねえよ、夏」もトルコでリメイクされると発表されました。
さらに今年に入ってからも第94回アカデミー賞で濱口竜介監督「ドライブ・マイ・カー」が作品賞・監督賞・脚色賞にノミネートされ国際長編映画賞を受賞、第75回カンヌ国際映画祭では是枝裕和監督「ベイビー・ブローカー」がエキュメニカル審査員賞と主演男優賞(ソン・ガンホ)を獲得し、また早川千絵監督が「PLAN 75」でカメラドール特別表彰を受けるなど、日本発のコンテンツへの注目度は高くなっています。
第2回となる「国際ドラマフェスティバルin TOKYO 2008」よりドラマ賞である「東京ドラマアウォード」が創設され、この賞の授賞式が本フェスティバルのメインイベントとなっています。国内の優れた作品を表彰しますが、この賞は従来のテレビ番組の賞とは異なり、世界各国での市場性や商業性に評価基準を置いたものになっています。
そしてもう一つの特徴がドラマ制作者が選ぶ賞であることです。第一次審査は当協会の会員のみなさまの投票の結果を反映します。第二次審査も民放各局とNHKのプロデューサーが中心です。またローカルドラマ賞に関しては、当協会の選抜メンバーが審査にあたります。
私は三年前から「東京ドラマアウォード」の選考に関わっていますが、各局の選考委員のみなさんが自局のドラマだけでなく他局のドラマもたいへんよく視聴し、またフェアに評価していることに感銘を覚えました。
まだ10月末の授賞式がどのような形態になるのかは検討中ですが、本年の「東京ドラマアウォード」にぜひご注目ください。


新理事のごあいさつ

NEP
高橋 練

この度、新理事を拝命しました高橋と申します。日本映画テレビプロデューサー協会は、協会報の委員を2回担当した以外は接点がなく、全く遠い存在でした。恥ずかしながら正直今でもその役割・全貌・業務等々わかっていないところだらけなのですが、まずはプロデューサーズ・カフェなど実務に関わる中で、今の時代に即したプロデューサー協会の業務を見つけていければ、と思います。コロナ禍でさまざまなことが大きく変わりましたが、新たな時代の協会および会員の皆様に少しでも役に立てるように努めます。何卒よろしくお願いします。

NHK
岡本 幸江

歴史ある日本映画テレビプロデューサー協会に関わる機会をいただき、誠にありがとうございます。
地方都市に住んでいた40年前の学生にとって、テレビや映画館で見る様々な物語は、まさに世界への、社会への入り口を開いてくれる存在であり、口をぽかんと開けて夢中になって見つめる対象でした(実は、今もそうですが)。
コンテンツビジネス大変革の時代、世界各地のかつての私のような存在を、以前より少し近くに感じています。会員の皆様が生み出す珠玉の物語が、少しでも多くの方に届くよう微力ではございますが努めてまいります。どうぞよろしくお願いいたします。


プロデューサーズ・カフェ&セミナーについて

カフェ&セミナー委員会のNHKエンタープライズドラマ部、山本敏彦です。今年度のカフェ&セミナーの活動状況について報告させていただきます。
新型コロナ感染拡大の影響のため、昨年度はカフェ&セミナーの開催を全て断念しました。今年も、年度当初は対面リアル開催を目指しセミナーを準備していましたが、新型コロナ第7波の影響もあり、今のところ年度後半開催を目指しています。委員会としましては、今年は対面リアルを諦め、オンラインでのセミナー開催を検討中です。ただし、450名を超える会員や関係者からのアクセスに耐えられるシステムを整備し、開催にこぎ付けたいと考えています。
今回のセミナーのテーマは、世界的にも関心が高い「ジェンダー」の問題です。講師には、治部れんげさん(東京工業大学リベラルアーツ研究教育院准教授。内閣府男女共同参画計画実行・監視専門調査委員会ほか)をお招きしたいと考えています。著書に「ジェンダーで見るヒットドラマ」などを執筆された治部れんげさんにお願いする予定です。治部さんは、国内外の映画やドラマを数多く視聴され、「ジェンダー」についての鋭い指摘と分かりやすい解説でセミナー講師に適任だと考えています。また、開催日時など決まりましたらお知らせしますので、是非とも皆様のご参加をお待ちしております。


只今公開中

東映 映画企画部
小出 大樹

「ヘルドッグス」

「東映といえば、任侠映画だよね。」「孤狼の血、よかったよ」と、いっていただけることが多いのですが、今作では、舞台となるのは任侠組織でも、まるで洋画のような、ノワールな世界観を目指したものを作ろうと企画され、深町秋生さんの『地獄の犬たち』を原作に、原田眞人監督が、スタイリッシュな群像劇へと演出されました。
復讐のみに生きてきたがために道を踏み外した元警察官・兼高は、関東最大のヤクザ組織に潜入させられ、組織のトップ・十朱が持つ秘密ファイルの奪取を課されます。兼高がバディを組むのは、相性98%とされるイカれた男・室岡。兼高は正体がバレることなく、任務を達成できるのか、兼高と室岡の男の友情はどこに向かうのか。三つ巴であり、男たちの三角関係が、今作の大きな魅力です。
主役の兼高を演じるのは、東映配給作品でご出演いただくのは『フライ・ダディ・フライ』以来の岡田准一さん。これまでの、岡田さんのイメージとは一線を画すほどの、ハードでマッシブ、時に冷酷な潜入捜査官姿に思わずシビレます。そんな岡田さんの相棒となる室岡役は、坂口健太郎さん。優しい雰囲気などは一切ないほどの狂犬と化し、甘い顔をしたときが、むしろ一番の狂気を感じます。劇中で相性98%とされる、このバディですが、撮影の合間も、おふたりで、組み手一つ一つを丁寧に確認し、岡田さんの経験に裏付けされた意見を、坂口さんも取り入れながら、アクションを組み立てられていたのが印象的でした。吹き替えに頼らないアクションシーンを、どうやって実現していくかという撮影時のコミュニケーションを通して、相性98%に近づいていったように思えます。実際撮影されたものは、バディアクションは息もぴったしで、思わず、見入ってしまうものになりました。そして、そんな、ふたりのピュアな関係が最終的にどうなってしまうのかは、ぜひ見届けていただきたいです。
また、このふたりのまわりを固めるキャラクターたちも、とにかく濃いのも魅力です。
ザ・任侠な組織のボス役に、北村一輝さん、兼高の恋仲でありボスの愛人役に松岡茉優さん、警察からのメッセンジャー役に大竹しのぶさん、組織のトップでありインテリヤクザ・十朱役にMIYAVIさん、などなど。実録路線ではない、今作独特のエキゾチックなフィクションの世界観を彩り、目まぐるしい展開が引き立っています。
新たな形の任侠作品になったかと思います。ご期待ください。


私の新人時代

NHKメディア総局
第3制作センター(ドラマ)チーフ・プロデューサー
倉崎 憲

ドラマ初任の私が初めて入ったのが大河ドラマ「平清盛」。約1年半この作品を全うするなかであらゆる失敗をしてきました。リハで欠席の役者がいたら助監督がスタンドインするのですが、あろうことか中村梅雀さんに代わり私が松山ケンイチさん・松田聖子さん・中井貴一さんという豪華キャスト陣とのシーンを代役することに。緊張から噛み噛み…すると中井貴一さんから「ちゃんとやれ!」とお叱りが…。それ以来、リハ前日は何度も役者になりきって練習するようになりました。
瀬戸内海での大規模な海ロケでは、見切れてもいいように自身も商人などの衣裳を着て船に乗って現場を仕切るわけですが、はりきりすぎて動き回って衣裳を派手に破いてしまったり…色々と失態続きでした。
「平清盛」の後は別ドラマの助監督などしつつ、演出をしてみたいとラジオドラマの企画を探っていたところ、川村元気氏の初小説「世界から猫が消えたなら」と出会い、心震えラジオドラマ化することに。主人公に妻夫木聡さんを迎えたく、キャリアも名もない24歳の企画でどうしたら出てくれるだろうと考え、手紙を書くしかないと。原作と妻夫木さんへの愛を書き連ねマネージャーに手渡したところ、約一週間後にマネージャーから電話が。「熱い手紙をありがとう。本人も読みました。ただね、倉崎さん…。妻夫木聡の“聡”の漢字間違えてましたよ。“恥”になってました」。えーー……。何回も読み直したはずなのに…頭が真っ白になり、“私は貝になりたい”という感情に……しかしです。「でもどんなディレクターなのか会ってみたいと言ってます」とご出演していただけることに。この作品はイタリア賞にもノミネートされ、世界各国の作品からトップ3に選出されました。授賞式があったトリノでは各作品を自由に読み聴きできるブースが会場近くにあり、そこで「世界から猫が消えたなら」の英訳台本を外国人が次々に手に取って作品を聴いているのを目の当たりにした時、鳥肌が立つほど心が震えました。
自身が感動したものを物語にできて、人種問わず誰かに触れてもらえることの喜びを初めて知りました。志は新人時代も今も変わらず「世界中のスタッフと共に、世界中の人々の心を震わせる物語を作りたい」。生きる喜びを感じられるような作品作りを粘り強くやっていきたいです。


事務局だより

◎正会員入会

紀伊 宗之(東映)
小出 大樹(東映)
渡邊  悟(NHK)
村山 峻平(NHK)
倉崎  憲(NHK)
松園 武大(NHK)
土橋 圭介(NEP)
神林 伸太郎(NEP)
北野  拓(NEP)
藤原 敬久(NEP)
櫛山  慶(NTV)
河西 秀幸(関西テレビ)
野田 悠介(フジテレビ)
三竿 玲子(フジテレビ)
金城 綾香(フジテレビ)
草ケ谷 大輔(フジテレビ)
高田 雄貴(フジテレビ)
玉井 宏昌(フジテレビ)
岡田 翔太(フジテレビ)
野﨑  理(フジテレビ)
水戸 理恵(フジテレビ)
宋  ハナ(フジテレビ)

◎退会

吉永  証(NHK)
海辺  潔(NHK)
家喜 正男(NEP)
内藤 慎介(NEP)
椋樹 弘尚(角川大映スタジオ)
牧野  正(フジテレビ)
永山 耕三(フジテレビ)
宮本 理江子(フジテレビ)
後藤 博幸(フジテレビ)
桑田  靖(フジテレビ)
前田 久閑(フジテレビ)
太田  大(フジテレビ)
梶本  圭(フジテレビ)
河井 眞也(フジテレビ)

◎訃報

加藤 正俊(理事、日本テレビ放送網株式会社)2022年8月2日逝去 54歳


第73回プロデューサー協会 親睦ゴルフ会を次により開催予定です。

《日時》2022年11月19日(土曜)
《場所》越生ゴルフクラブ


インフォメーション

◎会合・会議の記録

  • 7月19日(火) 18時30分~ 第47期 第1回定例理事会(東映本社8階会議室)
  • 8月23日(火) 17時~   第2回会報委員会(オンライン)

◎会議の予定

  • 9月20日(火) 18時30分~ 第47期 第2回定例理事会(東映本社8階会議室)

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