会報

2023.10.10

会報

No.508 2023年 9月号

国際ドラマフェスティバルinTOKYOと東京ドラマアウォード
「世界に見せたいドラマがある!」

副会長
国際ドラマフェスティバルinTOKYO
エグゼクティブプロデューサー  香月  純一

一昨年から重村一特別顧問のあとを受けて担当しています香月純一です。改めましてどうぞよろしくお願いいたします。国際ドラマフェスティバルin TOKYOは、日本ドラマの海外発信を目的とした、日本初の国際的なドラマ祭で2007年から開催されています。主催は民間放送連盟、NHK、映画・ドラマ制作者、実演家団体などで構成する「国際ドラマフェスティバルin TOKYO実行委員会」で言わば“オールジャパン”の体制です。
韓国や中国のドラマ作品は日本をはじめアジア各国で盛んに放送され多くの視聴者を獲得しています。その背景にはアジア各国がテレビ番組に対する援助を行うとともに、この種の国際コンテストやアウォードを展開し、コンテンツ流通の促進を図っていることがあり、この面では日本は大きく出遅れています。逆に言えば、まだまだ“伸びしろ”があります。国際ドラマフェスティバルを契機として日本テレビの「マザー」「WOMAN」はトルコでリメイクされ大ヒットしました。またTBSの「愛してると言ってくれ」「アンナチュラル」「最愛」は韓国でリメイクプロジェクトが進んでいます。
さらに今年に入ってからも第76回カンヌ国際映画祭で坂元裕二さんが「怪物」で脚本賞を受賞、役所広司さんが「パーフェクト・デイズ」で男優賞を受賞するなど、日本発のコンテンツへの注目度は高くなっています。
第2回となる「国際ドラマフェスティバルin TOKYO 2008」よりドラマ賞である「東京ドラマアウォード」が創設され、この賞の授賞式が本フェスティバルのメインイベントとなっています。国内の優れた作品を表彰しますが、この賞は従来のテレビ番組の賞とは異なり、世界各国での市場性や商業性に評価基準を置いたものになっています。
そしてもう一つの特徴がドラマ制作者が選ぶ賞であることです。第一次審査は当協会の会員のみなさまの投票結果を反映します。第二次審査も民放各局とNHKのプロデューサーが中心です。またローカルドラマ賞に関しては、当協会の選抜メンバーが審査にあたります。
今年からはノミネート段階から「エントリー制」を導入しています。各テレビ局が制作と番組販売の両分野の議論を踏まえて絞った作品に投票いただきました。より「世界に売れる、売りたいドラマ」が選ばれていくことになります。
私は四年前から「東京ドラマアウォード」の選考に関わっていますが、各局の選考委員のみなさんが自局のドラマだけでなく他局のドラマもたいへんよく視聴し、またフェアに評価していることに感銘を覚えました。
今年の東京ドラマアウォード授賞式は10月24日(火)に東京プリンスホテルで開かれます。授賞式がどの程度開かれた形態になるのかは検討中ですが、本年の「東京ドラマアウォード」にぜひご注目ください。


アクターズセミナー賞選定オーディション2023開催のご案内

アクターズセミナー委員長  椿 宜和

2019年以降コロナ禍の影響により中止しておりました若手俳優の登竜門「アクターズセミナー賞選定オーディション」2023開催のご案内です。
奥田会長を審査委員長とし各社審査員、映像産業振興機構(VIPO)「ndjc若手監督作家育成プロジェクト」のndjc若手監督ならび担当プロデューサー参加のもと、10月17日火曜日『東京ミッドタウン日比谷・日比谷三井カンファレンス』にて開催が決定しました。今回は、フジテレビから演出家をお呼びしてのワークショップです。
コロナ禍前には、250名を超える応募があり、アクターズセミナー参加者の中から「ndjc若手監督作家育成プロジェクト」作品に出演して大きな評価を受けました。今年も多くの応募者と出演者が出ることを期待しております。
アクターズセミナーの最大の売りは、若手俳優たちが映画・テレビドラマの監督・プロデューサーと直接対話し、自分を売り込むことが出来るイベントです。監督・プロデューサーたちが俳優にどのような考えを持っているか、どのようにキャスティングしているかを若手俳優自身が肌で感じることができ、自分がどのように監督・プロデューサーから見られたかを認識し、俳優とは何かを感じとる場になると思われます。勿論、監督・プロデューサーにとっても魅力ある若手俳優の発掘の場でもあります。
開催にあたり、審査員のご選出およびみなさまの温かいご支援ご協力をお願い申し上げます。


第48期プロデューサー協会各委員会始動

この3年のコロナ禍がようやく局面が変わり、委員会活動も今年度は活発化してまいります。今後とも、会員の皆さまのご協力、引き続きお願い申し上げます。

事務局長  市川 哲夫

◆委員会役員紹介

◎組織強化・事業開発委員会(13名)
委員長 奥田 誠治(松竹)
副委員長 香月 純一(東映衛星放送)
若泉 久朗(KADOKAWA)
松崎  薫(フジテレビジョン)
那須田 淳(TBSテレビ)
屋敷 陽太郎(日本放送協会)
◎会報委員会(10名)
委員長 木下 真梨子(テレビ東京)
副委員長 香月 純一(東映衛星放送)
◎著作権委員会(3名)
委員長 屋敷 陽太郎(日本放送協会)
◎総務委員会(3名)
委員長 渡辺 紘史(フリープロデューサー(NHK))
副委員長 富山 省吾(日本映画大学)
◎親睦委員会(5名)
委員長 髙橋 信仁(フリープロデューサー(松竹))
副委員長 山本 秀人(NHK出版)
◎デジタル編集委員会(13名)
委員長 木田 幸紀(フリープロデューサー(NHK))
副委員長 遠藤  学(東宝)
山本 敏彦(NHKエンタープライズ)
◎エランドール賞委員会(21名)
委員長 屋敷 陽太郎(日本放送協会)
◎プロデューサーズ・カフェ委員会(9名)
委員長 高橋  練(NHKエンタープライズ)
◎アクターズセミナー委員会(11名)
委員長 椿  宜和(KADOKAWA)


只今撮影中

松竹 映像企画部テレビ企画室
松田 裕佑

NHK BSプレミアム4K「広重ぶるう」

10年に1度といわれるほどの酷暑の中、スタッフ・キャストが一丸となって京都・太秦で撮影している今作。梶よう子さんの『広重ぶるう』を原作とし、ベロ藍で世界に衝撃を与えた浮世絵師・歌川広重の知られざる半生、そして彼を愛し、支え続けた妻・加代との夫婦の物語となっています。主演を務めるのはヒューマンドラマ・コメディー・サスペンスとジャンルを問うことなく、大河ドラマでも主演をされ、舞台にも毎年のように出演されている阿部サダヲさん。学生時代から出演作品を見ており、いちファンとしてプロデューサー・主演という形でご一緒できていることは私にとって夢のような時間です。
阿部さんにはクランクイン前から日本画の先生の指導を受けていただきました。クランクインされてからも宿泊しているホテルで自主練をされており、寝落ちしてしまった日もあったとか…。努力の成果もあり、実際の撮影ではNGを出すことなく、カメラ脇に立つ先生が満面の笑みで両手で丸を作っておりました。アダチ版画研究所にも全面協力いただき、当時の浮世絵作品を再現しております。美術館などに収蔵されている浮世絵は劣化しているものが多く、本来の色彩が薄まっていますが今作で登場する作品は忠実に再現されており4Kで是非堪能していただきたいです。
今作では浮世絵師・歌川広重が定火消(江戸の消防士)であったという多くの人が知らない史実を描いており、定火消として刀を差し、火の見櫓から江戸の空をいつも眺めていた広重。江戸の火を消しに行く様は「バックドラフト」さながらのシーンとなっております。
これまでに数々の浮世絵をテーマにした作品がありましたが、今作では浮世絵師だけではなく版元・摺り師など1枚の浮世絵を作るのに多くの人間が携わっていることを見ていただけます。作品を1人のアーティストだけで作り上げるのではないという部分は、映像制作と似ており、監督・脚本家・キャスト・スタッフ全員で1つの作品を作り上げる素晴らしさを再認識することができました。
当時、世界一安いアート作品として人々を魅了した浮世絵。今でも世界中の美術館に収蔵されています。今作を一人でも多くの方に見ていただき、広重の人間味、作品の裏に隠されたストーリー、浮世絵の素晴らしさを楽しみつつ是非ご覧になっていただきたいです。


私の新人時代

東映ビデオ
川﨑  岳

「お前ももうちょっと『ヘラヘラ』するといいんだけどなぁ」
これは今から19年前、初めてプロデューサーとして就いた作品の打ち上げ会場で、セントラル・アーツの黒澤満社長が、私の顔をまじまじと見つめながら仰ったお言葉です。黒澤社長をはじめ当時の先輩の皆様は本当に人間的な魅力に満ち溢れた方が多く、こちらが悩んでいる時には、絶妙で、カッコよくて、一生忘れられない様な言葉をかけて下さることが多々ありました。ですが、この「ヘラヘラ」についてだけはよく意味が分からないまま「はいっ! ヘラヘラ!?」と訳の分からないお返事をしてしまい、以降ずっと「ヘラヘラって何だろう?」と考えておりました。
私は当時、第二企画製作部という部署でカラオケのお仕事をさせてもらっていたのですけれど、社内の企画コンペで偶々企画が採用され、黒澤社長のご推薦もあってプロデューサー業務にも挑戦する機会を頂けました。
しかし、映画製作の経験が全く無いくせに鼻息だけ荒く臨んだものですから、いい歳の大人が毎日ぎゃあぎゃあ大騒ぎしては、結城良熙プロデューサーにもご迷惑をお掛けしてばかりでした。三十路の新人が常に「カリカリ」しながら、ちょっとした調整や監督への相談でも酷く力んで、いちいち焦って、恥ずかしい記憶が山の様にあります。それでも、撮影監督の高瀬比呂志さんをはじめスタッフの皆様に見守って頂きながら、何とか完成まで辿り着けたのですけれど、当時は自分本位な意識ばかりが強くて、一人で深刻ぶっては日々「ギスギス」していた様に思います。
思い返せば、黒澤社長は恐らくこうした私の様子をご覧になって冒頭のお言葉をかけて下さったのだろうと思うのですが、今となっては改めてお訊きすることも叶いませんし、もしもう一度お会い出来たなら、せめてニコニコ笑いながら「ありがとうございました!」と明るくお伝えしたいのになぁと後悔するばかりです。
というわけで「ヘラヘラすべし!」とやみくもに決意した私は、その後『HK/変態仮面』という作品に関わったりもするのですけれど、きっとそういう意味じゃないよなぁと思ったりしながら、今でも「ヘラヘラすべく」日々を過ごしています。


事務局だより

◎正会員入会

桑野 智宏(日本放送協会)
清水 拓哉(日本映画放送㈱)
百瀬 広基(日本映画放送㈱)

◎退会

小西千栄子(日本放送協会)
丸山 真哉(東映株式会社)
藤井 理子(日本映画放送)
三瓶 祐毅(日本映画放送)

◎訃報

伊藤 暎(功労会員(㈱仕事)7月19日逝去 76歳
三鬼一希(NHK大阪放送局)2022年11月19日逝去 53歳

第75回  協会親睦ゴルフ会

《日時》2023年11月19日(日)
  越生ゴルフクラブ
  8時40分集合・
  9時10分インスタート(5組予定)

《会費》22,000円予定
  (プレー費、パーティ―費、商品代含む)


インフォメーション

◎会議の記録

  • 7月18日(火) 18時30分~ 第2回定例理事会(東映本社8階会議室)
  • 7月25日(火) 17時00分~ 会報委員会(リモート)
  • 8月21日(月) 15時00分~ 東京ドラマアォード地域ドラマ会議(事務局)
  • 8月23日(水) 17時00分~ 会報委員会(リモート)
  • 8月29日(火) 18時00分~ セミナーカフェ委員会(リモート)
  • 9月5日(火) 18時30分~ 第3回定例理事会(東映本社8階会議室)
  • 9月6日(水) 18時00分~ デジタル編集委員会(リモート)

◎会議の予定

  • 9月中 日時未定  第1回アクターズセミナー委員会(リモート)
  • 9月25日(月) 18時30分~ 第1回エランドール賞委員会(リモート)

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