会報

2025.03.20

会報

No.522 2025年 3月号

伝統を引き継ぐことの大切さと難しさと

日本テレビ コンテンツ制作局

能勢 荘志

去る2025年2月6日(木)第49回エランドール賞授賞式が開催されました。
まさに『黄金の飛翔』の名に相応しい、素晴らしい作品を残されたプロデューサー賞・特別賞受賞者のみなさま、数々の心に残る活躍をされた新人賞受賞俳優のみなさまに改めてお祝いの言葉を述べさせていただくとともに、エランドール賞委員のみなさま、またアテンド等々ご協力いただいた各社のみなさま、協会事務局及び協会員のみなさまに心よりの御礼を申し上げます。
と、無事にこの一文を書くことができて、心からホッとしています。
「ヤバい! これを成立させるのは、今のウチには無理かもしれない」
それが、昨年幹事のNHKさんが、当時の屋敷委員長以下、ほぼ自局の人員だけでスマートかつ完璧に式典運営を完遂された授賞式を目の当たりにした、偽らざる感想でした。一昨年のフジテレビさん担当回から、いよいよ弊社に回ってくるであろう運営幹事という重責に、小心者の私は胸を押しつぶされるような思いでした。
コロナ禍の式典中断期間もあって、日本テレビに運営幹事が回ってくるのは2018年の2月以来、実に7年ぶり、当時の担当者も既に退社していたりと、社内には全く当時のノウハウが残っていませんでした。 とはいえ、今回で49回を数える伝統あるエランドール賞。受賞者、プレゼンターは錚々たる面々、さらに新人賞受賞者にとっては俳優人生でたった一度の晴れの場、絶対に失敗は許されません。もうこれは恥も外聞も局の壁もプライドもへったくれもなく、積み上げられた過去回の伝統を頼りに、必死に引き継ぐしかないと考えました。
頼りになったのは、コロナ禍からの再開後、見事にリアル開催を復活された前々回のフジテレビさんと、その後さらにブラッシュアップされた前回のNHKさんの知見と資料でした。惜しみなくそれらをご提供いただいたフジテレビの松崎様、保原様、ご自身も引き継ぎ直後でご苦労される中で筆舌に尽くしがたいご協力をいただいたNHK菓子委員長と、石澤様、本当にありがとうございました。
みなさまのご協力と、弊社委員の飯沼と準備実務を担ってくれた櫛山、当日手伝ってくれた弊社ドラマ班や映画Divのメンバー、何より協力会社や京王プラザホテルのプロフェッショナルの方々のおかげさまで、式典は終始順調に、マキ気味に進行し、与えられた時間を大幅にオーバーすることもなく、無事に開催することができました。
次回、運営幹事はテレビ朝日さん。そして、来年は第50回という記念すべき会です。決してプレッシャーをかけているわけではありません、ぜひ一社で抱え込まず、我々含め他社の委員を頼ってくださいませ。エランドール賞の伝統を映画会社、放送局、会員各社みんなの協力で引き継いでいきましょう。



エランドール賞 受賞コメント

○映画プロデューサー賞
映画「ラストスマイル」
TBSスパークル
新井 順子

大変素敵な賞をいただきまして、ありがとうございます。
私は長年ドラマ畑で育ってきて、映画初心者だったので、「ラストマイル」本当に新人のような気持ちで学ばせていただきながら作った作品でございます。
また、この賞を機に精進してまいりたいと思います。


○映画プロデューサー奨励賞
映画「正体」
TBSスパークル
水木 雄太

このたびは素敵な賞を頂きましてありがとうございます。『正体』は私にとって初めての企画・プロデュース作品ですが、映画が完成し公開を迎えても、自分がプロデューサーとしての責務を全うできていたのか不安でした。今回の受賞は、偉大な先輩方からの、これからも日本映画を盛り上げていって欲しい、という激励と受け止めています。感謝と共に、とても身が引き締まる思いです。今後ともどうぞよろしくお願いいたします。


○テレビプロデューサー賞
ドラマ「虎に翼」
尾崎 裕和

素晴らしい賞をいただきありがとうございます。法学の世界に「法の目的は平和であり、その手段は闘争である」という言葉があって、「虎に翼」を企画した時からずっと心に留めているのですが、吉田恵里香さんの理想的な脚本があって、それを実現するために伊藤沙莉さんをはじめとする出演者、関わったスタッフ全員で一緒に闘って作り上げたのが「虎に翼」という作品だと思っています。みなさんに改めてありがとうと伝えたいです。


○テレビプロデューサー奨励賞
ドラマ「不適切にもほどがある!」
磯山 晶
天宮 沙恵子

この度は、私と天宮沙恵子Pをテレビドラマ部門のプロデューサー奨励賞に選んでいただき、本当に感謝しております。
『不適切にもほどがある!』は、「放送したらどんだけ怒られるだろう?」とビクビクしながら企画したドラマですが、蓋を開けたら、人生でこんなに表彰されることは、二度とないだろうと思うくらい、たくさんの賞を頂戴しました。昭和の価値観でハラスメントを繰り返し、どこでも喫煙する「意識低い系」の中年オヤジの物語が、ここまで褒められるとは思ってもみませんでした。なんでも真剣に考えて作ることが大事だなあとしみじみ思っています。一緒に悩んでアイディアを出してくれたスタッフ、振り切った演技ですべてをねじ伏せてくれたキャスト、信じられないほど面白い脚本を書いてくれた宮藤さん、全員のおかげです。本当にありがとうございました。


○特別賞
映画「侍タイムスリッパー」
安田 淳一

プロデューサーとして評価して頂いたのがとても嬉しいです。
釈迦に説法でしょうが「映画」は、「良質な作品」を生み出す作り手だけでなく、「作品を広く世に広めていく」送り手の関係が、どちらも欠く事の出来ない両輪だと思うからです。
送り手として冷静に戦略を進めていくだけでなく、その過程で様々な人々に助けて頂いてやっと作品がお客様に届くのだという事を胆に銘じたいと思います。
本当に有難うございました。




只今撮影中

「三木孝浩監督最新作」

TOHOスタジオ 企画制作部 プロデューサー

片平 大輔

片平 大輔

私事で恐縮ですが、2024年1月に現在のTOHOスタジオ株式会社に入社致しました。当時50歳での新入社員ということで、正月から襟を正して東宝スタジオに向かったのを思い出します。それから約1年経ち、初プロデューサーとして関わる事になったのが今作の三木孝浩監督作品になります。しかし、三木監督とはこれが初めてというわけではありません。自分はTOHOスタジオに入社する前は、フリーの制作部として映画制作に携わってきました。今までたくさんの作品に制作部として参加させていただきましたが、三木監督の作品が実は一番多くて、映画だけで言えば全部で6本になり、今回で7本目になります。なので比較的、気持ちも楽に初プロデューサー業に関わることができてよかったと思っています。
比較的若い世代の恋愛や人間模様を描くことが多い三木監督ですが、今作は舞台が葬儀社ということもあり、主人公は新人の葬祭プランナーではあるものの、そこに訪れる様々な人生における別れについては、今まで描いてきた恋愛や別れとは別の、もっと身近で普遍的でありながら、人生の中で誰しもが一度は必ず訪れる死という尊い瞬間を、お葬式という儀式の中に描かなくてはならないという、今までにない題材を扱うことになっております。お葬式の映画というと、伊丹十三監督の「お葬式」から米アカデミー賞外国語映画賞、日本アカデミー賞最優秀作品に選ばれた滝田洋二郎監督の「おくりびと」があります。今回、作品全体の葬儀監修としてお願いしたのは、その映画「おくりびと」で納棺師の監修に当たった木村眞二さんを父親に持つ木村光希さんにお願い致しました。木村さんは納棺師でありながら、納棺だけではなくお葬式全体の進行を行うことができるプランナーとして葬儀をプロデュースする葬祭ブランド「おくりびとのお葬式」を立ち上げ、また人材育成のための「おくりびとアカデミー」を設立しております。そして、NHK「プロフェッショナル-仕事の流儀」にもご出演され、父親の納棺技術を広く世間一般に普及されています。
今作は新人葬祭プランナーと先輩葬祭プランナーのバディものとしてお仕事映画の側面も持ち、令和の「おくりびと」を目指すべく監督含め、演出部、キャストのみなさんもお葬式に関しては知識が豊富になってきています。しかし今作で一番大事にしていることは、亡くなった故人様と遺された遺族の「区切り」としての儀式を、主人公たちがいかに寄り添い、心残りなく送り出せるかという心持ちの部分であり、クランクイン前にも葬儀監修の木村さんとキャストで勉強会を行い、その姿勢を学んだりしました。スクリーンにもいかに葬儀社の方々が遺族に寄り添えるのか、その苦悩とその喜びが映し出されたらよいと思っています。葬儀場のシーンは実際の葬儀社の式場をお借りしての撮影でした。友引に限定されたスケジュールではありましたが、やはり本物の式場の雰囲気が画面越しにも伝わってくると思います。いくつかの葬儀のシーンもこういった葬儀社の方々や、葬儀にまつわる関連の業者さんの助けがあって作り出すことができました。徹底的にリアルにこだわりながら、一方でちょっとした魔法のスパイスが作用して見る者の気持ちを癒してくれるはずです。この作品が、世代を超えて多くの方々に届けられる日を今から楽しみにしております。

「三木孝浩監督最新作」


私の新人時代

NHKコンテンツ制作局 第3制作センター(ドラマ)

深川 貴志

深川 貴志

“♪今日がとても楽しいと明日もきっと楽しくて~”浜崎あゆみさんの曲が流れる2000年、スポーツの記者を目指していた大学3年の私はNHK名古屋でアルバイトを始めました。それは「中学生日記」の助監督でした。ドラマは神々が作るモノと思っていましたが、スタッフの皆さんが悩みながら撮っていることに驚き、そして素人中学生の芝居が面白いと思いました。明後日も来月も楽しくて~という気持ちになり、ドラマの演出家を目指し始めました。
01年、NHKの採用試験を受けましたが、エントリーシートすら通過せず落選。“♪近づきたいよ君の理想に~”と、不貞腐れながら制作会社に入社。主に中学生日記を演出する毎日で、「中学生日記っぽいお芝居」という言葉に“♪おとなしくなれない~”という気持ちでした。
07、08年とNHKの中途採用試験に落ち、09年、当時の彼女と「今年でNHKはそろそろ、ね。落ちたら私たちも、ね。」と約束。“♪僕らはずっと待ってるいつまでだって待ってる~”とはいかねぇなぁと思っていたら、なんと採用! 彼女と結婚! 2010年NHK入局。“♪ありがとうって伝えたくて~”と感謝しながら、佐賀局を経て34歳で東京ドラマ部へ。新卒の20代前半や、地方局を経た20代後半の皆さんと働く中で“♪いまゆっくりと歩いていこう~”の気持ちを大切に取り組みました。
憧れの「連続テレビ小説」や「大河ドラマ」に関わり、たくさん失敗し、たくさん怒られ、たくさん迷惑をかけてきました。それは、現在制作中の大河ドラマ「べらぼう」でも変わっておらず、新人時代に想像した神々にはなれていません。でもその姿が、ある意味で今の新人たちの希望になっているかもしれません。“♪ForeverYoungあの頃の君にあってForeverYoung今の君にないものなんてないさ~”。多彩な音が鳴り響く中で自分のテーマを探していこうと思います!



事務局だより

◎退会

堀之内 礼二郎 (日本放送協会)

会員証に関する大切なお願い

2025年3月31日となっている会員証をお持ちの方は更新の時期となりました。
よって2028年3月31日期限の新しい会員証を発行し、この会報と共に同封いたします。
同封されていない方は、顔写真の提供がないため(10年以上前の写真の場合含む)発行できずにおります。
大変お手数ですが、jpgデータにて送信(info@producer.or.jp)顔写真を送信してください。
直ちに発行してお送りいたします。
ご理解ご協力のほど、よろしくお願いいたします。

エランドール賞授賞式番組放送の予定

放送局 :BS日本映画専門チャンネル(無料放送)
放送回数:全6回
放送期間:2025年3月15日(土)~4月末日
放送日時:初回放送 3月15日(土)11:00~(60分枠)

リピート放送 3月20日(木)9:00~/3月30日(日)24:40~
4月中に3回リピート放送予定

視聴方法:BS放送の日本映画専門チャンネルに、チャンネルを合わせていただければ、ご登録せずにどなたでも無料でご視聴頂けます。(ノースクランブル放送)
配信先: 日本映画専門チャンネル公式YouTube
https://www.youtube.com/user/kinemaniality/featured

日本映画テレビプロデューサー協会公式HP
https://www.producer.or.jp/index.html
配信期間:2025年5月~ 約6か月間

第78回 親睦ゴルフ会のお知らせ

《日時》令和7年5月31日(土曜)
    8時45分集合9時10分 インコーススタート(5組20人予定)キャディ付き
《場所》越生ゴルフクラブ
    https://www.ogosegc.co.jp
    埼玉県比企郡ときがわ町大字番匠61
    0493-65-1141
    東武東上線坂戸駅(クラブバスあり)関越道坂戸西出口利用
《参加費》20,000円 プレー費、パーティ費(昼食、練習などは各自負担)

☆参加の有無につきましては、電子メールにて事務局までお知らせください。
info@producer.or.jp
親睦委員会 委員長 高橋信仁
      事務局 山本秀人



インフォメーション

 ◎会合・会議の記録

 2月 6日(木)17時00分~ 第49回エランドール賞授賞式(京王プラザホテル)

 2月25日(火)16時00分~ 第7回会報委員会(リモート)

 2月28日(金)18時30分~ 第6回定例理事会(東映本社8階会議室)

 3月11日(火)17時00分~ デジタル編集委員会(リモート)

 ◎会合・会議の予定

 3月25日(火)17時00分~ 第8回会報委員会(リモート)

 3月27日(木)18時30分~ 第7回定例理事会(東映本社 8階会議室)



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